Select Language

ベネズエラの仮想通貨ペトロ、剽窃疑惑で不信感が募る

ベネズエラの仮想通貨ペトロ、剽窃疑惑で不信感が募る

  • X
  • facebook
  • LINE
  • RSS

  • X
  • facebook
  • LINE
  • RSS
update 2021.08.31 15:22
ベネズエラの仮想通貨ペトロ、剽窃疑惑で不信感が募る

update 2021.08.31 15:22

ダッシュと酷似する機能実装に不透明な運用方針

ベネズエラ政府主導で開発が進められている仮想通貨ペトロだが、先日公開されたホワイトペーパーに対して、仮想通貨ダッシュ(Dash)からの窃盗疑惑が持ち上がっており、開発への不信感が募っていることが報道で明らかになった。

公開されたホワイトペーパーによると、即時に送金が可能なインスタントセンド、特別な決済権限を有するマスターノード、X11マイニングアルゴリズムなどの機能開発がペトロでは計画されている。これらは全て、ダッシュに実装される機能であることは明白だが、ベネズエラ政府は、それをあたかもペトロ独自の開発であるかのように公表してしまっている。

加えて、イーサリアム開発者のJoey Zhou氏によると、少なくともホワイトペーパーの11ページ目のグラフが、ダッシュのGithubからの剽窃であるという。問題のページでは、プルーフ・オブ・ワークとプルーフ・オブ・ステークの2つのコンセンサスアルゴリズムを採用し、マスターノードには手数料の85%を報酬として付与することが提案されている。[1]ちなみに、ダッシュのマスターノード報酬は45%で、このことから、ペトロのシステムが歪だとの指摘もある。

また、ホワイトペーパーには、コンセンサスアルゴリズムをSunacripの判断で変更することができるなど、仮想通貨を規制するSunacrip(ベネズエラ政府の独立機関)に権限が集中する取り決めがいくつか存在しており、コミュニティが不信感を募らせる原因になっている。本来であれば、ダッシュ同様にペトロにもDAO(自立分散型組織)が採用され、開発や仕様の変更に関する提案と投票ができるマスターノードと投票に参加できる通常のノードによって民主主義的な自治運用形態が形成されるはずである。もしも、実態は政府機関が実権を握るようであれば、ペトロのマスターノード制は機能しないだろう。ホワイトペーパーが剽窃なのかオープンソースの流用なのかはもはや問題ではない。

今やペトロは、「Nicolás Maduro(ニコラス・マドゥロ)大統領の遊び道具」や「悪質なクローン通貨」と揶揄されるほど信用を失ってしまっている。ベネズエラでは、インフレが継続する自国通貨に代わり、ダッシュでの資産の保有や決済通貨としての利用が進んでおり、ペトロの開発は国民にとってそれほど大きな意味を成さないのかもしれない。

release date 2018.10.5

出典元:

ニュースコメント

ベネズエラの経済状況悪化で急速に浸透するダッシュ

ハイパーインフレに苦しみ経済悪化が続くベネズエラでは、今年8月にベネズエラのマドゥロ大統領が、政府発行のベネズエラのペトロとペトロに連動した新通貨「ソベリン・ボリバル」が政府公認通貨となることを発表し、元のベネズエラ通貨から通貨の単位を5ケタ切り下げるデノミ(通貨単位の切り下げ)を実施している。これにより通貨の価値は10万分の1に切り下げられ、銀行口座にボリバル通貨を持っていた人は、多くの財産を失うことになった。自国の経済悪化と政府の政策に強い不信感を持ったベネズエラ国民は、自国の法定通貨に対して抱く大きな不安によって、資産を仮想通貨で保有する人が急増しているという。仮想通貨の中でも特に送金時間が短いダッシュ(Dash)を多くの国民が利用しており、このダッシュの取引量急騰の背景には、ダッシュエコシステム、Dashウォレットなどがあらかじめ装備された携帯電話を製造する南米の企業Kripto Mobileとのパートナーシップの発表によるものが大きい。また、信頼できる通貨がない国民にとって、買い物や食事など日常に利用する決済手段として、送金時間が短いダッシュは非常に利用しやすいだろう。経済状況の悪化が深刻なベネズエラで今後、仮想通貨がどのような役割を果たしていくのか、引き続き国民の動向に注目していきたい。


Date

作成日

2018.10.05

Update

最終更新

2021.08.31

Zero(ゼロ)

米大学で出会った金融学に夢中になり、最終的にMBAを取得。
大手総合電機メーカーで金融ソリューションの海外展開を担当し、業界に深く携わる。
金融ライターとして独立後は、暗号資産およびブロックチェーン、フィンテック、株式市場などに関する記事を中心に毎年500本以上執筆。
投資のヒントになり得る国内外の最新動向をお届けします。

この記事は、お役に立ちましたか?

ご覧いただきありがとうございます。Myforexでは、記事に関するご意見・ご感想をお待ちしています。
また、海外FX・仮想通貨の経験が豊富なライター様も随時募集しております。

お問い合わせ先 [email protected]

貴重な意見をいただきありがとうございます。
貴重な意見をいただきありがとうございます。

関連記事

アクセスランキング

オオカミコイン(OKM)は怪しい?オオカミプロジェクトの特徴やSNSでの評判

オオカミコイン(OKM)は、オオカミカードを発行するオオカミプロジェクトの仮想通貨です。海外取引所のMEXCに上場していますが、SNS上では怪しいという声も見られます。本記事では、オオカミコインの特徴、SNSでの評判、怪しいポイントなどを紹介します。
update2025.04.11 19:00

Exnessの海外入出金で​​銀行口座が凍結されるケースが発生

海外FX業者のExnessで海外送金による銀行口座の凍結が発生している事例を取り上げていきます。SNS上では銀行送金2によるものとの声が見受けられますが、凍結の原因は収納代行業者と想定されます。
update2025.05.09 19:00

またコピトレ詐欺か?WeekendFXにAmazingTick型の詐欺疑惑

WeekendFXのコピートレードに参加したユーザーが、「出金できなくなった」と次々に声を上げ始めています。AmazingTickの詐欺事例との類似点も多く、同じ手口のコピトレ詐欺なのではないかという疑惑が持ち上がっています。
update2025.06.23 19:00

ワールドコイン(WLD)の換金方法は?日本円に現金化する手順を解説

ワールドコイン(WLD)は、OpenAI社のCEOであるサム・アルトマン氏らが手掛ける仮想通貨プロジェクトです。登録したユーザーには、仮想通貨WLDが無料配布されます。当記事では、ワールドコインを日本円に換金する手順や、換金時の注意点などを解説します。
update2025.04.16 19:30

GMOコインからBybitに送金してみた!送金手数料や最低送金額なども解説

Myforex編集部では、GMOコインからBybit(バイビット)に仮想通貨を送金してみました。この記事では、実際に送金してみた経験などを交えながら、送金手順やおすすめの送金通貨、トラベルルールの対応状況などを紹介します。
update2025.06.10 20:00

初めてのバックテストでも安心!MT5ストラテジーテスターの使い方ガイド

MT5のストラテジーテスターでは、バックテストによりEAのパフォーマンスを確認できます。バックテストの開始手順や注意点を解説します。
update2025.06.17 19:00

Exnessの出金遅延はなぜ起きた?オンラインカジノ規制の影響とは

海外FX業者のExnessでは、国内送金の遅延が度々問題になっており、決済代行会社に関連したトラブルと言われています。なぜオンラインカジノ規制が海外FXに波及したのか説明するほか、今後考えられる影響も解説します。
update2025.05.28 19:00

【速報】イラン・イスラエル停戦報道でビットコイン反発、一時10万6,000ドル突破

2025年6月23日、トランプ大統領がイラン・イスラエル間の停戦を自身のSNSで発表しました。これにより中東での地政学リスクが後退し、ビットコイン(BTC)の価格は一時10万6,000ドルまで急反発しました。
update2025.06.24 19:00

SBI VCトレードからBybitに送金してみた!手数料や送金時間も解説

Myforex編集部では、国内取引所のSBI VCトレードからBybitに仮想通貨を送金してみました。本記事では、送金手順や手数料、送金時間などを紹介します。
update2025.06.11 19:30

【スリトレ堂安氏の約3倍】本田圭佑×Titan FX、SNSフォロワー数379万の影響力は?

海外FX業者のTitan FXがサッカー選手の本田圭佑氏をグローバルアンバサダーに起用したことを発表しました。なぜTitan FXは「本田圭佑」を選んだのか、SNSの反応や業界の過去事例からその影響力を読み解きます。
update2025.06.09 19:00
youtube youtube

免責事項:Disclaimerarw

当サイトの、各コンテンツに掲載の内容は、情報の提供のみを目的としており、投資に関する何らかの勧誘を意図するものではありません。
これらの情報は、当社が独自に収集し、可能な限り正確な情報を元に配信しておりますが、その内容および情報の正確性、完全性または適時性について、当社は保証を行うものでも責任を持つものでもありません。投資にあたっての最終判断は、お客様ご自身でなさるようお願いいたします。

本コンテンツは、当社が独自に制作し当サイトに掲載しているものであり、掲載内容の一部または、全部の無断転用は禁止しております。掲載記事を二次利用する場合は、必ず当社までご連絡ください。

  • Facebook
  • Twitter
  • LINE

Myforexでは、このウェブサイトの機能向上とお客様の利便性を高めるためにクッキー使用しています。本ウェブサイトでは、当社だけではなく、お客様のご利用状況を追跡する事を目的とした第三者(広告主・ログ解析業者等)によるクッキーも含まれる可能性があります。 クッキーポリシー

クッキー利用に同意する
share
シェアする
Line

Line

Facebook

Facebook

X

Twitter

キャンセル