作成日
:2018.10.05
2021.08.31 15:22
ベネズエラ政府主導で開発が進められている仮想通貨ペトロだが、先日公開されたホワイトペーパーに対して、仮想通貨ダッシュ(Dash)からの窃盗疑惑が持ち上がっており、開発への不信感が募っていることが報道で明らかになった。
公開されたホワイトペーパーによると、即時に送金が可能なインスタントセンド、特別な決済権限を有するマスターノード、X11マイニングアルゴリズムなどの機能開発がペトロでは計画されている。これらは全て、ダッシュに実装される機能であることは明白だが、ベネズエラ政府は、それをあたかもペトロ独自の開発であるかのように公表してしまっている。
加えて、イーサリアム開発者のJoey Zhou氏によると、少なくともホワイトペーパーの11ページ目のグラフが、ダッシュのGithubからの剽窃であるという。問題のページでは、プルーフ・オブ・ワークとプルーフ・オブ・ステークの2つのコンセンサスアルゴリズムを採用し、マスターノードには手数料の85%を報酬として付与することが提案されている。
ちなみに、ダッシュのマスターノード報酬は45%で、このことから、ペトロのシステムが歪だとの指摘もある。また、ホワイトペーパーには、コンセンサスアルゴリズムをSunacripの判断で変更することができるなど、仮想通貨を規制するSunacrip(ベネズエラ政府の独立機関)に権限が集中する取り決めがいくつか存在しており、コミュニティが不信感を募らせる原因になっている。本来であれば、ダッシュ同様にペトロにもDAO(自立分散型組織)が採用され、開発や仕様の変更に関する提案と投票ができるマスターノードと投票に参加できる通常のノードによって民主主義的な自治運用形態が形成されるはずである。もしも、実態は政府機関が実権を握るようであれば、ペトロのマスターノード制は機能しないだろう。ホワイトペーパーが剽窃なのかオープンソースの流用なのかはもはや問題ではない。
今やペトロは、「Nicolás Maduro(ニコラス・マドゥロ)大統領の遊び道具」や「悪質なクローン通貨」と揶揄されるほど信用を失ってしまっている。ベネズエラでは、インフレが継続する自国通貨に代わり、ダッシュでの資産の保有や決済通貨としての利用が進んでおり、ペトロの開発は国民にとってそれほど大きな意味を成さないのかもしれない。
release date 2018.10.5
ハイパーインフレに苦しみ経済悪化が続くベネズエラでは、今年8月にベネズエラのマドゥロ大統領が、政府発行のベネズエラのペトロとペトロに連動した新通貨「ソベリン・ボリバル」が政府公認通貨となることを発表し、元のベネズエラ通貨から通貨の単位を5ケタ切り下げるデノミ(通貨単位の切り下げ)を実施している。これにより通貨の価値は10万分の1に切り下げられ、銀行口座にボリバル通貨を持っていた人は、多くの財産を失うことになった。自国の経済悪化と政府の政策に強い不信感を持ったベネズエラ国民は、自国の法定通貨に対して抱く大きな不安によって、資産を仮想通貨で保有する人が急増しているという。仮想通貨の中でも特に送金時間が短いダッシュ(Dash)を多くの国民が利用しており、このダッシュの取引量急騰の背景には、ダッシュエコシステム、Dashウォレットなどがあらかじめ装備された携帯電話を製造する南米の企業Kripto Mobileとのパートナーシップの発表によるものが大きい。また、信頼できる通貨がない国民にとって、買い物や食事など日常に利用する決済手段として、送金時間が短いダッシュは非常に利用しやすいだろう。経済状況の悪化が深刻なベネズエラで今後、仮想通貨がどのような役割を果たしていくのか、引き続き国民の動向に注目していきたい。
作成日
:2018.10.05
最終更新
:2021.08.31
米大学で出会った金融学に夢中になり、最終的にMBAを取得。
大手総合電機メーカーで金融ソリューションの海外展開を担当し、業界に深く携わる。
金融ライターとして独立後は、暗号資産およびブロックチェーン、フィンテック、株式市場などに関する記事を中心に毎年500本以上執筆。
投資のヒントになり得る国内外の最新動向をお届けします。
ご覧いただきありがとうございます。Myforexでは、記事に関するご意見・ご感想をお待ちしています。
また、海外FX・仮想通貨の経験が豊富なライター様も随時募集しております。
お問い合わせ先 [email protected]
Milton Marketsが夏トク15%入金ボーナスキャンペーンを開催!
2023.06.21 19:30
XMTradingがF1チームスクーデリア・アルファタウリとスポンサーシップを締結
2023.03.28 20:00
海外FX業者で取引できるエネルギー銘柄は?取引の種類やメリットを解説
2023.02.27 20:00
仮想通貨HOOKとは?将来性は?Hooked Protocolが提供するWild Cashも解説
2022.12.13 21:00
Huobi(旧Huobi Global)は日本居住者向けサービスを停止していない?
2022.12.08 19:30
分散型取引所dYdXの使い方をイチから解説!注意点も紹介
2022.12.01 20:00
免責事項:Disclaimer
当サイトの、各コンテンツに掲載の内容は、情報の提供のみを目的としており、投資に関する何らかの勧誘を意図するものではありません。
これらの情報は、当社が独自に収集し、可能な限り正確な情報を元に配信しておりますが、その内容および情報の正確性、完全性または適時性について、当社は保証を行うものでも責任を持つものでもありません。投資にあたっての最終判断は、お客様ご自身でなさるようお願いいたします。
本コンテンツは、当社が独自に制作し当サイトに掲載しているものであり、掲載内容の一部または、全部の無断転用は禁止しております。掲載記事を二次利用する場合は、必ず当社までご連絡ください。
Myforexでは、このウェブサイトの機能向上とお客様の利便性を高めるためにクッキー使用しています。本ウェブサイトでは、当社だけではなく、お客様のご利用状況を追跡する事を目的とした第三者(広告主・ログ解析業者等)によるクッキーも含まれる可能性があります。 クッキーポリシー