イラン、国家主導の仮想通貨プロジェクト案が完成

イランの国家サイバースペースセンターは、国家主導の仮想通貨プロジェクトの草案がまとまったことを明らかにした。

イラン当局は昨年末、仮想通貨に関連するマネー・ロンダリングに対する懸念を理由に、銀行に対し仮想通貨を取り扱うことを全面的に禁止しているが、イランの最高サイバースペース協議会副長であるサイード・マディユーン氏は、同国政府が国家主導の仮想通貨の開発に積極的に取り組んでおり、イランの規制当局とその中央銀行は、仮想通貨取引の合法性に関する公式の声明をまもなく発表する見込みであることを明らかにしている。

自国の仮想通貨の開発の背景には、米国による経済制裁を迂回する狙いがある。米国による政治的・経済的制裁のため、イランはほとんどの国と貿易や事業を行うことを制限されてきた。その結果、国の経済が大きく落ち込んでいることから、政府は、仮想通貨という手段で世界各地へ資金を転送し、経済危機から早期脱却したい考えだ。一方、導入時期については明らかにしていない。

同じく米国の制裁を受けているベネズエラは、今年2月に国家主導の仮想通貨ペトロを発行したものの、市民及び企業のペトロに対する信頼性は低く、最近では仮想通貨Dashを使用して経済救済を模索する商人が増えているという。また、米国の経済制裁を受け、リラが急落し経済危機の中にあるトルコでは、ビットコインなどの仮想通貨を使用し始める市民が増加している。

米国による経済制裁の回避策として国家主導の仮想通貨を導入し始める国が今後も増えていくことが予想される。

release date 2018.8.27