Select Language

国際決済銀行、規制と仮想通貨市場の関係を示す報告書を公開

国際決済銀行、規制と仮想通貨市場の関係を示す報告書を公開

  • X
  • facebook
  • LINE
  • RSS

  • X
  • facebook
  • LINE
  • RSS
update 2021.08.31 15:22
国際決済銀行、規制と仮想通貨市場の関係を示す報告書を公開

update 2021.08.31 15:22

自由な経済を目指す仮想通貨も現実は規制の中にあるとの見解

国際決済銀行(Bank for International Settlements)【以下、BISと称す】は、9月23日、各国の管理外にあると認識されていた仮想通貨市場でも、規制関連のニュースが価格変動、取引量、ユーザー行動などに影響を及ぼしていると主張する旨の報告書[1]を公開した。

BISは、報告書の中で各国の規制が実際に仮想通貨市場にインパクトを与えた例を挙げており、特に甚大な影響力を持つ米国証券取引委員会(Securities and Exchange Commission)【以下、SECと称す】について言及している。2017年3月、SECはウィンクルボス兄弟のビットコインETF申請却下を決定し、仮想通貨市場に対して厳しい姿勢を見せたが、このニュース発表をきっかけに市場は激しく反応し、ビットコイン(BTC/USD)はものの5分程度で16%もの下落を記録した。また、BISは別の例として、日本の金融庁が発端となった件にも触れており、金融庁が2018年6月に国内6つの仮想通貨取引所に対しAML対策の改善を求めたが、それがトリガーとなり、ビットコインは米国の主要取引市場が開場するまで下げ続けた。

しかしなぜ、各国の規制の流れが仮想通貨市場に影響を与えるのだろうか。BISはこの問いに対して、仮想通貨から政府発行の法定通貨に戻して資金を移動する際に、少なからず国の規制に依存するからだという仮説を立てている。仮想通貨ウォレットや取引所など、仮想通貨を取り扱う機関は、原則的に国による規制やポリシーによって資金の移動が制限されているため、多くのユーザーはそれらのサービスに頼らなければならない状況にあるからだという。

この調査に携わったBISのRaphael Auer氏とStijin Claessens氏は、この仮想通貨市場の現状について、以下のようにコメントしている。

国際的な裁定取引はまだまだ制限されています。海外の銀行口座が必要な場合に、オフショアの仮想通貨市場へ誰でも簡単にアクセスできる訳ではありません。このことは、仮想通貨業界内の細分化と分断化を引き起こし、市場が各国規制に影響される要因となっています。

Raphael Auer, Economist at BIS & Stijin Claessens, Deputy Head of Monetary and Economic Department at BIS - BISより引用

BISの報告書での分析によると、中央管理者が存在せずボーダーレスな特性を持つ仮想通貨と言えども、実際には各国の規制の流れの中にあり、規制に関するニュース自体が仮想通貨市場の価格変動や取引量の推移に大きな影響力を持っている可能性があると結論づけられている。

release date 2018.9.25

出典元:

ニュースコメント

規制が仮想通貨市場へ与える影響

仮想通貨が注目を集め始めた2017年より、各国の規制当局は法整備に追われている。これまでに、さまざまな国の規制当局が仮想通貨に対する新規制を発表してきたが、その都度多かれ少なかれ仮想通貨市場への影響が見られた。2018年1月に、ビットコインの大暴落によって仮想通貨全体に悪影響を及ぼした際には、中国や韓国の規制が大きな影響を与えたものと考えられたほか、今年5月に仮想通貨市場が大幅な下落を見せた際には、不正取引に対する監視や規制強化の一環として、米国とカナダが仮想通貨一掃作戦の実施に踏み切ったことが要因の一つに挙げられた。しかし、規制の主な理由は投資家保護を目的としていることから全てが悪材料とは言えず、規制当局は法整備によってより健全な仮想通貨市場を確立させることが求められ、その結果、安定した市場へと成長することが望ましいだろう。


Date

作成日

2018.09.25

Update

最終更新

2021.08.31

Zero(ゼロ)

米大学で出会った金融学に夢中になり、最終的にMBAを取得。
大手総合電機メーカーで金融ソリューションの海外展開を担当し、業界に深く携わる。
金融ライターとして独立後は、暗号資産およびブロックチェーン、フィンテック、株式市場などに関する記事を中心に毎年500本以上執筆。
投資のヒントになり得る国内外の最新動向をお届けします。

この記事は、お役に立ちましたか?

ご覧いただきありがとうございます。Myforexでは、記事に関するご意見・ご感想をお待ちしています。
また、海外FX・仮想通貨の経験が豊富なライター様も随時募集しております。

お問い合わせ先 [email protected]

貴重な意見をいただきありがとうございます。
貴重な意見をいただきありがとうございます。

関連記事

アクセスランキング

オオカミコイン(OKM)は怪しい?オオカミプロジェクトの特徴やSNSでの評判

オオカミコイン(OKM)は、オオカミカードを発行するオオカミプロジェクトの仮想通貨です。海外取引所のMEXCに上場していますが、SNS上では怪しいという声も見られます。本記事では、オオカミコインの特徴、SNSでの評判、怪しいポイントなどを紹介します。
update2025.04.11 19:00

Exnessの海外入出金で​​銀行口座が凍結されるケースが発生

海外FX業者のExnessで海外送金による銀行口座の凍結が発生している事例を取り上げていきます。SNS上では銀行送金2によるものとの声が見受けられますが、凍結の原因は収納代行業者と想定されます。
update2025.05.09 19:00

またコピトレ詐欺か?WeekendFXにAmazingTick型の詐欺疑惑

WeekendFXのコピートレードに参加したユーザーが、「出金できなくなった」と次々に声を上げ始めています。AmazingTickの詐欺事例との類似点も多く、同じ手口のコピトレ詐欺なのではないかという疑惑が持ち上がっています。
update2025.06.23 19:00

ワールドコイン(WLD)の換金方法は?日本円に現金化する手順を解説

ワールドコイン(WLD)は、OpenAI社のCEOであるサム・アルトマン氏らが手掛ける仮想通貨プロジェクトです。登録したユーザーには、仮想通貨WLDが無料配布されます。当記事では、ワールドコインを日本円に換金する手順や、換金時の注意点などを解説します。
update2025.04.16 19:30

GMOコインからBybitに送金してみた!送金手数料や最低送金額なども解説

Myforex編集部では、GMOコインからBybit(バイビット)に仮想通貨を送金してみました。この記事では、実際に送金してみた経験などを交えながら、送金手順やおすすめの送金通貨、トラベルルールの対応状況などを紹介します。
update2025.06.10 20:00

初めてのバックテストでも安心!MT5ストラテジーテスターの使い方ガイド

MT5のストラテジーテスターでは、バックテストによりEAのパフォーマンスを確認できます。バックテストの開始手順や注意点を解説します。
update2025.06.17 19:00

Exnessの出金遅延はなぜ起きた?オンラインカジノ規制の影響とは

海外FX業者のExnessでは、国内送金の遅延が度々問題になっており、決済代行会社に関連したトラブルと言われています。なぜオンラインカジノ規制が海外FXに波及したのか説明するほか、今後考えられる影響も解説します。
update2025.05.28 19:00

【速報】イラン・イスラエル停戦報道でビットコイン反発、一時10万6,000ドル突破

2025年6月23日、トランプ大統領がイラン・イスラエル間の停戦を自身のSNSで発表しました。これにより中東での地政学リスクが後退し、ビットコイン(BTC)の価格は一時10万6,000ドルまで急反発しました。
update2025.06.24 19:00

SBI VCトレードからBybitに送金してみた!手数料や送金時間も解説

Myforex編集部では、国内取引所のSBI VCトレードからBybitに仮想通貨を送金してみました。本記事では、送金手順や手数料、送金時間などを紹介します。
update2025.06.11 19:30

【スリトレ堂安氏の約3倍】本田圭佑×Titan FX、SNSフォロワー数379万の影響力は?

海外FX業者のTitan FXがサッカー選手の本田圭佑氏をグローバルアンバサダーに起用したことを発表しました。なぜTitan FXは「本田圭佑」を選んだのか、SNSの反応や業界の過去事例からその影響力を読み解きます。
update2025.06.09 19:00
youtube youtube

免責事項:Disclaimerarw

当サイトの、各コンテンツに掲載の内容は、情報の提供のみを目的としており、投資に関する何らかの勧誘を意図するものではありません。
これらの情報は、当社が独自に収集し、可能な限り正確な情報を元に配信しておりますが、その内容および情報の正確性、完全性または適時性について、当社は保証を行うものでも責任を持つものでもありません。投資にあたっての最終判断は、お客様ご自身でなさるようお願いいたします。

本コンテンツは、当社が独自に制作し当サイトに掲載しているものであり、掲載内容の一部または、全部の無断転用は禁止しております。掲載記事を二次利用する場合は、必ず当社までご連絡ください。

  • Facebook
  • Twitter
  • LINE

Myforexでは、このウェブサイトの機能向上とお客様の利便性を高めるためにクッキー使用しています。本ウェブサイトでは、当社だけではなく、お客様のご利用状況を追跡する事を目的とした第三者(広告主・ログ解析業者等)によるクッキーも含まれる可能性があります。 クッキーポリシー

クッキー利用に同意する
share
シェアする
Line

Line

Facebook

Facebook

X

Twitter

キャンセル