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リピート注文に適した通貨ペア・期間とは?理想的な運用方法を解説

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update 2024.05.30 09:54
リピート注文に適した通貨ペア・期間とは?理想的な運用方法を解説

update 2024.05.30 09:54

リピート注文(グリッドトレード)に有利な条件が揃えば、多くの利益を得られる可能性があります。一方で、規律のない取引は、大きな損失につながる可能性があるため注意が必要です。この記事ではリピート注文を行う方法を解説します。また、有利な値動きや理想的な取引期間、取引すべき通貨ペアなども紹介します。

リピート注文の特徴

リピート注文(グリッドトレード)は、広い範囲にわたって同時に複数の注文を配置する取引手法です。トレーダーは、事前に決めておいた価格で取引を繰り返します。

グリッド取引の特徴

上記のチャートは、1.0800での買い注文が2回実行されたことを示しています。しかし、1.0500のエントリー注文は、価格がそのレベルまで下がらなかったため、執行されませんでした。利益を得るためには、保ち合い相場を見つけて、サポートラインとレジスタンスラインの間に注文を配置することが重要です。

理想的な取引期間

i-NET証券は、「Loop-If-Done」と呼ばれるリピート注文サービスを提供する日本の外国為替ブローカーです。このサービスのユーザーは、5年間(2018~2023年)で平均して91万円(2024年1月時点)の利益を得ています。

Loop-if-Doneは長期取引に適した取引手法の1つといえるでしょう。

Loop-If-Done

i-NET証券の事例は5年にわたる長期的な運用成績の結果で、短期取引については触れられていません。リピート注文の特性上、Loop-if-Doneで短期取引を行っていたユーザーは平均してマイナスになっている可能性があります。

短期取引

経験豊富で成功しているトレーダーでない限り、短期取引にリピート注文を使用するべきではありません。なぜ短期でのリピート注文を避けるべきなのか理由を説明しましょう。

30分チャート

ユーロドル30分足チャート

価格が横ばいで推移しているユーロドルの30分チャートを例に解説します。レンジ上部では同じような高値をつけて、水平なレジスタンスレベルを形成しています。一方、レンジ下部では同じような安値をつけて、水平なサポートレベルを形成している局面です。

リピート注文では、レジスタンスラインとサポートラインの間に一連の注文を設定して売買を繰り返します。価格が2つのラインの間に留まる場合、レンジ内で繰り返される値動きを利用して、複数回利益を得ることができるでしょう。

注文を設定

事前に決めておいたエントリー・決済注文の水準を青いラインで表示しました。

買いのエントリー注文が実行されると、ポジションは事前に設定しておいた利益幅で決済されます。ポジションを決済した後は、前回と同じ価格に新しい買い注文を設定するというのがリピート注文の基本的な流れです。

エントリー・決済したポイント

上記の例では、1日の間に22回の決済注文が執行されたものの、4つの買いポジションが未決済の状態です。赤い点は新しい買いのエントリー注文が執行された箇所で、矢印の先端は決済したポイントを示しています。

サポートラインとレジスタンスラインは約50pips離れており、決済注文ごとに比較的小さな利益を得られました。注目すべきは、22回の取引すべてが利益をもたらし、損失を出さずに100%の成功率を達成したことです。

興味深い結果ではあるものの、短期でのリピート注文は容易ではありません。短期取引にリピート注文が向かない理由を説明しましょう。

日足チャート

ユーロドル日足チャート

このチャートでは、先ほどの30分足チャートと同じ時期の値動きを日足で表示しています。30分足では横ばいに動いているように見えましたが、日足チャートでは上昇トレンドです。

上向きのトレンドが続く場合、買いエントリーでのリピート注文では利益を得られるかもしれませんが、売り注文エントリーのリピート注文では損失が発生する可能性があります。30分足チャートの例では、リピート注文で継続的に利益を得られるとは限りません。

30分足チャートでは、レジスタンスラインとサポートラインが頑丈に見えましたが、テクニカル分析の観点から日足チャート上では強固なラインとはいえません。リピート注文で長期的・安定的に利益を得るには、より頑丈なラインが必要です。

短期取引の難しさ

リピート注文の短期取引には、次のような特徴があります。

  • レジスタンスラインとサポートラインが互いに近い
  • 取引1回あたりの利益は比較的小さい
  • 安定的にパフォーマンスを発揮できない可能性がある

取引の初期段階では、利益よりも含み損の方が大きくなる傾向にあります。ロングポジションを保有しているトレーダーは価格が上昇すると利益を得ることができますが、ショートポジションを持つトレーダーは損失を被る可能性があります。この場合、リピート注文と裁量取引の違いはわずかです。

他の手法で利益をあげられている人であれば、短期のリピート注文で利益を得ることができるかもしれませんが、大多数のトレーダーは短期のリピート注文で利益を得るのは難しいでしょう。

短期取引にリピート注文を使用する場合、価格のボラティリティを確認することが望ましいです。ボラティリティが高い通貨ペアであれば、短期間で複数回利益を得ることができるでしょう。Myforexでは、銘柄ごとのボラティリティをチェックできるツールを提供しています。

長期投資

すべての通貨ペアが長期のリピート注文に適しているわけではありません。

長期投資に適した通貨ペアの例

豪ドルNZドル月足チャート

上記の月足チャートは、2013年9月から2024年1月までの約10年間の豪ドルNZドルのレートを表示したものです。

この通貨ペアでリピート注文を行っていた場合、約10年間にわたって売買が繰り返され、勝率も100%になっていたでしょう。上記のチャートではサポートラインが約1.0000、レジスタンスラインは約1.1500にあり、レンジの値幅は約1,500pipsです。

これらのラインは10年にわたって機能していることから、強固なサポート・レジスタンスラインであることがわかります。

50pipsごとにエントリー注文を仕込む場合、レンジ内に30ヶ所(1.0000、1.0050...1.1400、1.1450)の指値買い注文を設定できます。指値注文ごとに1ロットを買う場合、同時に保有する可能性がある最大ポジションサイズは30ロットです。

自己資金に対して30ロットが大き過ぎる場合は、ロットサイズを減らすと良いでしょう。指値注文1回あたりのサイズを0.1ロットに減らすと、最大ポジションサイズは3になります。

point 資金管理が必要不可欠

豪ドルNZドルのサポートラインとレジスタンスラインは、約10年もの間機能してきました。しかし、将来的にこれらのラインをブレイクする可能性もあります。リピート注文を開始する前に、取引を終了する条件を決めておき、資金管理を徹底することが重要です。

売りエントリーも可能

豪ドルNZドルのような値動きの通貨ペアでは、買いだけではなく売り注文でエントリーすることもできます。

将来的にレートが1.0000を下回る可能性が、1.1500を超える可能性よりも高いと考えるのであれば、売りでエントリーしたほうが良いでしょう。売りエントリーでリピート注文を行い、価格が1.0000を下回った場合、すべてのポジションから利益を得ることができます。

裁量取引で100%の勝率は考えにくいですが、リピート注文では十分あり得る話です。

買いエントリーでリピート注文を行っている状態で、価格が1.0000を下回った場合でも、利益を得ることができます。最終的に価格が1.0000を下回ったとしても、先述の豪ドルNZドルのケースでは、複数回利益を得ていたはずです。

価格がレンジ内で推移している間に積み上げた総利益が総損失を上回っている場合、最終的な損益はプラスになります。

買い・売り両方でのエントリーも可能

新しい買いと売りのポジションを同時に保有して利益を得ることもできます。

買いによるグリッド取引

買いでエントリーする場合は3つの赤い点で買い、青い点で売ることで3回利益を得ることができます。

売りによるグリッド取引

売りでエントリーする場合は3つの赤い点で売って、青い点で買い戻すことで3回利益を得ることができます。

売り・買いによるグリッド取引

買い・売り両方の取引を行うことで、上昇・下降どちらの値動きからも利益を得ることができます。買いエントリーまたは売りエントリーのみで取引する場合と比較して、利益を得る機会を実質的に倍増させることができます。

この例では、レンジの底で買いポジション、天井で売りポジションを保有しています。価格がサポートラインまたはレジスタンスラインをブレイクした場合、大きな損失を避けるために損切りが必要です。

買いエントリーのみでリピート注文を行っているときに、価格がレジスタンスラインを超えた場合、損切りは必要ありません。しかし、下降する値動きを利用して、利益を得る機会が制限されることになります。

売り・買い両方でエントリーすると、ブレイク発生時に損切りが必要になるケースが多くなるものの、損切りによる損失を差し引いても、利益が残る可能性が高いため取引を続けることができます。

買いか売りのどちらか片方のみでリピート注文を行う場合と、売り・買い両方で取引する場合の違いをまとめると以下のようになります。

エントリー 利益を得られる機会 サポートライン
ブレイク時の損切り
レジスタスライン
ブレイク時の損切り
売り・買い両方 2倍 必要 必要
買いのみ 1倍 必要 -
売りのみ 1倍 必要

利益を得られる機会

売り・買い両方 2倍
買いのみ 1倍
売りのみ 1倍

サポートラインブレイク時の損切り

売り・買い両方 必要
買いのみ 必要
売りのみ

レジスタスラインブレイク時の損切り

売り・買い両方 必要
買いのみ -
売りのみ 必要

サポートラインがレジスタンスラインよりも強固な場合、買いのみで取引したほうが、売りのみの方法や買い・売り両方でのリピート注文よりも、高い利益を得られる可能性があります。しかし、サポートラインとレジスタンスラインの両方が十分に強い場合、買いと売りの両方で取引したほうが効果的かもしれません。

どの方法を選択すべきかわからないときは、買いのみまたは売りのみの方法を使用すると良いでしょう。売りか買いの片方のみのリピート注文であれば、両方で取引する場合よりもポジション数が少なくなるので管理が簡単です。

先入れ先出し(FIFO)注文はオフ

リピート注文を手動で行い、先入れ先出し(FIFO)注文を使用する場合、意図せずに閉じるべきでないポジションが決済されてしまう可能性があります。意図せずにポジションを閉じることを避けるために、リピート注文を手動で行う場合は、FIFOの注文をオフにすることが望ましいかもしれません。

FIFO注文はオフにしておく

価格がポイントCに達したとき、Bで購入したポジションを閉じる必要があります。

しかし、FIFOの注文が有効になっている場合、ポジションAが閉じられます。決済の順序は長期的な利益と損失に影響しませんが、FIFOの注文なしで取引する方が簡単です。

リピート注文に向かない通貨ペアの例

特に新興市場の通貨ペアで、価値が継続的に上昇または下降する通貨ペアは、リピート注文に適していません。

USD/TRY
米ドルトルコリラ

米ドルトルコリラの為替レートは継続的に上昇しています。上記のチャートは、2019年5月から2024年1月までの値動きです。

2019年5月の為替レートは約6リラであり、2024年1月には約30リラでした。トルコリラは、米ドルに対して約80%も価値を減少させています。

米ドルトルコリラは現在上昇トレンドにあり、リピート注文でこの通貨ペアを繰り返し取引することは困難です。代わりに、米ドルトルコリラの買いポジションを長期間保有した方が利益を得られるかもしれません。

ただし、米ドルトルコリラを買って長期間保有すると、マイナスのスワップポイントが原因で大きな損失を被る可能性があるので注意しましょう。

USD/ZAR

米ドル南アフリカランド

米ドル南アフリカランドも新興市場の通貨ペアです。2011年1月の価格は約7ランドでしたが、2024年1月までに約19ランドに上昇しました。保ち合いや下降トレンドの時期もありましたが、価格は10年以上にわたって上昇しています。

リピート注文が効果を発揮するには、サポートラインまたはレジスタンスラインを見つける必要があります。しかし、米ドル南アフリカランドのチャート上でこれらのラインを見つけるのは困難です。

新興国の通貨ペアは基本的に向いていない

ボラティリティが高い新興国の通貨ペアを観察すると、リピート注文で利益を得る機会を見つけられることがあります。しかし、新興国の通貨は、数十年にわたって価値が継続的に減少することもあるため、長期的なサポートラインやレジスタンスラインを特定することは容易ではありません。

point 新興国の通貨ペアでのリピート注文

この記事では、新興国の通貨ペアでのリピート注文を推奨していません。しかし、価格が動く限り、これらのペアでリピート注文を使用して利益を得ることも不可能ではありません。新興国の通貨ペアでリピート注文を行う場合、より厳格にリスクを管理する必要があります。

保ち合い相場での長期運用が効果的

経験豊富で成功しているトレーダーは、価格が上昇するときに金融商品を購入し、含み損が大きくなる前にそれらを売却することができます。

しかし、多くのトレーダーにとって取引ポイントを正確に見つけることは困難です。利益を得られる新しい取引手法を探している場合、リピート注文は効果的な手法かもしれません。

取引ポイントを見つけるよりも、サポートライン・レジスタンスラインを見つける方が簡単です。また、短期チャートよりも長期チャートの方が、より頑丈なサポートラインやレジスタンスラインを見つけやすいです。

i-NET証券の事例が示しているように、長期的なリピート注文は経験の浅いトレーダーでも利益を得られる可能性がある取引手法といえるでしょう。

ネット上で販売されているリピート注文に特化したEAを利用すれば取引の自動化が可能です。また、プログラミングのスキルがあれば、自分でリピート注文用の自動売買システム(EA)を作成することもできます。EAの設定方法については、下記のページをご覧ください。


Date

作成日

2024.02.21

Update

最終更新

2024.05.30

Myforex編集スタッフーFX担当ー

短期が中心のトレーダーや中長期が中心のトレーダー、元プロップトレーダー、インジケーターやEAの自作を行うエンジニアなどが在籍。資金を溶かした失敗や専業トレーダーに転身した経験など、実体験も踏まえてコンテンツを制作している。

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