作成日
:2022.10.13
2023.07.01 20:46
2022年10月9日、NFTレンタルのRentaFi(レンタファイ)は、メインネット稼働を正式に発表しました。
RentaFiは日本企業のプロジェクトとして注目を集めており、仮想通貨(暗号資産)市場の未来を変えるかもしれません。NFTのレンタルが普及すれば、その利用例も拡大する可能性があります。
本記事では、RentaFiの仕組みや利用例、将来性などについて解説していきます。
RentaFiは、synschismo(シンシズモ)株式会社が手がけるNFTレンタルサービスです。元々は「Rilascio」という名称でしたが、リブランディングでRentaFiとして生まれ変わりました。2022年8月にベータ版の運用を開始し、10月にメインネットでのリリースに成功しています。
仮想通貨レンディングの要領で、専用のプラットフォームを通じてNFTの貸し借りができます。借り手は手数料を支払い、貸し手は手数料を受け取ることが可能です。
仮想通貨市場では、「BAYC(Bored Ape Yacht Club)」や「CryptoPunks」といったNFTコレクションが人気を集めています。その希少性の高さから投資家も注目しており、個人投資家や機関投資家、DAO(分散型自立組織)がNFTを資産として買い集めています。
これらのNFTには、デジタルアートとしての価値だけでなく、コミュニティの参加資格のようなユーティリティ性も付随しています。従って、投資家が人気NFTを買い占めてコレクションが高額化すると、コミュニティ形成という目的で利用されなくなってしまいます。
人気NFTコレクションは一部の人間が複数のNFTを所有しており、所有者の寡占化が進んでいます。RentaFiはNFTを安全に貸し借りする場を提供することで、この状況を解決します。
投資家はNFTを運用して報酬を得ることができ、借りた人は利用料を支払うだけでNFTを軸とした体験に参加できるようになるのです。
RentaFiは、スマートコントラクトを用いてNFTの貸し借りを可能にします。そのプロセスは自動的に行われ、NFTの紛失や持ち逃げなどが起こらないようになっています。
スマートコントラクトとは、ブロックチェーンを利用した契約の自動履行プログラムを指します。「特定の条件」と「条件が満たされた場合の行動」を記載しておけば、条件が満たされた際にプログラムが自動で実行されます。自動販売機で例えると、「利用者が必要なお金を投入する」、「特定の飲料のボタンを押す」という二つの契約条件が満たされた場合に、自動的に「その飲料を利用者に提供する」という契約が実行されます。
RentaFiは「oNFT(OwnershipNFT)」「yNFT(YieldNFT)」「wNFT(WrappedNFT)」と呼ばれるNFTを発行します。これらを活用して、NFTレンタルを実現します。
貸し手はNFTを預け入れることで、NFT保有者であることを示すoNFT(Ownership NFT)と、報酬を得る権利であるyNFT(Yield NFT)を獲得できます。これらのNFTをバーン(焼却処理)すると、預け入れたNFTと獲得した報酬を得られます。
反対に、借り手は仮想通貨で手数料を支払います。それと引き換えに、ラップドトークンとして発行されるwNFTを借りることができます。
ラップドトークンとは、特定の仮想通貨の価値に連動するトークンを指します。例えば、ビットコインはビットコインブロックチェーン上で流通し、イーサリアムブロックチェーン上で使用できません。そこで、ビットコインと値動きが同じになるトークンを作って、イーサリアムブロックチェーン上で流通させます。これがラップドビットコインです。
RentaFiでは、3つのレンタル方式が用意されています。具体的には以下の通りです。
WrappedNFTを利用して、オリジナルと同等のwNFTを貸し出します。wNFTは通常のラップドトークンとは異なり、NFTとしての本質的な価値を持たないものの、ユーティリティ性が付与されています。
借り手はwNFTを利用して、オリジナルと同じようにコミュニティに参加できます。
ERC-4907は、イーサリアム(ETH)におけるトークン規格のひとつで、NFTのオーナーとユーザーを定義することができます。その特性を利用して、NFTを譲渡しないでユーザーとしての権限のみを貸すことができます。
貸し手からオーナーの権限が離れないため、NFT保有者対象のエアドロップなどの機会を逃さずに済みます。
コントラクトウォレットは、NFTが入ったウォレットごと貸し出す方法です。NFTを転売したり転送したりできませんが、借り手は本物のNFTを借りることが可能です。まだ実装されておらず、詳細は今後公表される見通しです。
RentaFiを利用するのに特別な条件はありません。対応するウォレットさえ保有していれば、借り手にも貸し手にもなることができます。
NFTを借りるには、RentaFiのプラットフォームにウォレットを接続します。「借りる(Rent)」のページで借りたいNFTや期間などを決定すると、レンタルできます。
NFTの返却はスマートコントラクトで自動的に行われるので、気にする必要はありません。
反対にNFTを貸し出すには、「貸し出す(Lend)」のページで諸々の条件を設定します。例えば、レンタルできる日数や1日あたりの価格、支払いに使用する仮想通貨の種類などです。
RentaFiが対応しているNFTコレクションであれば、貸し出すことができます。
当記事執筆時点(2022年10月)で、現実世界のバーの会員証として利用できる「CryptoBar P2P」や、デジタルアートのNFTコレクション「VeryExpensiveKimono」に対応しています。
その他の利用例としては、以下のようなものが想定されています。
NFTは、Play to Earnのブロックチェーンゲームで多く利用され、NFTを貸し出して利益を共有するシステムも存在します。
RentaFiが普及すれば、この制度のないブロックチェーンゲームでも、貸し借りが可能になると考えられます。
Play to Earnとは、遊んでお金を稼ぐことを指します。すなわち、ブロックチェーンゲームで遊ぶと、NFTや独自仮想通貨などの報酬を得られます。Play to Earnから派生したMove to Earn(運動して稼ぐ)なども、流行しています。
不動産はNFTの新しい分野です。現実世界の物件やホテルと紐づいたNFTを発行することで、仮想通貨やブロックチェーンと連動したサービスを展開できます。
RentaFiでは、このようなNFTをレンタルすることで、宿泊や賃貸をブロックチェーン上で管理可能になると想定されています。
コンサートやプロスポーツの試合、イベントなどでNFTのチケットが普及し始めています。年間パスなどであれば、購入せずとも、RentaFiで手数料と引き換えにレンタルすることが可能となります。
デジタルアートはNFTの主な利用例で、コミュニティの参加証明やプロフィール画像などの用途が付随することがあります。これらをレンタルすれば、高額なNFTを購入せずに、効率的に活用することができます。
メタバースとは、インターネット上に構築された三次元空間を指し、主にコミュニケーションツールやゲームとして利用されています。アバターの服や土地、装飾品などのメタバースのアイテムはNFTで発行されることが多く、それらがRentaFi上で貸し借りするようになる日が来るかもしれません。
NFTドメインとは、ブロックチェーンのウォレットアドレスをわかりやすい表記に変換したNFTです。Web3.0向けのユーザーネームとしても機能すると考えられます。
NFTドメインは、NFTマーケットプレイスで売買されています。今後、RentaFiを利用したレンタルが普及するかもしれません。
Web3.0とは、分権化された次世代のインターネット環境を指します。現代の中央集権型インターネット環境(Web2.0)は、大手IT企業が強い影響力を持っています。その一方、Web3.0では、個々のユーザーが重要な役割を担います。
RentaFiはスタートしたばかりのサービスです。日本発のサービスとして注目されていますが、将来性はどうでしょうか。
RentaFiは、さらに複数のNFTコレクションに対応予定です。具体的には、「VeryLong2DAvatars」「VeryLongAnimals」「SingularityTokyo Membership」の名前が挙がっています。
なお、ホワイトラベル(他社向けのブランディングに対応した機能提供)に対応しており、NFTマーケットプレイスやブロックチェーンゲームなどに機能を統合することも可能です。
このため、今後もパートナーシップ拡大が期待されています。
RentaFiは、今後のロードマップ(開発計画)を公開しています。
2022年第4四半期には、パートナーシップ拡大に加えて、レンタルに対応したトークン規格(EIP)の提案、レンタル機能を実装するSDK(ソフトウェア開発キット)やAPI(アプリを接続する窓口)の開発などを計画しています。
2023年第1四半期には、NFTマーケットプレイスや仮想通貨ウォレット、GameFiへの機能統合や、レイヤー2への適応、ブロックチェーン分析ツール「Dune」でのアナリティクス情報公開などを予定しています。
メインとなるブロックチェーンであるレイヤー1に対して、それを基礎に構築され、情報処理を手助けする副次的なブロックチェーンをレイヤー2と呼びます。レイヤー2は、レイヤー1のスケーラビリティ問題を緩和します。すなわち、取引承認の遅延や手数料高騰などを回避します。
仮想通貨市場全体が不調なこともあり、2022年に入ってからNFTの取引高は激減しています。2021年がバブルだったとの見方もありますが、デジタルアートやブロックチェーンゲーム以外の確固たる利用例が確立されていないという問題が根底にはあります。
興味深いアイディアは多々挙げられていますが、実用化されているものは多くありません。しかし、長い目で見れば、NFT市場は明るい材料が多く、大幅な成長が期待できます。そうなると、RentaFiのようなNFTレンタルの需要が拡大していくでしょう。
現時点でRentaFiの利用例は限られていますが、将来的には様々なケースで利用可能となるかもしれません。興味があれば、RentaFiを試してみると良さそうです。
作成日
:2022.10.13
最終更新
:2023.07.01
米大学で出会った金融学に夢中になり、最終的にMBAを取得。
大手総合電機メーカーで金融ソリューションの海外展開を担当し、業界に深く携わる。
金融ライターとして独立後は、暗号資産およびブロックチェーン、フィンテック、株式市場などに関する記事を中心に毎年500本以上執筆。
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