作成日
:2018.05.02
2022.01.28 11:23
欧州証券市場監督局(The European Securities and Markets Authority)【以下、ESMAと称す】は、個人投資家保護の観点から、同局が提案していた最大で1:30までのレバレッジの引き下げ案等の新規制の導入を決定したことを明らかにした。
ESMA関係者は、トレーダーに規制された安全性の高い環境を提供することは、レバレッジ規制で得る不利益さを上回るとして、新規制導入の意義を強調している。しかし、業界関係者は以前より新規制導入による影響への懸念を示しており、導入決定後もその懸念は晴れることはなく、EUのブローカーは新規制をしぶしぶ受入れざるを得えない状況にあるようだ。
新規制の導入により、規制下のブローカー達は、ESMAが規定するレバレッジよりも高いレバレッジを提供するオフショアブローカーへの乗り換えを懸念していたが、オフショアブローカーを選択した場合、資金の安全性や不利なスリッページなど、大きなリスクが伴うことに留意しなけらばならない。いずれにしろ、この度の新規制の導入は、各ブローカーが自社の規定内容を見直す良い機会にもなるであろう。より安全で信頼性のあるトレード環境を構築し、不正を根絶することは、FX業界すべての関係者が共通に持つ目標であることには違いない。
また、規制下で運営するブローカーは、規定を遵守する必要があるため、顧客にハイリスクなサービスが提供されることは少なく、取引や出金、倒産などでブローカーとの間で争いが起こる可能性は低いという考えもある。
なお、日本では数年前にESMAよりも厳しいレバレッジ25倍を上限とする規制が導入され、海外FXブローカーへの流出は避けられなかったものの、日本のFX業界はその後も成長が続いている。昨今は10倍までの引き下げが検討されているが、新規制の導入後のEUのFX業界の動向が注目される。
release date 2018.5.1
作成日
:2018.05.02
最終更新
:2022.01.28
国内及び外資系金融機関に15年弱勤務し、現在は独立。
執筆と翻訳は、海外FXを始めとする金融分野を専門とする。
慶應義塾大学卒。
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