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テザー、5億通貨がバーンされ供給量が激減

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update 2021.08.31 15:22
テザー、5億通貨がバーンされ供給量が激減

update 2021.08.31 15:22

通貨の価格を上昇させるための意図的操作である疑い

Tether Limited【以下、テザー社と称す】は、5億円相当のテザー(Tether)をバーン(破棄)したことを今月24日未明に発表した。この大規模なバーンで、テザーの流通量は1週間半程度で従来の4分の1となる20億ドルまで減少していることが明らかになっている。

バーンされたトークンは、テザー社の基金として管理されていたもので、ここ数週間、取引銀行との問題が浮上した影響でテザーが米ドルとの等価性を失って以来、基金口座には大量のテザーが流入していたことがわかっている。10月14日に急落を始めたテザーは、1通貨あたりの基準価格である1ドルを割る状態となり、その後、23日にはテザー社が管理する基金口座に6億8,000通貨ものテザーが送金されたという。これらの送金が、すべてテザー社と同じ親会社を持つビットフィネックスの特定のアドレスから行われていたことから、市場での流通量を減らすことで相対的にテザーの価格を上昇させるための意図的操作、または、ステーブルコイン事業から撤退しようとしている前兆ではないかとの憶測が飛び交っている。9月以降、ビットフィネックスのコールドウォレットの残高は、約10万ビットコイン程減少しており、市場からテザーを買い戻すためにビットコインを消費しているためだとの疑いもある。

ビットフィネックスの広報部門の責任者であるKasper Rasmussen氏は、こうした憶測に対し否定的な姿勢を示しており、以下のようにコメントしている。

今回の件は、等価性を取り戻すために行なった操作ではありません。テザーの供給量が必要以上となれば、償還されることになっています。ビットフィネックスの口座から大量の送金があったのは、ビットフィネックスがテザー社の大口顧客のひとつだからです。

Kasper Rasmussen, Director of Communications at Bitfinex - Digital Journalより引用

ホワイトペーパーに記されている内容によると、この5億通貨のバーンは正当な償還のプロセスに該当するという。テザーの保有者は、テザー社から直接的に等価の米ドルが返金されると明記されているが、実際に担保が適切に管理されているかに関しては多くの者が懐疑的だ。[1]SNS上では、今までテザー社に償還を受けた人の話は聞いたことがないとの否定的な意見も見られるのに対して、ビットフィネックスはあくまでも規定通りの運営を行っていると否定している。

また、テザー社の発表によると、保有のテザー全てをバーンしたわけではなく、基金口座には将来的なテザー供給のための資金として4億6,600万通貨が確保されているようだが、今となってはテザーの存続自体が最大の争点となっていると言えるだろう。

release date 2018.10.25

出典元:

ニュースコメント

監査実施後も明確にならない準備金の実態

今年6月に準備金を超過するテザーを発行しているのではないかとの疑惑がもたれていたテザー社は、準備金の実態を公表する報告書を独自に発行している。その中で、発行するテザーの通貨量と1対1の割合以上の米ドル資産を保有していることを示しているが、監査基準の曖昧さや公平性の問題から、コミュニティの疑念を晴らすまでには至っていない。過去にテザー社は、監査法人のフリードマンLLPとの契約を打ち切っており、準備金の監査方法において何らかのトラブルがあったと噂され、疑念を助長する一因となっているようだ。 現在の監査は、法律事務所のFreeh Sporkin & Sullivan LLPによって実施されているようだが、情報へのアクセス、監査法人や監査基準の決定等がすべてテザー社に集中しているため、監査に期待される本来の役割を果たしているとは言い難い。これが中央集権型に分類される仮想通貨システムの宿命だとも言えるが、法定通貨に裏付けされたステーブルコイン本来の理念から逸脱していることは明白であろう。


Date

作成日

2018.10.25

Update

最終更新

2021.08.31

Zero(ゼロ)

米大学で出会った金融学に夢中になり、最終的にMBAを取得。
大手総合電機メーカーで金融ソリューションの海外展開を担当し、業界に深く携わる。
金融ライターとして独立後は、暗号資産およびブロックチェーン、フィンテック、株式市場などに関する記事を中心に毎年500本以上執筆。
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