作成日
:2018.11.23
2021.08.31 15:27
ワシントンに本社を置くマイニング大手のGiga Watt Inc.(本社:1 Campbell Pkwy, East Wenatchee, WA 98802
) 【以下、ギガワットと称す】が、今月19日に破産保護を申請したことが明らかになった。ギガワットの管理職を務めたGeorge Turner氏によると、同社のオーナーが破産保護を申請したことは、何の前触れもなく伝えられており、20日には彼を含む同社の19名全ての従業員が解雇されたという。ギガワットは、連邦倒産法第11章の適応をスポケーン地方裁判所に申請しており、今回の件は同社の主要な株主3名によって企てられたことが推測されている。申請書によると、ギガワットの資産は5万ドル以下なのに対して、債務額は700万ドル近くあるようだ。主な債権者とその額は、Douglas County Public Utility Districtが31万ドル、シンガポールのCryptonomos PTE. LTD.とGigaWatt PTE. LTD.が合計367万ドルとなっている。
共同創立者のDavid Carlson氏は、2013年に当初では世界最大となるビットコインマイニング施設をワシントン州ワナッチー市の旧市街地に建設しており、他マイニング企業へホスティングサービスを提供するような大規模な事業へと成長させている。また、2018年8月には、ワシントンで初となる水力発電を利用した安価なマイニング手法の確立を試みていた。 ギガワットの発展に貢献してきたCarlson氏だが、最終的に同社の運営から身を引いている。ギガワットの没落は、2017年頃から見られた野心的な事業拡大の動きに起因している可能性があるという。通称「ポッド」と呼ばれる、24戸の組み立て式のマイニング施設を建築するプロジェクトもそのひとつだと言える。このプロジェクトは数百万ドルを要すもので、複数の投資家と地方政府官僚の支援を受けており、農業に偏った地域経済の変革となることが期待されていた。
2017年12月以降の仮想通貨の暴落は、ギガワットにとって大きなトラブルとなっており、何千万ドルもの資金を提供した投資家は見返りを求めている。工事の遅延と費用超過のため、ギガワットが計画していたホスティング施設はどれも完成しておらず、複数の投資家がすくなくとも4つの訴訟を起こしているようだ。複数の建設企業はギガワットがダグラス郡の地域開発事業を担うPort of Douglas Countyとのリース契約に違反したとして、他社よりも先に弁済を受けるための先取特権を申し立てている。Port of Douglas Countyは、ギガワットの立ち退き手続きを開始しているというが、同社が破産保護の申請を行ったことで、立ち退きは一旦保留となっているという。
Port of Douglas Countyの執行役員であるLisa Parks氏は、ギガワットや他の組織が代わりにプロジェックトを完遂し、どのような形であれ、ダグラス郡のポートエリアの発展とリース契約の獲得、事業の創出や経済成長に貢献できる生産的なものとなることを期待している。
release date 2018.11.23
ギガワットの共同創立者のひとりであるCarlson氏は、もともとマイクロソフトのソフトウェアエンジニアで、その発想の柔軟さと高い実行力でマイニング業界を切り開いた人物だと言える。特に水力発電を利用したマイニングのための電力確保は、一般的に電力コストが高いとされている先進国でも持続可能な事業モデルを確立する可能性があった。米国では、Googleなどの巨大企業も水力発電所の近くにデータセンターを構えるなど、そのコスト効率の高さは認められている。他国では、エストニアが仮想通貨のマイニングに風力発電を利用するなど、再生可能エネルギーを活用したユニークな取り組みを行っているようだ。昨年8月、エストニアは政府によるICO計画を発表しており、東欧の仮想通貨先進国として知られているが、これとは別に再生可能エネルギーをトークン化して取引するためのプラットフォーム立ち上げなども発表された。まだまだ未知数な取り組みと言えるが、仮想通貨業界のエネルギー問題へのソリューションとなることが期待される。
作成日
:2018.11.23
最終更新
:2021.08.31
米大学で出会った金融学に夢中になり、最終的にMBAを取得。
大手総合電機メーカーで金融ソリューションの海外展開を担当し、業界に深く携わる。
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