作成日
:2018.11.21
2021.08.31 15:27
Binance(本社:Suite 603, Tower 2, Lippo Centre, 89 Queensway, Admiralty, HongKong
)【以下、バイナンスと称す】のプレスリリースによると、同社はコンプライアンス強化のためにKYC(know-your-customer, 顧客確認)ソフトウェアを導入する計画であることが明らかになった。KYCは、顧客情報を確認するシステムで、ほとんどの国の金融機関で必須となっている。このことは、企業がそれぞれの顧客の身元や財務状況に関する記録を保有する義務があることを意味する。理論上、この要件は、顧客と企業の両者がを不必要に資産を失ってしまう不必要なリスクから守るために存在すると考えられる。
今回、導入が検討されているKYCソフトウェアは、ワールドチェック(World-Check)と呼ばれるもので、100以上の規制当局と金融機関のストレステストを受けており、200か国の権威筋のソースから情報を参照することができるものだ。バイナンスのCFOである、Wei Zhou氏によると、法定通貨を対象としたマネーロンダリング対策(AML)基準に従い、さらにサードパーティの高度な取引監視ツールや、自社が所有するツールを使ってシステムを強化することで、規制当局や金融機関との信頼関係を築く手助けになるという。
このソフトウェアは、ニューヨークを拠点とする金融テクノロジー企業のRefinitiv(本社:3 Times Square New York, New York 10036, United States
)【以下、リフィニティブと称す】によって開発されたものだ。同社のウェブサイトによると、リフィニティブは、4万社もの顧客を抱えており、190か国にまたがる40万人のエンドユーザーにサービスを提供しているという。リフィニティブの主要株主は、大手ファンド運用会社のブラックストーン・グループとなり、大手情報企業のトムソン・ロイターも株主になっている。リフィニティブの中東・アフリカ地域のマネージングディレクターのNadim Najjar氏は、仮想通貨業界のKYCへの流れについて以下のように述べている。
仮想通貨市場の規制が強化されたことにより、マネーロンダリング対策に準拠することを目的として、各取引所はKYCプログラムを確立しています。規制当局は、過去数年間に仮想通貨を法定通貨に交換したすべてを対象としており、従来の銀行が扱うKYC基準を同様に満たすよう求めています。
Nadim Najjar, Managing Director at Refinitiv - Refinitivより引用
日間取引量が直近で17億ドルに達したバイナンスは、数百万人のユーザーを抱えており、世界で最も人気の仮想通貨取引所のひとつとなった。バイナンスのCEO、Changpeng Zhao氏によると2018年末の純利益は10億ドルを超えることが予想されるという。2017年6月に北京で設立されたバイナンスだが、中国政府が仮想通貨取引所を禁止する政策を打ち出したことに伴い、拠点を香港へ移している。以来、世界中に支店を展開し、今では日本や韓国、マルタ、ジャージー、シンガポールなどに進出している。KYCは、金融機関がライセンスを受けるための最低条件となっており、多数の国に支店を持つバイナンスは、各国の規制状況を把握する必要があるという。
バイナンスのソフトウェアを強化する取り組みは、仮想通貨業界が制度化へと進んでいるに向かっている兆候だと言えるが、多くの人々はこの制度化の流れは仮想通貨の哲学に反すると主張している。今回のバイナンスの動きが今後、業界にどのような影響を与えるのか、興味深いところである。
release date 2018.11.21
グローバル市場で存在感を増しているバイナンスはウガンダで仮想通貨取引所を2018年10月にスタートしたことが報道されている。仮想通貨業界にとって、アフリカ諸国はまだまだ未開の地となっているが、バイナンスCEOのZhao氏は、既存の金融システムの利用が人々に浸透しておらず、特にウガンダでは人口の11%しか銀行口座を保有していないことから、代替システムとして仮想通貨を普及させる勝機があると考えているようだ。アフリカ市場の参入には、マネーロンダリング対策や対テロ資金供与などが課題となっていることから、バイナンスが今回のKYCソフトウェアの強化に動いた一因となったことが予測される。サイバー犯罪の件数が爆発的に増加しているアフリカ市場では、一歩間違うと仮想通貨は犯罪を助長する媒体として利用されることが懸念されるが、それでも仮想通貨に対する関心は高い。各国の政府なども仮想通貨を利用したプロジェクトに関心を示しており、仮想通貨業界にとっては魅力的な市場だと言えるだろう。
作成日
:2018.11.21
最終更新
:2021.08.31
米大学で出会った金融学に夢中になり、最終的にMBAを取得。
大手総合電機メーカーで金融ソリューションの海外展開を担当し、業界に深く携わる。
金融ライターとして独立後は、暗号資産およびブロックチェーン、フィンテック、株式市場などに関する記事を中心に毎年500本以上執筆。
投資のヒントになり得る国内外の最新動向をお届けします。
ご覧いただきありがとうございます。Myforexでは、記事に関するご意見・ご感想をお待ちしています。
また、海外FX・仮想通貨の経験が豊富なライター様も随時募集しております。
お問い合わせ先 [email protected]
Milton Marketsが夏トク15%入金ボーナスキャンペーンを開催!
2023.06.21 19:30
XMTradingがF1チームスクーデリア・アルファタウリとスポンサーシップを締結
2023.03.28 20:00
海外FX業者で取引できるエネルギー銘柄は?取引の種類やメリットを解説
2023.02.27 20:00
仮想通貨HOOKとは?将来性は?Hooked Protocolが提供するWild Cashも解説
2022.12.13 21:00
Huobi(旧Huobi Global)は日本居住者向けサービスを停止していない?
2022.12.08 19:30
分散型取引所dYdXの使い方をイチから解説!注意点も紹介
2022.12.01 20:00
免責事項:Disclaimer
当サイトの、各コンテンツに掲載の内容は、情報の提供のみを目的としており、投資に関する何らかの勧誘を意図するものではありません。
これらの情報は、当社が独自に収集し、可能な限り正確な情報を元に配信しておりますが、その内容および情報の正確性、完全性または適時性について、当社は保証を行うものでも責任を持つものでもありません。投資にあたっての最終判断は、お客様ご自身でなさるようお願いいたします。
本コンテンツは、当社が独自に制作し当サイトに掲載しているものであり、掲載内容の一部または、全部の無断転用は禁止しております。掲載記事を二次利用する場合は、必ず当社までご連絡ください。
Myforexでは、このウェブサイトの機能向上とお客様の利便性を高めるためにクッキー使用しています。本ウェブサイトでは、当社だけではなく、お客様のご利用状況を追跡する事を目的とした第三者(広告主・ログ解析業者等)によるクッキーも含まれる可能性があります。 クッキーポリシー