作成日
:2022.09.21
2023.11.30 17:58
Bybit(バイビット)の現物取引ボット(旧グリッドボット)は、簡単な設定で現物の自動売買をしてくれる機能です。コピー機能を使ってランキング上位のボットを複製・運用することも可能です。
設定後に放置するだけで利益が狙えるものの、デメリットもあります。例えば、トレンド相場では期待通りの成績にならない可能性があります。また、優秀なボットをコピーしても上手く機能するとは限りません。
本記事では、現物取引ボットの仕組みやメリット・デメリットを解説します。
Bybit(バイビット)の現物取引ボットは、自動売買ボットを作成・運用できるサービスです。ボットはユーザーが設定した条件に従って「安く買って高く売る」という取引を行います。これは、日本のFXでリピート系注文と呼ばれている手法の一種です。
Botとは、一定の作業を自動化するためのプログラムのことです。特定の条件下で売買を繰り返すようプログラムされたものは、自動売買Botと呼びます。
相場があらかじめ指定した価格範囲を超えない限り、ボットは24時間自動で売買を繰り返します。そのためグリッドボットを使えば、注文の手間なく売買益を得られる可能性があります。
なお、Bybitは「積立ボット」や「デリバティブ取引ボット」というサービスも提供しており、各取引ボットの特徴は以下の通りです。
種類 | ボットが行う取引 | 期待できる利益 |
---|---|---|
積立ボット | 定期的な購入 | 長期的な値上がり益 |
現物取引ボット | 新規買いと売却 | 短期および中長期の売買益 |
デリバティブ取引ボット
(3種類)
|
1.新規買いと決済取引
2.新規売りと決済取引
3.上の2種類の組み合わせ
|
短期的な売買益 |
積立ボット
ボットが行う取引 | 定期的な購入 |
---|---|
期待できる利益 | 長期的な値上がり益 |
現物取引ボット
ボットが行う取引 | 新規買いと売却 |
---|---|
期待できる利益 | 短期および中長期の売買益 |
デリバティブ取引ボット(3種類)
ボットが行う取引 |
1.新規買いと決済取引
2.新規売りと決済取引
3.上の2種類の組み合わせ
|
---|---|
期待できる利益 | 短期的な売買益 |
積立ボットは一定の金額・一定の間隔で仮想通貨を自動購入してくれるボット、デリバティブ取引ボットは「無期限契約取引」を自動で行うボットです。
現物取引ボットは一定の価格間隔ごとに取引を行います。仮の相場と、その状況下におけるボットの働きを見てみましょう。※以下はイメージです。
番号 |
ボットの動き |
説明 |
---|---|---|
1 |
買い |
グリッド線の価格に到達すると買います。購入後、上のグリッド線の価格(57,000)で売る指値注文を発注します。 |
2 |
売り |
「1」で出した売りの指値注文が約定します。その後、下のグリッド線の価格(53,000)で買うよう指値で注文します。 |
3 |
買い |
「2」で出した指値買い注文が約定します。そして上のグリッド線の価格(57,000)で売る指値注文を発注します。 |
4 |
買い |
グリッド線の価格に到達すると買います。上のグリッド線の価格(53,000)で売る指値注文を発注します。 |
5 |
売り |
「4」で出した売りの指値注文が約定します。その後、下のグリッド線の価格(49,000)で買うよう指値で注文します。 |
基本的には、価格が1つ下のグリッド線に到達すると「新規買い」、1つ上のグリッド線に到達すると「保有現物仮想通貨の売り」が実行されます。買いと売りが1セット行われた場合の利益は、グリッド線の間隔(上記の例では4,000)から算出されます。計算式は以下の通りです。
グリッド収益 =
(価格間隔 × 購入時の注文数量) × 利益確定回数 - 手数料
上記画像の例では、価格間隔が4,000で利益確定回数が2です。1注文あたりの注文数量を1とした場合、グリッド利益は以下のように求められます。
グリッド収益 =
(4,000 × 1) × 2 - 手数料 = 8,000 - 手数料
取引ボットの手数料が発生するのは売買時のみです。ボットを作成しても停止させても手数料はかかりません。
また、ボットが売買を行った際の手数料は現物取引手数料です。ボットが行うのは指値注文であり、手数料はテイカーになることもメイカーになることもあります。ただし、大口投資家でない場合は、テイカー手数料もメイカー手数料も0.1%です。
現物取引ボットは稼働しながら指値注文を出します。また、設定によってはボット作成直後に成行注文を実行します。細かな注文状況は、取引ボットページの「マイボットを見る」をクリックした先のぺージで確認可能です。
自動で現物取引を行うボットですが、利用者が初期設定を行って初めて動きます。利用者は設定が必須な4項目を入力してボットの取引方針を調整します。その他、任意に設定できる3項目があります。
番号 |
項目名 |
説明 |
---|---|---|
1 |
取引ペア |
「BTC/USDT」など、取引対象となる通貨ペアを選びます。 |
2 |
価格範囲 |
ボットが稼働する価格の範囲を指定します。 |
3 |
グリッド数量 |
ボットが取引を行う価格間隔を決めます。グリッド数量が多いと、ボットは売買益が小さい取引を高い頻度で行います。 |
4 |
投資総額 |
利用する資金額を入力します。2022年9月現在、選べる通貨はUSDTのみです。 |
5 |
参入価格 |
(任意)ボット稼働後、仮想通貨価格が参入価格に到達すると取引を開始します。設定しない場合は、取引開始直後に成行で買います。 |
6 |
損切価格 |
(任意)取引対象の通貨ペアが特定の価格を下回ると損切りします。損切価格は2の価格範囲の下限よりも安い価格を設定します。 |
7 |
利食価格 |
(任意)取引対象の通貨ペアが特定の価格を上回ると利食いします。利食価格は2の価格範囲の上限よりも高い価格を設定します。 |
自身の運用方針に合わせたボット作成が可能です。同一の仮想通貨ペアで異なる設定のボット作成もできます。なお、現物取引ボットは積立ボットと合わせて50体まで同時に運用可能です。
現物取引ボットを使った自動売買のメリットを紹介します。
前項で紹介した通り、初期設定を行うだけでボットは自動で動いてくれます。仕組みを理解する必要はありますが、時間的に余裕のない方でも気軽に利用できるでしょう。
ボットは特定の条件下でのみ売買するため、仕組みがわかれば、作成時点でリスク金額を想定することもできます。
自動入力機能による初期設定もできます。自動入力ボタンを押すと、AIが過去の値動きから算出した価格範囲とグリッド数量が入力されます。自動入力後にチャートを確認して、手動で数値を調整することも可能です。
2023年10月には、現物取引ボットの運用を継続したまま、リアルタイムで利益の出金が可能になりました。資金は資金調達アカウントに入金されます。
これにより、資産をより柔軟かつ効率的に管理できるようになりました。
取引ボットの登録ページでは、高いパフォーマンスを出したボットがランキング形式で表示されています。それらのボットの設定は公開されており、誰でも無料でコピーできます。
相場は常に変化するので、設定をコピーしたとしても良いパフォーマンスを出せるとは限りません。しかし、複数のボットの設定と相場を分析すれば、良い成績が出やすい条件を探る手がかりが得られるでしょう。
年間収益率は、ボットのパフォーマンスを判断する上での指標になります。しかし、同様の収益率を得られるとは限りませんので注意しましょう。
トレードの負担を軽減できることも、現物取引ボットを使うメリットです。
短期トレードの場合、一般的にはチャートを見続けなければいけません。一度トレードを始めると、チャートが気になって他のことに集中できなくなる可能性もあります。
しかしボットに運用を任せられれば、自分で取引タイミングを見定める必要はありません。また、ボットは決まったルールに従って売買を行うため、相場の動きに神経を尖らせることもないでしょう。
Bybit(バイビット)の現物取引ボットには、デメリットもあります。利用するかどうかの検討は、リスクも確認した上で行いましょう。
取引ボットは、作成時に設定した価格範囲内で取引を行います。そのため、一定の範囲内で価格が上下するレンジ相場には強いものの、上昇や下降が一方的に続くトレンド相場では注意が必要です。
上昇トレンド時は、一定の売買益を上げられます。現物取引ボットは、新規買いと保有仮想通貨の売りを繰り返します。そのため、相場が価格上限を抜けていった場合、それ以降ボットは売買しないため売買益を得られません。ただし、価格範囲内で売買した分の収益を得ることができます。
特に注意が必要なのは下落トレンド時です。相場がグリッド線に到達すると、ボットは指定の仮想通貨を買います。価格がさらに下落して別のグリッド線に到達すると追加で買います。
下落後に上のグリッド線まで上昇すれば売買益を得られますが、そのまま下落し続けると含み損が膨らみます。稼働中のボットの設定変更はできませんので、下落相場時に取れる対策は、「ボットを停止させる」「価格が戻ってくるのを待つ」の二択になります。
Bybit(バイビット)で現物取引ボットの運用を始める方法を解説していきます。なお、現物取引ボットを利用するには、現物ウォレット内のUSDT残高が必要になります。
以下のリンクより、Bybitへアクセスし、ログインします。
Bybitにアクセスしたら、上部メニューの「現物」を選択し、「取引ボット」をクリックします。
現物取引ボットの「ボットを作成」をクリックします。
取引ペアの選択や、必要な項目の入力を行い、「ボットを作成」をクリックします。「詳細設定(任意)」をクリックすると、細かな設定も行えるようになります。
番号 |
項目名 |
説明 |
---|---|---|
1 |
取引ペア |
ボットが売買する仮想通貨ペアを選択します。 |
2 |
下限価格 |
価格範囲の下限を入力します。相場が下限を割ると、ボットは売買を行いません。 |
3 |
上限価格 |
価格範囲の下限を入力します。相場が上限を超えると、ボットは新規売買を行いません。 |
4 |
グリッド数量 |
取引の価格間隔を決めます。グリッド数量が多いと、売買益の小さい取引が高い頻度で行われます。 |
5 |
投資総額 |
運用する資金額を入力します。 |
6 |
参入価格 |
(任意)ボット稼働後、仮想通貨価格が参入価格に到達すると取引を開始します。設定しない場合は、取引開始直後に成行で買います。 |
7 |
損切価格 |
(任意)取引対象の通貨ペアが特定の価格を下回ると損切りします。損切価格は2の下限価格よりも安い価格を設定します。 |
8 |
利食価格 |
(任意)取引対象の通貨ペアが特定の価格を上回ると利食いします。利食価格は3の上限価格よりも高い価格を設定します。 |
「自動入力」をクリックすると、下限価格・上限価格・グリッド数量が自動で入力されます。入力される数値は、AIが過去の価格推移から算出したものです。
ボット作成確認画面にて、「ボットを停止」をクリックすると、現物取引ボットの作成が完了します。
取引ボットのサービスページでは、高い収益率を達成したボットが公表されています。それらのボットの設定をコピーして、自分のボットとして運用することも可能です。
以下のリンクより、Bybitへアクセスし、ログインします。
Bybitトップページの上部にある「現物」から、「取引ボット」にアクセスします。
スクロールするとランキングを確認できます。コピーしたいボットの右横にある「コピー」をクリックします。
コピートレード設定画面が表示されるので「投資総額」だけ入力し、「ボットを作成」をクリックします。
ボット作成確認画面にて、「ボットを停止」をクリックすると、ボットの作成が完了します。
現物取引ボットを運用したまま、利益を出金できます。
以下のリンクより、Bybitへアクセスし、ログインします。
Bybitにアクセスしたら、上部メニューの「現物」を選択し、「取引ボット」をクリックします。
「マイボットを見る」をクリックします。
出金したい現物取引ボットの「詳細」ボタンをクリックします。
右上の「出金」ボタンをクリックします。
出金額を入力して「確認」ボタンをクリックします。次の画面で「出金完了」と表示されれば完了です。出金した資金は資金調達アカウントに入金されます。
作成したグリッドボットの設定は途中で変更できないため、変更したい場合は停止し、再度作成する必要があります。
以下のリンクより、Bybitへアクセスし、ログインします。
Bybitにアクセスしたら、上部メニューの「現物」を選択し、「取引ボット」をクリックします。
「マイボットを見る」をクリックします。
取引を停止するボットの「ボット停止」をクリックします。
どの通貨で受け取るかを選んで「ボットを停止」をクリックします。ボットを停止すると、利用していた資金が現物アカウントに返却されます。
なお、受け取る選択によっては両替が必要になります。両替が行われた場合には現物取引手数料が差し引かれます。
現物取引ボットは、4つの項目を設定するだけで作成できます。しかし、取引を始めたばかりの方や、しっかり運用したいと考える方なら、迷うこともあるでしょう。そこで、ボットを設定する上での基本的なポイントを紹介します。
ボットの設定を完了させる前に、運用を行いたい通貨ペアのチャートを見ましょう。現物取引ボットはレンジ相場に強いBotなので、将来の価格変動がレンジ状態であることが好ましいです。適宜ニュースも見て、レンジが続きそうかどうかを確認します。
最初は小額で試してみるのがおすすめです。仮想通貨の値動き次第では、損失が発生する可能性があります。また、仕組みがわからないとリスクの想定を誤る可能性もあります。
そのため、何度か運用を行っていく中で、自分に適切な価格範囲やグリッド数量を見つけ、運用に慣れてきた頃から運用額を上げてみると良いでしょう。取引ボットの最低運用額は、価格範囲を狭めることや、グリッド数量を少なくすることで小さくなります。
相場が価格範囲を下に抜けると、売り切れずに持っている通貨価値が下がり続ける恐れがあります。ボット作成時に損切り設定をしておくと、大きな損失を防げるでしょう。
Bybit(バイビット)の現物取引ボットを使えば、簡単に自動売買を始められます。ランキングを見ると、高い収益率を達成した利用者がいることもわかります。
しかし仕組みを理解すると、下落トレンドに弱いなどのデメリットがあることもわかります。Bybitには積立ステーキングや流動性マイニングなどさまざまなサービスがあり、仕組みを理解した上で利用することが重要です。
作成日
:2022.09.21
最終更新
:2023.11.30
会社員時代に10万円を元手にFXをはじめるが、カンに頼るトレードで退場。
テクニカル分析を学ぶがそれでも上手く行かない中、趣味でやっていた暗号資産の利益が増大。
戦いのメインをFXと暗号資産の2本(DeFiやNFT)にすることで、会社員から独立し現在は専業トレーダーとして活躍。
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