作成日
:2018.06.04
2022.01.28 11:01
キプロス証券取引委員会(The Cyprus Securities and Exchange Commission)【以下、CySECと称す】は、欧州証券市場監督局(The European Securities and Markets Authority)【以下、ESMAと称す】のCFD(差金決済取引)やバイナリーオプション取引に関する規制は、非EU圏に居住する顧客にも適用されることを発表した。
今回の規制内容は金融商品市場規則(Markets in Financial Instruments Regulation)【以下、MiFIRと称す】に基づいており、バイナリーオプション取引の禁止は7月2日から、CFDに関しては8月1日からの適用が予定されている。また、同規制は3カ月間試験的に導入された後、規制当局の判断でさらに3カ月延長される可能性がある。
今年3月、ESMAは個人投資家保護を目的とした規制を発表しており、バイナリーオプション取引の禁止や、CFD取引に対しても厳しい制限を設けている。これを受け、新規制への対応を進めるブローカーもあれば、同規制がEU内の顧客のみに適用されることを期待するブローカーもあったようだが、結果は厳しいものとなった。
CySECの会長であるDemetra Kalogerou氏は、次のようにコメントしている。
ESMAのMiFIR第40条に基づく権限は、欧州経済地域(European Economic Area)【以下、EEAと称す】内に居住する顧客に限定しないことを確認しました。ESMAは、第二次金融商品市場指令(MiFID II)やMiFIR制度は、顧客の居住地ではなく、EEA規制下のブローカーが提供するサービスに基づいて適用する、と説明しています。
Demetra Kalogerou, Chairwoman of CySEC
Kalogerou氏のコメントは、規制の遵守や運用の維持管理に関して警鐘を鳴らすものとなっており、すでに混乱状態にある市場関係者にさらに追い打ちをかけることになりそうだ。今回の規制強化を受けて、ビジネスの再検討ではなく市場からの完全撤退を考えるブローカーが出てくる可能性もあり、業界内にさらに大きな影響を与えそうである。
release date 2018.6.4
作成日
:2018.06.04
最終更新
:2022.01.28
国内及び外資系金融機関に15年弱勤務し、現在は独立。
執筆と翻訳は、海外FXを始めとする金融分野を専門とする。
慶應義塾大学卒。
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