作成日
:2022.08.02
2024.08.11 18:04
2022年7月30日、ZOZO創業者の前澤友作氏が、自身のInstagram(インスタグラム)アカウントを通じて、「MZ DAO」(エムズィーダオ)の設立を発表しました。これは、前澤氏の企画「みんなで会社を作ろうプロジェクト」に参加するためのオンラインコミュニティとして位置付けられています。
そして、1万人を募集したところ、開始から数時間で参加者が1万人を超えるなど、早くも話題となっています。当記事執筆時点(2022年8月)では、10万名に達しています。
ただし、MZ DAOは、仮想通貨分野でよく使われている「DAO(自立分散型組織)」ではありません。この点など、いくつかの批判がツイートに投稿されています。では、MZ DAOとはいったいどのような試みなのでしょうか。
MZ DAOはオンラインコミュニティであり、その目的は、今までにない新しいタイプの会社を立ち上げ、スケールの大きな事業を展開することです。
月額500円の参加費を払えば、誰でも参加できます。MZ DAOの参加者は社員ではなく、匿名のメンバーとしての位置付けです。このため、社員としての所属や、通勤が必要な活動なども求められません。そのかわり、記事に対するコメントやいいね、アンケートへの回答、SNSでのサポートなどの協力をお願いしています。
前澤氏はMZ DAOに関して、「前澤の呼びかけで、みんなで集まって会社作っちゃおうぜ!みたいな感じです」と説明しています。また、同氏は「100万人くらい集まるといいな」とコメントしており、MZ DAOを大規模なコミュニティに成長させることを望んでいます。
今後、MZ DAOは、どのような事業を立ち上げるかをコミュニティで決定して、運営チームや組織の結成などを進めていく予定です。
MZ DAOでは、メンバーに様々な特典が用意されています。具体的には、以下の特典が付与される見通しです。
画像引用:MZDAOコミュニティ
メンバーは、MZ DAO限定公開の記事を読むことができます。自分のコメントに対して、前澤氏がコメントを返したりいいねしたりすると、コミュニティ内での認知を高めることになります。
メンバーは、前澤氏と共にアイディアを出すところから始め、事業の過程を経験することができます。加えて、事業がうまくいけば、自分たちで作った商品やサービスを安く購入できます。
事業やプロジェクトに協力すると、トークンやストックオプション、配当金などの報酬を獲得できる可能性があります。しかし、その詳細は明らかではありません。なお、トークンは、ブロックチェーン上で発行されるトークンとは異なります。いわゆる「ポイント」であり、換金は約束されていません。
ストックオプションとは、株式をあらかじめ定められた価格で購入できる権利です。企業は、ボーナスなどの報酬として、ストックオプションを社員に付与することがあります。株式上場や企業買収の際に利益になるので、社員のモチベーションアップにつながります。
なお、MZ DAOには、アイディアがまとまらず事業が始まらない、事業がうまくいかず報酬が受け取れないといった可能性があります。また、プロジェクトの継続が困難になった場合には、運営側の判断で中止になることもあり得るので、これらのリスクに留意する必要があります。
前澤氏は、DAO(自立分散型組織)の形態での事業に拘っています。
DAOは、Decentralized Autonomous Organizationの略です。既存企業などと比較して、分散型の構造を持っていて中心人物が不要であり、より民主的な方法で組織運営が可能です。この仕組みを実行するためには、ブロックチェーンが事実上必須となっています。
また、DAOは、ガバナンストークンを発行します。そのトークン保有者による投票を通じて、開発や投資などの提案に対する意思決定を行います。情報は全てブロックチェーンに記録されますので、不正や資金横領が疑われる場合、誰でも正確な情報を確認できます。
例えば、仮想通貨市場で人気のDAO「BitDAO」は、ガバナンストークンのBITトークンを軸に、コミュニティを運営しています。BitDAOはDeFi(分散型金融)関連プロジェクトへの投資を目的としており、投資判断などがコミュニティによる投票に委ねられています。
一方、前澤氏のMZ DAOは、中央集権型のプロジェクトです。前澤氏は将来的なビジョンやマーケティングを顧慮して、DAOの名を借りているようです。ブロックチェーン上で構築されず、ガバナンストークンもなく、DAOに必要な投票システムもありません。適切な運営を確認するシステムもありません。MZ DAOはDAOではありませんので、注意が必要です。
これに対して、Twitterの仮想通貨コミュニティからは不安の声が上がっています。
特にMZ DAOがスマートコントラクトで制御されていないことや、実権が運営側に握られていること、仕組みがDAOよりもオンラインサロンに近いことなどが指摘されています。その他には、情報弱者を騙すためのポンジスキーム(配当金を約束して出資を募り資金を騙し取る詐欺)だとの厳しい投稿も見受けられます。
批判に関して前澤氏は、最初に旗振り役が必要なことで中央集権的な仕組みになっている、まだDAOの仕組みは取り入れていないが事業はDAO的にやりたい、弁護士と入念に議論してコンプライアンスをクリアしているなどと説明しています。
MZDAOに対する以下批判に答えます。
— 前澤友作┃MZDAOスタート (@yousuck2020) July 30, 2022
DAOじゃない、ただのオンラインサロン
→まだ今はね。事業はDAO的にやる予定。
中央集権的
→最初は僕が旗振らないとね
月額500円もかかる
→本気の人集めたいのと、相応な記事書くので
詐欺っぽい、法的にグレーでは?
→どのへんが?弁護士と入念に議論済み
仮想通貨市場で主流なプロジェクトでも、将来的にDAOに移行したり、適切なタイミングでガバナンストークンを発行するケースもあります。従って、MZ DAOも正式なDAOに移行する可能性はありますが、まだどのような組織になるかはわかりません。
しかし、日本国内の規制など、海外の仮想通貨市場と勝手が異なるので、そこにはハードルが存在するのも事実です。
次に、参加者が意見を出し合い、事業が形作られてきたとしましょう。この場合、成果物等は、どのように取り扱われるでしょうか。そして、報酬はどのように分配されるでしょうか。さらに、トラブルで損害等が生じた場合、どうなるでしょうか。この点について、規約に明示されていますので、紹介します。
参加者が投稿したアイデア等は、運営会社と前澤氏が無償かつ無制限に使用可能であり、参加者は、このアイデアの利用差し止め等を請求できません。また、運営会社等に対して、「そのアイデアは自分が出した」と著作者人格権を主張することもできません。
また、何かトラブルがあって損害が生じた場合、参加者は運営会社等に損害賠償を請求できません。しかし、運営会社等は参加者に損害賠償を請求できます。
以上のような規約になっていることについて、前澤氏に何か考えがあるのかもしれません。しかし、参加する場合は全て無償が前提であり、何らかの形で報酬がもらえたらラッキーであるというくらいの心づもりはしておくべきでしょう。
以前から、前澤氏は仮想通貨市場に高い関心を示してきました。2022年5月27日、前澤氏は「MZ Web3ファンド」を結成しています。このファンドの投資先は、Web3.0関連領域の企業や団体、VR(仮想現実)やAR(拡張現実)などの技術を活用したサービス等の企業です。
Web3.0とは、分権化された次世代のインターネット環境を指します。現代の中央集権型インターネット環境(Web2.0)は、大手IT企業が強い影響力を持っています。その一方、Web3.0では個々のユーザーが重要な役割を担います。
前澤氏は、このファンドを通じて100億円をWeb3.0分野に投入することを計画しています。既に、投資先の第1号としてOpenBlox(OBX)を選定しています。OpenBloxは、ブロックチェーンゲームのプラットフォームとして稼働しており、STEPNのようなMove to Earnゲーム「RunBlox」などが公開されています。
Move to Earn(運動して稼ぐ)は、Play to Earnから派生した一分野です。Play to Earnとは、遊んでお金を稼ぐことを指します。すなわち、ブロックチェーンゲームで遊ぶと、NFTや独自仮想通貨などの報酬を得られます。近年、仮想通貨市場では、STEPNの流行もあり、多数のMove to Earnゲームがリリースされています。
仮想通貨市場には、たくさんのインフルエンサーが存在します。中には悪意を持って情報発信している人もいるので、投資を行う際にはどのようなプロジェクトなのか、しっかりと認識を高めてから判断することが重要です。
前澤氏は知名度が高く、仮想通貨市場にも貢献しているので、安心感があります。しかし、MZ DAOがどのようなサービスなのか事前に把握する必要があります。前澤氏は、MZ DAOを通じて質の高い記事を公開すると発言しているので、メルマガやオンラインサロンとして価値があるでしょう。一方、将来的にDAOとして機能するかは、経過を見守る必要がありそうです。
どちらにせよ、この記事を参考に、公式ウェブサイトやFAQ(よくある質問)などから詳しい情報を集めるのが良さそうです。
作成日
:2022.08.02
最終更新
:2024.08.11
米大学で出会った金融学に夢中になり、最終的にMBAを取得。
大手総合電機メーカーで金融ソリューションの海外展開を担当し、業界に深く携わる。
金融ライターとして独立後は、暗号資産およびブロックチェーン、フィンテック、株式市場などに関する記事を中心に毎年500本以上執筆。
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