作成日
:2018.04.26
2021.08.31 15:23
イーサリアムの基盤であるERC20トークンに重大なバグが発見されたことを受け、大手仮想通貨取引所であるOKEx、ポロニエックス、Coinone、HitBTCなどが、ERC20トークンの入金を停止したことが明らかとなった。
この度発見されたバグは、ERC20スマートコントラクトに影響を与えるバッチオーバーフロー(Batchoverflow)と呼ばれるバグで、このバグが悪用された場合、供給枚数以上の通貨を取引することはできないというルールが改ざんされ、制限なくトークンを発行できるようになるという。また、攻撃者が大量のトークンを所有することにより、価格操作が行われる可能性も高まる。
ERC20は、イーサリアム(Ethereum)トークンとスマートコントラクトで使用される技術標準であり、ERC20という規格のトークンを利用することにより、1つのウォレットで様々なトークンを保管する事ができることから、多くのICOで利用されている。
今年初めには、研究者らによりバグの影響を受けやすいイーサリアムスマートコントラクトが34,000件実在していることが指摘されており、今回のバグ発見は、多数の仮想通貨取引所がERC20トークンの入金停止を決断したことからも、深刻な事態であることが伺える。
OKExは、公式ブログにてこの度のバグに関し以下のようにコメントしている。
我々は、新しいスマートコントラクトバグが発見されたことにより、ERC20トークンの入金を停止しています。攻撃者は、このバグを悪用することで膨大な量のトークンを作成し通常のアドレスに格納することができます。つまり、多くのERC20トークンが攻撃者の価格操作を受ける可能性が高いということです。我々は、公共の利益を守るために、バグが修正されるまですべてのERC20トークンの入金を一時停止することを決定しました。また、影響を受けたトークンチームに調査依頼し、攻撃を防ぐために必要な措置を講じております。
OKEx
また、攻撃者がトークンを作成し、それをイーサリアムやビットコインに交換した場合、資産価格に影響が及ぶ他、特にイーサリアムエコシステムの信頼性をゆるがす結果につながる可能性も考えられる。
ERC20トークンが盗まれたり、凍結や複製されたりすることが可能であるということは、イーサリアムのプロトコルに基いて構築されたプロジェクトや既存のトークンにとって重大な脅威であることは間違いない。また、ERC20は多くのICOで利用されているトークンであるため、2次被害を防ぐためにも今回のバグについての詳しい調査が急がれる。
release date 2018.4.26
作成日
:2018.04.26
最終更新
:2021.08.31
米大学で出会った金融学に夢中になり、最終的にMBAを取得。
大手総合電機メーカーで金融ソリューションの海外展開を担当し、業界に深く携わる。
金融ライターとして独立後は、暗号資産およびブロックチェーン、フィンテック、株式市場などに関する記事を中心に毎年500本以上執筆。
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