作成日
:2018.10.11
2022.01.27 17:38
英国の規制機関である英国金融行動監視機構(The UK Financial Conduct Authority)【以下、FCAと称す】は、英国金融業界から最も関心が高いブレグジット(EU離脱)後の詳細な規制策に関して、2通の公式諮問書を公表した。
昨年、FCAはパスポーティング制度をEU離脱後も継続する声明を発表していた。この度公表された両書面は、EEA(European Economic Area、欧州経済地域)諸国からパスポーティング制度を活用して、英国内で事業を営む金融機関や電子マネー事業者(Electronic Money Institution)、決済サービスプロバイダー、ファンドマネージャーなどを対象にしており、ブレグジット交渉に関して最悪のシナリオである、EU離脱の期限とされる2019年3月29日に移行期間のない合意なき離脱が行われる可能性も想定した提言となっている。
FCAは、現在パスポーティング制度を利用して英国内で事業を営むEEA諸国の金融機関や投資会社が、英国のライセンスを取得しスムーズに移行が行えるよう努めており、英国内での金融業とデジタル通貨業を可能とする金融パスポート継続措置(Temporary Permissions Regime)においては、EEA諸国の金融機関や投資会社がどのような手続きを踏むことで、英国内にて事業を継続できるか指し示している。また、諮問書においても金融パスポート継続措置がどのように機能するか、また、今後英国内で事業を営もうとする金融機関や投資会社にとって必要となる事項も詳細に記載されている。
この金融パスポート継続措置は、移行期間のない合意なき離脱となった場合にのみ、2019年3月29日から適用される予定となっている。また、FCAは規制策の適用初日から金融機関が求められる事項を遵守できるよう必要に応じた適切な策を講じており、EEA諸国のライセンスを保有し、英国内で事業を営もうとする金融機関に対して、英国のライセンスを申請するための時間的猶予を与える予定であるほか、現行の規定を可能な限り維持することを目指している。なお、顧客保護を目的とした金融サービス補償スキーム(Financial Service Compensation Scheme, FSCS)のように、場合によっては企業に対し追加の規制スキームの適用を求めるとのことだ。
諮問書においては、FCAハンドブックと拘束力を持つ技術的基準(Binding technical Standards, BTS)の改正にも主眼が置かれ、ブレグジットの時点でこれまで準拠されてきたEU法に代わり、英国法が適用される見込みである。その際には、現行の英国法がブレグジット時に効果的に機能するよう、英国政府が法改正を行う必要があるだろう。
FCA国際部門のエグゼクティブディレクターであるNausicaa Delfas氏は、以下のようにコメントしている。
我々は、ブレグジットに関して様々なケースを想定しているものの、仮に2019年3月に移行期間のない合意なき離脱となれば、非常に厳格な規制策を適用初日から講じることになる可能性があります。また、ブレグジットに備え様々な想定をし体制を整備してきており、国をまたぎ多様な業種の企業が英国内で事業を営むことを歓迎いたします。
Nausicaa Delfas, Executive Director at FCA - FCAより引用
なお、FCAはEU離脱までに修正された規制要件に準拠することで金融機関に及ぼす影響に関するフィードバックを募集している。諮問書に関しては、2018年12月の第1週まで公開しているとのことだ。
ブレグジットを巡る不透明感の高まりから、金融機関経営の舵取りは難しい局面が続いているが、ブレグジット交渉に関しては、英国と欧州連合(EU)が来週10月15日までに離脱条件で合意に達する可能性があり、ポンド/米ドル相場を始め様々な金融市場に多大な影響を与えることが予想される。
release date 2018.10.11
英国のEU離脱が近づくにつれ、各規制当局は英国企業に対し引き続きEU内でのサービス提供を続けるために、各ライセンスの取得を求めている。今年7月には、EU離脱後もEU内におけるサービス提供を希望する英国の企業に対し、欧州証券市場監督局ESMAはライセンスの取得を求める声明を発表している。また、キプロス証券取引委員会CySECもFCA規制下のブローカーに対し、英国のEU離脱までにCySECのライセンスの取得を求めている。このように、各規制当局は英国拠点の金融機関に対しEU離脱後の準備を促しており、英国企業は対応に追われている状況が続いている。為替市場においても、英国のEU離脱に関するニュースが市場に影響を与えており、9月初頭には欧州委員会のミシェル・バルニエ首席交渉官が発した英国のブレグジット交渉についての発言が好材料となり、英ポンドが急騰している。今後も為替市場はブレグジット関連の動向によって左右されることが予想される。
作成日
:2018.10.11
最終更新
:2022.01.27
国内及び外資系金融機関に15年弱勤務し、現在は独立。
執筆と翻訳は、海外FXを始めとする金融分野を専門とする。
慶應義塾大学卒。
ご覧いただきありがとうございます。Myforexでは、記事に関するご意見・ご感想をお待ちしています。
また、海外FX・仮想通貨の経験が豊富なライター様も随時募集しております。
お問い合わせ先 [email protected]
Milton Marketsが夏トク15%入金ボーナスキャンペーンを開催!
2023.06.21 19:30
XMTradingがF1チームスクーデリア・アルファタウリとスポンサーシップを締結
2023.03.28 20:00
海外FX業者で取引できるエネルギー銘柄は?取引の種類やメリットを解説
2023.02.27 20:00
仮想通貨HOOKとは?将来性は?Hooked Protocolが提供するWild Cashも解説
2022.12.13 21:00
Huobi(旧Huobi Global)は日本居住者向けサービスを停止していない?
2022.12.08 19:30
分散型取引所dYdXの使い方をイチから解説!注意点も紹介
2022.12.01 20:00
免責事項:Disclaimer
当サイトの、各コンテンツに掲載の内容は、情報の提供のみを目的としており、投資に関する何らかの勧誘を意図するものではありません。
これらの情報は、当社が独自に収集し、可能な限り正確な情報を元に配信しておりますが、その内容および情報の正確性、完全性または適時性について、当社は保証を行うものでも責任を持つものでもありません。投資にあたっての最終判断は、お客様ご自身でなさるようお願いいたします。
本コンテンツは、当社が独自に制作し当サイトに掲載しているものであり、掲載内容の一部または、全部の無断転用は禁止しております。掲載記事を二次利用する場合は、必ず当社までご連絡ください。
Myforexでは、このウェブサイトの機能向上とお客様の利便性を高めるためにクッキー使用しています。本ウェブサイトでは、当社だけではなく、お客様のご利用状況を追跡する事を目的とした第三者(広告主・ログ解析業者等)によるクッキーも含まれる可能性があります。 クッキーポリシー