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仏金融市場庁、調査報告でICO投資の限界を示唆

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update 2021.08.31 15:27
仏金融市場庁、調査報告でICO投資の限界を示唆

update 2021.08.31 15:27

エクイティファイナンスのわずか1.6%の規模に留まる

フランス金融市場庁(Autorité des marchés financiers)【以下、AMFと称す】は、ICO(イニシャルコインオファリング)に関する最新の報告書を発表し、仮想通貨を利用した資金調達額の拡大が続く反面、ICOが占める割合は他の市場と比較して低く、すでに限界に達していることを伝えた。

報告書によると、2014年以来、ICOによって194億ユーロもの資金調達に成功しているが、その内の56億ユーロは2017年に、134億ユーロは2018年の第3四半期までに公募されたものだという。2017年に実施されたICOの総額は、株式による資金調達であるエクイティファイナンスのわずか1.6%程度にしか及ばず、規模としては比較的小さいとのことだ。さらに、フランス市場に限って言えば、2017年は15件のICOによって8,900万ユーロの資金が集められているものの、この金額は世界市場全体で見ると0.4%程度にしかならないという。

AMFはこの調査を通して、フランス国内の仮想通貨市場において3つの特徴を見出している。その特徴とは、今後予定されているほとんどのICOプロジェクトが従来の方法で資金調達をすでに実施していること、ICOは投資家コミュニティの発展や資本の健全性を保つことが目的とされていること、そしてフランス国内のトークンは金融商品と呼べる特性を持つものは6%のみということだ。[1]なおフランス政府は現在、アンチマネーロンダリング(AML)など投資家保護を念頭に、ICOを承認制にするための草案を議論している。

また、Fintezaの広告分析システムは、ソフトウェアをインストールした人数やトラフィックソース、リピーター比率、ユーザーのキーアクションなどの分析を行うことができ、特にモバイル関連ソフトウェア開発者にとって多くのメリットをもたらすことが見込まれる。このシステムを利用することにより、如何にして顧客がアプリケーションソフトを見つけ、何度インストールし、どのくらいの頻度でアプリを開き、どのようなアクションを起こしたか、コンバージョンはどのくらいかなど、効果的なマーケティング戦略を実行していく上で必要となる情報を詳細に知ることができるようになる。ユーザーはこれらの情報を得ることで、より低価格な商品を提供したり、より効率的に広告宣伝費用を抑えたり、自社もしくは商品・サービスに対する顧客の関与度を高めることに繋げられよう。

過去2、3年に渡ってローンチされたプロジェクトの数々をみれば、ICOによる資金調達が限界値に近づいているという調査結果は驚くべきことだが、他の企業が行う別の調査でも似たような結論に至っている。例えば、米国のリサーチ会社は、米国市場でのブロックチェーン関連のプロジェクトでの訴訟件数が、証券絡みの件数と比較して2%にも満たないことを7月に報告しており、仮想通貨市場の規模の小ささや不活発さが伺える。

数十億ドルの費用が注ぎ込まれたことにより、ここ1年でICOに関する調査は数多く実施され、その多くが興味深い事実を次々と報告している。

3月に仮想通貨メディアのDiarが実施した調査によると、2017年のICOによる資金調達額のほぼ半分は、20社のスタートアップ企業が調達したもので、そのうち10社に連絡を試みたが、応答があったのは1社のみだったという。4月には、ロシア仮想通貨およびブロックチェーン協会が、2017年にロシア国内のICOよって調達された3億ドルの半分は、ネズミ講のような詐欺であったことを発表している。また、5月には、ICOの格付けを行うICO Ratingが、2018年の第1四半期に実施された416件のICOプロジェクトのほぼ半分がビジネスプランを持っておらず、その内4分の1のプロジェクトそれぞれの国や地域での法的な登録を怠っていたとのことだ。これは2017年の件数の76%の割合であったため、件数は多いものの改善がみられた。続く6月には、会計事務所のPricewaterhouseCoopersによって実施された調査で、2018年上半期で最も投資を集めた地域は英国の海外領土であることが報告された。なお、2017年は米国とスイスが主要な地域であった。

最近では、大手金融機関などの機関投資家が仮想通貨市場に次々と参入しており、大口の投資ファンドなどがプロジェクトへの投資を牽引する傾向がみられる。調査によって様々な事実が発見される中、フランス政府や各国は、どのような舵取りを行うのか注目していきたい。

release date 2018.11.15

出典元:

ニュースコメント

フランス積極的な政策で挽回になるか

今月初旬にフランスの補正予算案で仮想通貨の税率引き下げが提出されており、キャピタルゲインの税率を既存の36.2%から30%へ低減することが提案されたことが報道された。フランス政府は、投資家保護の法案の検討を進める一方で、ブロックチェーンや暗号技術を基礎にした新しい事業の創出にも期待しており、EU主要国の中では、仮想通貨市場に比較的友好的な姿勢を示している。しかし、現在の市場規模やICOの件数でいうと、米国やスイス、英国などには遠く及ばず、シンガポールやロシアなどよりも出遅れている印象だ。事実、2018年に実施された資金調達規模100選では、フランスからランクインしているプロジェクトは、わずか1件しかない。1位のアメリカは30件、続くスイスは15件、さらに規制が厳しい日本でさえ2件となっている。フランス政府は、マネーロンダリングなどの犯罪利用や詐欺利用などを回避することを優先しているようだが、まずはどのようにパイを増やしていくかを積極的に検討すべきであろう。


Date

作成日

2018.11.15

Update

最終更新

2021.08.31

Zero(ゼロ)

米大学で出会った金融学に夢中になり、最終的にMBAを取得。
大手総合電機メーカーで金融ソリューションの海外展開を担当し、業界に深く携わる。
金融ライターとして独立後は、暗号資産およびブロックチェーン、フィンテック、株式市場などに関する記事を中心に毎年500本以上執筆。
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