作成日
:2018.09.06
2021.08.31 15:22
フィリピン証券取引委員会【以下、SECと称す】は、国内の仮想通貨取引事業者を対象にした規制草案を近日中に公開することを明らかにした。SECは、新規制を年内に正式に導入することを目指しており、投資家保護と同時に仮想通貨による新しい経済環境の確立につながることが期待されている。
また、同国の中央銀行であるBangko Sentral ng Philipinas
【以下、BSPと称す】も、仮想通貨取引に関しては肯定的な姿勢を示しており、すでに国内の仮想通貨取引事業者に向けて正式な運営ガイドラインを策定しているようだ。SECのコミッショナーであるEphyro Luis B. Amatong氏は以下のようにコメントしている。
BSPとは、仮想通貨取引所の共同監査の件も含め、詳細を詰めている段階です。我々は、ともに取引プラットフォームとして機能する仮想通貨取引事業社を監督する必要性は非常に高いと認識しています。
Ephyro Luis B. Amatong, commissioner at Securities and Exchange Commission - Manila Timesより引用
新規制の導入により、投資家達は資産保護が保証される他、スタートアップ企業なども、イニシャルコインオファリング(ICO)による資金調達を行うことが可能となる。
さらにSECは規制の対象を広げ、ICOを実施する企業はSECへの登録を義務付けられる他、外国に拠点を置く海外のICO発行業者もフィリピン国内に支店を置く場合は、新規制を遵守する必要がある。現在、新規制の草案は、9月中旬の確定を目途に詰めの段階に来ているようだ。
release date 2018.9.6
フィリピン中央銀行は、バーチャル通貨(VC)システムが、国内外の資金の迅速、且つより経済的な送金能力を考慮し、特に支払と送金のための金融サービスの提供に革命をもたらす可能性を認識しており、2017年初め、世界の多くの国に先駆け、ビットコインなどの仮想通貨に対する法律とガイドラインを発表している。
出稼ぎ大国とされるフィリピンは、国外からの送金と観光業で成り立っており、国の経済を支える出稼ぎ労働者は、人口の1割に及ぶとされる。国や中央銀行が仮想通貨の規制に乗り出したのは、海外からの送金手段として、銀行送金ではなく、経済的で処理が迅速な仮想通貨を利用する出稼ぎ労働者が増加していることも背景にあるといえる。価格変動の大きい仮想通貨においては、デメリットな側面もあることは確かだが、フィリピンに限らず、今後世界の出稼ぎ労働者が仮想通貨を国際送金手段として使い出すのは時間の問題であろう。
作成日
:2018.09.06
最終更新
:2021.08.31
米大学で出会った金融学に夢中になり、最終的にMBAを取得。
大手総合電機メーカーで金融ソリューションの海外展開を担当し、業界に深く携わる。
金融ライターとして独立後は、暗号資産およびブロックチェーン、フィンテック、株式市場などに関する記事を中心に毎年500本以上執筆。
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