Select Language

​​セミファンジブルトークンとは?その特徴やNFTとの違い、将来的な利用例を解説

​​セミファンジブルトークンとは?その特徴やNFTとの違い、将来的な利用例を解説

  • twitter
  • facebook
  • LINE
  • RSS

  • twitter
  • facebook
  • LINE
  • RSS
update 2023.03.16 15:30
​​セミファンジブルトークンとは?その特徴やNFTとの違い、将来的な利用例を解説

update 2023.03.16 15:30

仮想通貨(暗号資産)市場では、日進月歩で技術が進化しています。最近では、トークン規格も多様化しており、セミファンジブルトークン(Semi-Fungible Token、SFT)と呼ばれる新たな仮想通貨も登場しています。

セミファンジブルトークンは、ノンファンジブルトークン(Non-Fungible Token、NFT)とファンジブルトークン(Fungible Token、FT)の特性を持ち合わせた仮想通貨です。当記事では、セミファンジブルトークンの概要を説明した上で、その特徴や将来的な利用例などを解説していきます。

セミファンジブルトークンとは?

セミファンジブルトークンは、通常の仮想通貨とNFTの両方の特徴を持つ仮想通貨です。場合によっては、ハイブリッドトークンと呼ばれることもあります。

主にイーサリアム(ETH)上で、ERC-1155やERC-3525というトークン規格で発行可能です。ERC-3525は2022年9月に採用されたばかりの新しいトークン規格で、より柔軟性の高い機能を備えています。既に一部のゲームは、セミファンジブルトークンとしてゲームアイテムを発行しており、NFTマーケットプレイスで販売しています。

下の画像は、NFTマーケットプレイス「Magic Eden」からの引用で、SFTが販売されていることが分かります。

Genopets

画像引用:Magic Eden

セミファンジブルトークンを理解するためには、仮想通貨の代替性を理解する必要があります。仮想通貨の分類別に、それぞれ代替性に焦点を当てながら説明していきます。

ファンジブルトークン

ファンジブルトークンとは、ビットコインやイーサリアムなど従来の仮想通貨を指します。日本語で代替性トークンと訳され、同一の仮想通貨ならばどれでも全く同じで等価です。

例えば、500円玉はどれも同じ見た目で同じ価値を持っています。交換しても価値等に変化はありません。ビットコインなどのファンジブルトークンも同様で、自分が持っている1BTCと他人が持っている1BTCは全く同じで区別できません。

ノンファンジブルトークン

ノンファンジブルトークンは一般的にNFTと呼ばれ、ファンジブルトークンとは真逆の存在です。発行される全ての仮想通貨が、代替不可能で唯一無二の存在となっています。主にデジタルアートやPlay to Earnのブロックチェーンゲームなどに利用されています。

point Play to Earnとは

Play to Earnとは、遊んでお金を稼ぐことを指します。すなわち、ブロックチェーンゲームで遊ぶと、NFTや独自仮想通貨などの報酬を得られます。Play to Earnから派生したMove to Earn(運動して稼ぐ)なども、流行しています。

デジタルアートやPlay to Earnのプロジェクトでは、見た目が似たような、または、全く同じものがNFTとして発行されることがあります。そして、それぞれ全く別のものとして扱われます。

例えば、日本最大級のブロックチェーンゲーム「クリプトスペルズ」では、ゲームプレイに必要なカードがNFTとして発行されています。下の画像内、強調したカードを比較しますと、絵もレベルも全く同じです。しかし、前述したように、明確に別物として扱われています。

クリプトスペルズ

画像引用:Crypto Spells

セミファンジブルトークン

セミファンジブルトークンは、トークン規格(ERC-1155とERC-3525)によって若干の違いがあるものの、いずれもひとつのSFTに複数のデータを紐付けることができます。

NFTは、画像等のデータと1対1の関係で紐付いています。一方、セミファンジブルトークンは、1つのデータに複数のデータが紐付いている関係を作れます。

NFTとSFTの比較画像

そして、SFTとして扱われる間、外部データはファンジブルトークンと同様に扱われます。すなわち、個々のデータは交換可能です。しかし、特定の条件が満たされるとNFTとして扱われます。

この特徴により、ファンジブルトークンとノンファンジブルトークンの中間的な位置にあるといわれます。

セミファンジブルトークンの特徴

セミファンジブルトークンはどのような特徴を持っているでしょうか。具体的には、以下のようなものが挙げられます。

統合や分割が可能

ビットコインは、1BTCや2BTCのように数えることができます。そして、NFTはそれぞれが代替不可能な仮想通貨であり、数量は常に1です。ビットコインのように1未満の数量を取引したり、複数をまとめて取引したりできません。

一方、ERC-3525に準拠するセミファンジブルトークンは、ビットコインのように数えることができます。すなわち、あるSFTにデータを追加して数量を増やしたり、データを抜いて数量を減らしたりできます。

代替性を操作できる

セミファンジブルトークンは、どのような条件が満たされたらNFTとして取り扱うのか、プログラムで指定することができます。

誤送金に対応

ビットコインなどの一般的な仮想通貨の場合、誤って間違ったアドレスに送信してしまうと、もう取り戻すことはできません。誤送金先のウォレットの所有者が善人で、わざわざ返送してくれることに期待するしかありません。

しかし、SFTの場合、誤送金しても取り戻すことができます。仮想通貨送金の際には送金先アドレスのチェックが大変重要で、これがユーザーに大きなストレスを強いてきました。SFTが普及すれば、このストレスを大幅に緩和できると予想できます。

取引手数料を割安にできる

複数のNFTを他のウォレットに送る場合、1つずつ送信する必要があります。すなわち、1つ送るたびに手数料が必要になります。しかし、セミファンジブルトークンは1つにまとめて送信できますので、手数料支払いは1回で済みます。

将来的な利用例

セミファンジブルトークンは、以下のような分野で期待されています。既に活用されているケースもあります。

ブロックチェーンゲーム

Play to Earnのブロックチェーンゲームでは、アバター(ゲーム内のキャラクター)や土地、ゲーム内アイテムなどがNFTとして発行されています。そしてこれらのNFTの中には、全く同じ機能でもシリアル番号が違うだけで別扱いされているものが多く存在します。

これまでのトークン規格であれば、ゲーム内のアバターや土地、ゲーム内アイテムの供給数だけ独立したNFTを発行する必要がありましたが、セミファンジブルトークンを採用すると、それを簡素化することが可能となります。

下の画像は、同一のアイテムをどのように表示するかという比較です。NFTの場合、見た目も機能も同じでも、それぞれ別です。すなわち、同じ絵を6つ並べる必要があります。しかし、SFTならば「×6」などと簡潔にできます。

ゲーム内のアイテムなどは無数に同じものが存在して、プレイヤーにとっては代替性があるに等しいです。よって、セミファンジブルトークンが向いています。

アイテムをNFTとSFTで作る

既にゲーム分野では、Move to Earnの「Genopets」がセミファンジブルトークンを採用したり、「Niftyswap」と呼ばれるセミファンジブルトークン対応のマーケットプレイスが誕生したりしています。

チケット

NFTチケットとは、イベントなどのチケットをNFTの形式で発行したものです。欧州のサッカー界などで採用され始めており、日本ではパリ・サンジェルマンのジャパンツアーで最高1,000万円のNFTチケットが販売されたことが話題となりました。

チケットの分野も、セミファンジブルトークンに向いていると考えられます。チケットは大量に発行されるので、ひとつひとつが独立したNFTとして発行するよりも、セミファンジブルトークンの形式でまとめて発行する方が合理的かもしれません。

紙のチケットの半券を記念として保管するのと同様に、NFTチケットはイベント終了後にコレクションになります。セミファンジブルトークンであれば、使用後のチケットをNFT化できるので、コレクターの需要を満たせるかもしれません。

チケットをNFTとSFTで作る

金融NFT

金融NFTとは、株や債券などをNFT化したものです。セミファンジブルトークンは、数量の概念があって統合したり分割したりできるので、金融NFT分野に適していると期待されています。

現時点の利用例としては、不動産の権利を分割して販売したり、株式を取引したりすることが可能になると予想されています。

例えば、Web3.0時代のデジタル資産を推進する「Solv Protocol」が、セミファンジブルトークンを用いた債券発行を計画しています。

point Web3.0とは

Web3.0とは、分権化された次世代のインターネット環境を指します。現代の中央集権型インターネット環境(Web2.0)は、大手IT企業が強い影響力を持っています。その一方、Web3.0では、個々のユーザーが重要な役割を担います。

金融商品がトークン化されれば、既存の金融市場をトークンエコノミー(仮想通貨を中心にした経済)に取り込むことが容易になります。結果的にDeFi(分散型金融)に更なる広がりをもたらす可能性があります。

可能性は無限大

セミファンジブルトークンは新しい存在です。仮想通貨市場での開発はこれからの段階で、どのような利用例が生まれるかは未知数です。しかし、期待されている分野でもあります。

今後、NFTは数十億ドルから数百億ドル規模の市場を作ると予想されており、セミファンジブルトークンはそれに貢献することができるでしょうか。興味が湧いた方は、この機会に関連プロジェクトを追ってみるのも良さそうです。


Date

作成日

2022.11.01

Update

最終更新

2023.03.16

Zero(ゼロ)

米大学で出会った金融学に夢中になり、最終的にMBAを取得。
大手総合電機メーカーで金融ソリューションの海外展開を担当し、業界に深く携わる。
金融ライターとして独立後は、暗号資産およびブロックチェーン、フィンテック、株式市場などに関する記事を中心に毎年500本以上執筆。
投資のヒントになり得る国内外の最新動向をお届けします。

この記事は、お役に立ちましたか?

ご覧いただきありがとうございます。Myforexでは、記事に関するご意見・ご感想をお待ちしています。
また、海外FX・仮想通貨の経験が豊富なライター様も随時募集しております。

お問い合わせ先 [email protected]

貴重な意見をいただきありがとうございます。
貴重な意見をいただきありがとうございます。

関連記事

アクセスランキング

トラベルルールとは?TRUSTとSYGNAに二分される取引所に不満噴出

トラベルルールとは、取引所の顧客が仮想通貨を送金する際、送金元の取引所が送金先の取引所に一定の情報を通知するというルールです。日本でも導入され、問題点が明らかになっています。
update2023.05.22 21:00

メルカリでビットコインを買うメリットは?スプレッドは1%で手数料は無料

2023年3月9日、メルカリがビットコイン取引サービスを開始しました。約2週間で利用者数10万人を突破し、大きな話題となっています。
update2023.04.17 21:00

GEMFOREXが出金遅延の原因を公開|50億円の持ち逃げと10億円の未払いの被害も影響

海外FX業者のGEMFOREXが出金遅延問題に関する情報を更新し、2022年後半に決済代行会社による50億円の持ち逃げが発生していたことが明らかになりました。また、別の決済代行会社による10億円の未払いも発生しているようです。全額出金されるのか、ユーザーの間で不安が広がっています。
update2023.05.15 21:00

仮想通貨AZEROの将来性は?高性能ブロックチェーンAleph Zeroの特徴や利用可能なDAppを解説

AZEROはAleph Zeroが発行する独自仮想通貨です。Aleph Zeroはレイヤー1のブロックチェーンで、様々なDappsが開発されています。
update2023.04.17 20:00

Twitterから消えたGEMFOREX|出金遅延に関する通報が原因?

2023年4月27日、GEMFOREX(ゲムフォレックス)の公式Twitterアカウントが、削除されました。ただし、GEMFOREXは引き続きサービスを提供している模様です。
update2023.04.28 21:00

カップウィズハンドルとは?売りでの活用例やだましへの対策も実例で解説

カップウィズハンドルとは、ローソク足が形成するチャートパターンの一種です。価格が上昇したあと、アーチ状に緩やかなカーブを描いて下落してから再上昇し、上方向にブレイクします。この記事では、チャート画像を用いながら、実際に利用したトレードを解説します。
update2023.03.23 19:30

GEMFOREXがNFT「GEM Membership Pass」の先行販売を予告

海外FX業者のGEMFOREXが、GEM Membership Passの抽選販売を実施することを発表しました。GEM Membership Passは、GEM Web3 VisionとよばれるWeb3団体が発行するメンバーシップパスで、購入するとさまざまな特典を受け取れます。
update2023.05.18 19:00

​​会員制NFTマーケットプレイスMOOARとは?登録方法やローンチパッドの仕組みを解説

MOOARは会員制NFTマーケットプレイスで、人気ゲームSTEPNの開発会社Find Satoshi Labによって開発されています。これまでのNFTマーケットプレイスにはなかった機能に加え、STEPNユーザーに特典があります。
update2022.12.27 20:00

イーサリアム2.0のステーキング報酬は何%?やり方やリスクも紹介

イーサリアム(ETH)2.0において、ステーキング向けの預け入れ資産が増加しており、4.5兆円相当になりました。当記事ではステーキング報酬、やり方を紹介します。
update2023.01.20 19:00

Bybitカードが日本上陸か?Bybitのデビットカードの使い道や注意点を解説

Bybitカードは大手取引所Bybitが発行する仮想通貨(暗号資産)デビットカードで、ヨーロッパで利用されています。
update2023.05.23 19:30
youtube youtube

免責事項:Disclaimerarw

当サイトの、各コンテンツに掲載の内容は、情報の提供のみを目的としており、投資に関する何らかの勧誘を意図するものではありません。
これらの情報は、当社が独自に収集し、可能な限り正確な情報を元に配信しておりますが、その内容および情報の正確性、完全性または適時性について、当社は保証を行うものでも責任を持つものでもありません。投資にあたっての最終判断は、お客様ご自身でなさるようお願いいたします。

本コンテンツは、当社が独自に制作し当サイトに掲載しているものであり、掲載内容の一部または、全部の無断転用は禁止しております。掲載記事を二次利用する場合は、必ず当社までご連絡ください。

  • Facebook
  • Twitter
  • LINE

Myforexでは、このウェブサイトの機能向上とお客様の利便性を高めるためにクッキー使用しています。本ウェブサイトでは、当社だけではなく、お客様のご利用状況を追跡する事を目的とした第三者(広告主・ログ解析業者等)によるクッキーも含まれる可能性があります。クッキーポリシー

クッキー利用に同意する
share
シェアする
Line

Line

Facebook

Facebook

Twitter

Twitter

キャンセル