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ハッシュレートが上がるとどうなる?上昇するタイミングや調べ方を解説

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update 2023.12.19 16:32
ハッシュレートが上がるとどうなる?上昇するタイミングや調べ方を解説

update 2023.12.19 16:32

ハッシュレートはコンピュータの計算速度を示す単位で、これを見れば1秒間でどれだけの計算をこなしているかが分かります。ビットコインと関連が深く、過去からの推移を見ると上昇し続けていることが分かります。

そこで当記事では、ハッシュレートはなぜ上がるのか、上がるとどうなるのか、ハッシュレートの調べ方などを解説します。

ハッシュレートとは

ハッシュレートとはコンピュータの計算速度を示し、「H/s(ハッシュ毎秒)」の単位で表されます。

ビットコイン(BTC)などPoW(プルーフ・オブ・ワーク)型のブロックチェーンは、ブロックを生成するために世界中のコンピュータの計算力を利用しています。そして、最初に特定の計算を解いたコンピュータは、報酬としてビットコインなど仮想通貨(暗号資産)をもらえます。これをマイニングと呼び、マイニングに参加する人をマイナーといいます。

ハッシュレートは上がり続けた

そこで、報酬が欲しい人は、より大きな計算力を投入して他者よりも早く計算しようとします。ビットコインを欲しい人は大勢おり、各自が大きな計算力を投入するので、ビットコインのハッシュレートは年々増大しています。

その結果、今では「TH/s(テラハッシュ毎秒)」や「EH/s(エクサハッシュ毎秒)」の単位が利用されるまでになりました。

単位の名前とその意味は以下のとおりで、あまりに数字が大きくて理解が難しいです。1EH/sとは「1秒間の計算回数は1兆の100万倍である」という意味です。

単位 意味
hash
(ハッシュ)
1
K
(キロ)
1,000
M
(メガ)
1,000,000
G
(ギガ)
1,000,000,000
T
(テラ)
1,000,000,000,000
P
(ペタ)
1,000,000,000,000,000
E
(エクサ)
1,000,000,000,000,000,000

ビットコインが登場した当初は、個人PCの余った計算力を使ってマイニングできました。しかし、ビットコインが欲しい人が増えた結果、効果的にマイニングするには工場のようなコンピュータ群が必要になりました。

そこで、個人でもマイニングに参加できるよう、クラウドマイニングという考え方も登場しています。

ハッシュレートの推移

直近のハッシュレートは上がっていますが、ビットコインが登場した2009年は小さな数字でした。この様子をグラフで確認します。

採掘難易度の推移

画像引用:Blockchain.com

2017年くらいまでは地を這うような推移でしたが、それ以降、急上昇している様子が分かります。途中で何度か下落する場面もありましたが、上昇トレンドに変化はありません。特に、2022年以降はビットコイン価格が下落したにもかかわらず、ハッシュレートは上がり続けており、興味深いです。

ビットコインの調整機能

ビットコインは、平均的にみて10分間に1つのブロックが作られます。そして、マイナーは最新鋭機器を投入して計算力を上げていきます。すると、問題の難易度が一定なら、問題を解くのに必要な時間は短くなってしまいます。

そこで、ビットコインには問題の難易度(ディフィカルティ)調整機能があります。投入されるハッシュレートの大きさを考慮して問題の難易度を調整し、10分程度でブロックが作られるようにしています。

下は、マイニング難易度の推移を示しています。2017年くらいを境にして難易度が急上昇を始めており、このころから多くのマイナーが参入したことが分かります。また、ハッシュレートのグラフとほぼ同じ推移になっていることも分かります。

採掘難易度の推移

画像引用:Blockchain.com

なお、ディフィカルティのグラフは、ハッシュレートのグラフと比べてギザギザが少なく、やや滑らかな動きになっています。この原因は、ディフィカルティの調整方法にあります。

ディフィカルティ調整は、2016ブロック(およそ2週間)ごとに実施されます。ハッシュレートは日々変化するのに対してディフィカルティ調整は2週間に1回なので、グラフもギザギザが少なくなります。

人気のバロメーター

ハッシュレートが上がるということは、より多くのマイナーがマイニングに参加しているということです。そして、多くのマイナーが参加すると競争が激しくなるので、他人より多くの計算力を投入して有利にマイニングしようとします。

これが繰り返されることにより、ハッシュレートは延々と大きくなってきました。このため、ハッシュレートは人気のバロメーターとして使用できます。ハッシュレートが大きくなればなるほど、人気が高いといえます。

ハッシュレートが上がるとどうなる?

ハッシュレートが上がると、ブロックチェーンに以下の影響があります。

セキュリティの向上

ビットコインなどPoW型ブロックチェーンに対する攻撃方法の一つに、51%攻撃があります。しかし、ハッシュレートが上がると51%攻撃は難しくなります。

マイナーは最初に計算を解くとマイニングに成功し、新規にブロックが作られるとともに報酬のビットコインをもらえます。しかし、ブロックが新しく作られる前に、もう一つステップがあります。それは、「マイニング参加者がブロックの中身をチェックし、参加者の総ハッシュレートの半数以上が中身について承認すること」です。

このチェック機能のおかげで、詐欺的なトランザクションや間違いのトランザクションがブロックに混ざらないようにしています。

あるとき、悪意ある人がハッシュレート全体の51%の計算力を投入したとします。すると、ハッシュレートが大きいので最初に計算を解きやすくなりますし、解いた後の承認プロセスも問題なく通過できます。こうすれば、悪意あるトランザクションをブロックに含められます。

ただし、ビットコインのようにハッシュレートが巨大になると、51%のハッシュレートを確保するのは事実上不可能です。すなわち、ハッシュレートが大きいとセキュリティが向上します。

51%攻撃によるハッキングの事例

これまで、ビットコインが51%攻撃の被害にあったことはありません。しかし、イーサリアム・クラシック(ETC)やモナコイン(MONA)など他のブロックチェーンでは、過去に何件か発生しています。

このうち、イーサリアム・クラシックは2020年8月に複数回の攻撃を受け、700万ドル以上の仮想通貨が不正に流出しました。

寡占リスク

ビットコインが登場して以降しばらく、マイナーの総ハッシュレートは低い水準で推移しました。このため、個人でも気軽にマイニングに参加できました。

しかし、マイニングに必要なハッシュレートがあまりに大きくなると、マイニングするには大きな資本が必要になります。小資本の個人はマイニングプールに参加することになり、マイナー数は集約されています。

これを示したのが、下のグラフです。上位10個のマイナーがハッシュレートの大半を占めている様子が分かります。

マイナーの市場シェア

画像引用:statista

多様性が乏しいと、特定のマイナーによるビットコインの独占や、結託による51%攻撃の可能性が出てきます。

実際に51%攻撃が行われると、ビットコインは信用を失って暴落する可能性があり、マイナーにとって自殺行為になります。このため、51%攻撃の心配はないかもしれませんが、独占の可能性は残り続けます。

独占される場合、ビットコインのプログラム変更について、独占者の意向に基づいて意思決定される可能性があります。

環境問題

ハッシュレートの増大は、世界中でマイニングマシンが追加的に投入されていることを意味します。そして、マイニングマシンを稼働させるには電力が必要で、この電力消費量がしばしば環境問題に絡めて問題視されてきました。

2022年、この流れを受けてEUはPoW型の仮想通貨の禁止を検討しました。結局禁止には至らなかったものの、今後も電力消費問題が持ち上がる可能性があります。

ハッシュレートの上昇に注目が集まる

当記事執筆時点(2023年4月4日)で、Twitter(ツイッター)上ではビットコインのハッシュレート上昇に注目が集まっています。

ビットコイン価格は2023年初旬から上昇を続けており、それに伴ってハッシュレートも高くなっています。2023年3月末、ハッシュレートは過去最高を更新しています。

下のグラフはその様子を示しています。2023年1月以来を表示しており、黒線はビットコイン価格で青線はハッシュレートです。両方とも右肩上がりになっている様子が分かります。

ビットコイン価格とハッシュレートの推移

画像引用:Blockchain.com

この現象は、マイナーがビットコイン価格の上昇に沿ってマイニングを活発化させていることを意味します。

なお、直近のハッシュレート上昇はビットコイン価格上昇を受けたものではなく、2022年も継続的に上昇していました。

下のグラフの赤枠は、2021年のビットコイン最高値から2023年1月の安値までを示しています。この間、ビットコインの価格は4分の1くらいまで下落しましたが、ハッシュレートは上昇を続けました。

ビットコイン価格とハッシュレートの推移

画像引用:Blockchain.com

ハッシュレートの上昇は新機材の追加投入を意味しますから、マイナーの運営コストが大きくなったということです。そして、ビットコイン価格が下落すると、マイニングに成功してビットコインを手に入れても、収入が期待ほど大きくありません。

すなわち、2022年はマイナーにとって厳しい期間でした。さらに、2022年はFTXの破綻など仮想通貨をめぐる混乱が相次ぎ、仮想通貨冬の時代とも言われました。

この状況でもハッシュレートが上昇し続けたということは、マイナーは長期的なビットコイン価格上昇を予見していたということです。将来的にビットコイン価格が上昇するなら、現在の状況は厳しくても設備投資しようと判断するでしょう。

ハッシュレートが上昇するタイミング

ハッシュレートは日々変動しており、その推移を正確に予測することはできません。しかし、ハッシュレートの上昇タイミングは、いくつかのパターンがあります。

価格上昇が期待されているとき

マイナーは稼ぐためにマイニングしています。このため、現在のビットコイン価格が重要ですが、将来の価格見通しも重要です。将来の価格が上昇するなら、マイナーは設備投資してマイニングマシンを新規投入します。

下のグラフは、ビットコイン誕生以来の価格とハッシュレートの推移を示しています。黒線はビットコイン価格、青線はハッシュレートです。

ビットコイン価格上昇時にハッシュレートが上昇するのは、理解しやすいです。マイニングすればするほど利益になるからです。

しかし、赤枠で囲った時期はビットコイン価格が下落している期間であり、この期間もハッシュレートは上昇し続けました。すなわち、マイナーは下落期間中もビットコイン価格の上昇を見込んでいたということです。

ビットコイン価格とハッシュレートの推移

画像引用:Blockchain.com

途中でハッシュレートが急落した時期もありますが、基本的には上昇一辺倒となっています。ビットコイン価格の上昇期待が継続する限り、ハッシュレートは上昇しつづける可能性があります。

新型マイニングマシンが普及した時

ビットコインのマイニングには、ASIC(エーシック、Application Specific Integrated Circuit)と呼ばれるマイニング専用のマシンを使います。そして、このマシンの性能は固定でなく、時とともに新型が開発されています。

新型マイニングマシンは、既存のマシンよりも高いパフォーマンスを発揮します。このため、マイナーが古いマシンを新型と交換するだけでハッシュレートが増加しますし、業容を拡大して新型を導入すれば、その分さらにハッシュレートが増加します。

ハッシュレートのチャートの調べ方

ハッシュレートは各種ウェブサイトで確認できます。例えば、Blockchain.comは、様々なデータを無料で公開しています。下の画像、左側のナビゲーションから、「Mining Information」「Total Hash Rate(TH/s)」を選択すれば、ハッシュレートのチャートを参照できます。

Blockchain.comのハッシュレートの調べ方
Blockchain.comのハッシュレートの調べ方

画像引用:Blockchain.com

中長期的な価格予想に使える

ビットコイン価格は、時とともに大きく変動してきました。2013年、2017年そして2021年に大幅上昇し、その翌年には暴落しました。しかし、ハッシュレートは上昇を続けています。マイナーは、ビットコインの中長期的な上昇を見込んでいるということです。

今後のビットコイン価格がどうなるか、それは誰にも分かりません。しかし、少なくともマイナーは中長期的な上昇を予想していることが分かります。ビットコインの価格予想をするにあたり、ハッシュレート動向を参考にできそうです。


Date

作成日

2023.04.10

Update

最終更新

2023.12.19

Zero(ゼロ)

米大学で出会った金融学に夢中になり、最終的にMBAを取得。
大手総合電機メーカーで金融ソリューションの海外展開を担当し、業界に深く携わる。
金融ライターとして独立後は、暗号資産およびブロックチェーン、フィンテック、株式市場などに関する記事を中心に毎年500本以上執筆。
投資のヒントになり得る国内外の最新動向をお届けします。

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