作成日
:2018.11.07
2021.08.31 15:22
仮想通貨のウォレットサービスを展開するBlockchain Luxembourg S.A.【以下、ブロックチェーン社と称す】は、自社ウォレットのユーザー向けに仮想通貨史上最高額となる、1億2,500万ドル(約140億円)相当のステラ(Stellar)をエアドロップすることを今月6日に発表した。今回のエアドロップでは、1人当たり25ドル分のステラが配布されるようだ。
ブロックチェーン社は、先月よりエアドロッププログラムを開始しているが、その最初のパートナーがステラとなった。ステラーを選んだ理由として、ブロックチェーン社のCEO Peter Smith氏は、スケーラビリティの高さと活発に成長するエコシステムにあると言及している。ステラをエアドロップすることで、効果的にユーザーベースを拡大し、仮想通貨自体の普及につなげることが目的であるとみられているが、ブロックチェーン社としては、ユーザーが仮想通貨の利用を気軽に試す絶好の機会と捉えているようだ。
Smith氏は、ブロックチェーン社が行ってきた仮想通貨業界での取り組みについて、以下のようにコメントしている。
ここ5年間でみれば、ユーザーに20ドルの仮想通貨を配布して仮想通貨取引を試してもらい、ユーザーが新しい金融システムのすばらしさを実感してくれることに喜びを感じておりました。しかし、このようなプロジェクトは何百万もの人々に対し頻繁にできるものではなく、我々は仮想通貨取引の普及に向けた最善の方法について検討してきました。
Peter Smith, CEO at Blockchain Luxembourg S.A. -
Coindeskより引用
ブロックチェーン社は、現在、非営利団体のcharity: water、スタンフォード大学の新興テクノロジーイニシアチブ、テクノロジー支援団体のcode.org、XLMの開発を進めるNetwork for Goodなどとの提携を進めている。
ステラ財団の協同設立者であるJed McCaleb氏は、今回のエアドロップはデジタルエコノミー拡大のための重要な鍵となると発言しており、ステラを無料で配布することでどのようなサービスを構築する必要があるのかが見えてくるという。また、積極的なステラの利用は、ブロックチェーン社の約3000万人にも上るユーザーベースを強化し、サービスの有用性を増すことが期待されている。release date 2018.11.07
エアドロップは、仮想通貨の新しいマーケティング手法として今では広く実施されている。ユーザーは、何らかの条件を満たすことで、無料で仮想通貨を手にすることができるため、お得なキャンペーンとして注目を集めやすい。今回のブロックチェーン社のように、口座開設が条件となっている場合は、ユーザーベースを拡大する大きなチャンスとなる他、ステラ財団などの運営側にとっても知名度を向上させる格好の機会となる。近年、このエアドロップによるマーケティングは大規模化しており、新しいICOなどは、エアドロップ向けにあらかじめ発行する通貨のリザーブを割り当てているものもある。今年10月に大手マイニングプールのViaBTCがビットコインキャッシュによるICOで3,000万ドルもの資金調達に成功したことが報じられたが、そのViaBTCも資金を確保してエアドロップを実施し、仮想通貨に対する需要の拡大を図っている。詐欺など懸念される側面もあるICOだが、こういったキャンペーンはユーザーベースの裾野を広げる活動としては非常に有効だと言えるだろう。
作成日
:2018.11.07
最終更新
:2021.08.31
米大学で出会った金融学に夢中になり、最終的にMBAを取得。
大手総合電機メーカーで金融ソリューションの海外展開を担当し、業界に深く携わる。
金融ライターとして独立後は、暗号資産およびブロックチェーン、フィンテック、株式市場などに関する記事を中心に毎年500本以上執筆。
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