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ビットコイン価格が1週間で30%の暴落

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update 2021.08.31 15:27
ビットコイン価格が1週間で30%の暴落

update 2021.08.31 15:27

複数の要因から市場がパニック状態に陥る

10月に6,400ドル付近を推移していたビットコイン(BTC/USD)価格は、今月20日に急落を見せ、現在は4,200.22ドル程度まで下がり、ここ1週間で30%下落した計算になる。[1]2017年9月30日に記録された安値からは16%下がり、最安値を更新したビットコイン価格は、引き続きまだ底値を探っている状態にあるとのことだ。

ビットコインは、他の市場の影響を受けて急激な価格変動に転じた可能性がある。Fundstrat Global Advisorsの共同創設者であり、J.P.モルガンの元チーフ・エクイティ・ストラテジストでもあるTom Lee氏によると、貿易緊張や中央銀行による引き締め、イギリスのEU脱退(ブレキジット)などが要因となり、世界金融市場の流動性が滞っているという。先日、ビットコイン価格が6,000ドルを割ったことに加え、その他の鍵となる指標がトリガーとなって、一部のトレーダーの損切りを招き、更なる売りを誘発した可能性があるとのことだ。それらの指標が悪化したことで、ビットコイン価格を支えていたサポートラインが崩壊し、安値を更新している。

Lee氏は、現在のビットコイン市場の状況を以下のように分析している。

世界の金融市場は脆弱で、パニックと市場心理が働いているため現在バランスの取れていない状態となっています。これは、ビットコインが崩壊したことを意味するのでしょうか?そうではありません。このようなケースは多々見られますが、短期的にパニックに陥っているだけだと判断できます。

Tom Lee, Co-Founder of Fundstrat Global Advisors and Ex-Chief Equity Strategist at J.P. Morgan - CNBC Financialより引用

また、Lee氏は、米国証券取引委員会(US Securities and Exchange Commission)【以下、SECと称す】が先週、複数のICO(イニシャルコインオファリング)プロジェクトに対して指導を行なったことも関係があると指摘している。SECは、マネーロンダリングなどの不正や詐欺などに対する取り締まり強化の一環で、仮想通貨発行に対して、初となる制裁を今月16日に実施した。これに加えて、ビットコインキャッシュのハードフォークに関してもLee氏は懸念を抱いており、Bitcoin ABCとBitcoin SVへの分裂は、ネガティブな市場心理の元凶になっていることを推測している。6月にバーゼル国際決済銀行(Bank for International Settlements for Basel)のトップAgustin Carstens氏がビットコインについて「簡潔に言えばバブル、ネズミ講、環境災害」と痛烈に批判している。この意見に同意を示す欧州中央銀行(European Central Bank)の執行理事のひとり、Benoit Coeure氏が、米メディアで仮想通貨を「金融危機を招く諸悪の根源」と比喩しており、このこともビットコイン価格の下落に影響しているようだ。

ビットコイン価格が上昇を始めたのは、昨年11月3週目以降のことで、初めて1万ドルを突破した。その後、クリスマスの前週には、一般投資家からの資金が流入したことと、2つの取引所が先物市場のローンチを実施したことから価格は2万ドルへ到達している。今年10月、ビットコイン価格は6,400ドル付近まで値を下げ、市場は一度安定したように見えたが、今回の暴落で更に価格を下げる結果となった。今年に入り下落基調のビットコイン価格は、2018年で65%以上の下げ幅を記録している。

release date 2018.11.21

出典元:

ニュースコメント

失われた安定性、問われるビットコインの信頼

ビットコイン価格は、ここ数か月、安定した値動きを見せており、正当に価値を認められた資産、長期投資の対象となる新しい投資先として認められつつあっただけに、今回の急落は業界にとってもショッキングなものとなった。もともとビットコインは、法定通貨における政府機関や中央銀行などの価値を保証する後ろ盾が存在しないことが懸念されていたが、2017年頃末からの仮想通貨ブーム以降、その認識は徐々に変わり始めていた。今年8月には、米国の仮想通貨調査会社、SFOXの調査では、大手金融機関が仮想通貨市場に参入したことで、ビットコイン価格は安定へ向かっているとの調査結果を発表している。実際に米国の金融機関を中心に、デリバティブやファンドなど様々な仮想通貨関連商品を開発する動きも活発に見られ、既存の金融市場を巻き込んで流通経路も拡大し、普及に近づいていたと考えられる。しかし、今回の大幅な価格の下落で、ビットコインはまだまだ不安定な金融商品であることが認識され、再びその信頼性を問われることになるだろう。


Date

作成日

2018.11.21

Update

最終更新

2021.08.31

Zero(ゼロ)

米大学で出会った金融学に夢中になり、最終的にMBAを取得。
大手総合電機メーカーで金融ソリューションの海外展開を担当し、業界に深く携わる。
金融ライターとして独立後は、暗号資産およびブロックチェーン、フィンテック、株式市場などに関する記事を中心に毎年500本以上執筆。
投資のヒントになり得る国内外の最新動向をお届けします。

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