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仮想通貨レンディングのCelsius Network(CEL)が出金停止、流動性の問題に直面か

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update 2023.03.16 15:54
仮想通貨レンディングのCelsius Network(CEL)が出金停止、流動性の問題に直面か

update 2023.03.16 15:54

2022年6月13日、Celsius Network(セルシウス・ネットワーク)が、出金や取引などのサービスを一時的に停止すると発表しました。極端な市場環境の変化が、その理由です。Celsius Networkは、仮想通貨(暗号資産)レンディングサービスの大手であり、この発表は各方面に波紋を広げています。

仮想通貨市場は、逆風に晒されています。ビットコイン(BTC)やイーサリアム(ETH)など、主要銘柄の価格が暴落し、人気仮想通貨のテラ(LUNA)は崩壊しました。仮想通貨コミュニティは、Celcius Networkによる負の影響を警戒しています。

Twitter(ツイッター)上では、マウントゴックス事件やコインチェックのハッキング事件のような、大規模な被害に発展する懸念も投稿されています。

レンディングサービスは、仮想通貨を貸すことが事業の軸です。そのサービスで出金停止が起きる理由は、Celsius Networkの運用方法にあるといわれています。当記事では、Celsius Networkの概要や発表の内容、出金停止となった要因、その影響などを解説します。

Celsius Networkとは

Celsius Network(セルシウス・ネットワーク)は、中央集権型の仮想通貨レンディングプラットフォームです。インターネット分野で実績を持つアレックス・マシンスキー氏と、スタートアップ界隈で活躍するダニエル・レオン氏によって、2018年に設立されました。

ICOを通じて約5,000万ドルの資金調達に成功するなど、有望なプロジェクトとして期待されていました。その前評判通りに勢力を伸ばし、2022年6月時点で5,000BTC以上、8万ETH以上、合計90億ドル以上の資産を集めていました。

セルシウス・ネットワーク セルシウス・ネットワーク

画像引用:Celsius

point 仮想通貨レンディングとは

仮想通貨レンディングとは、保有する仮想通貨を貸し出して金利を得られるサービスです。仮想通貨を貸し出すだけでなく、利息を支払って借り入れることもできます。サービスの形態には、ブロックチェーン上で貸し借りを行う分散型と、特定の企業がサービスを提供する中央集権型があり、Celsius Networkは中央集権型の代表的な存在です。

Celsius Networkは、安い手数料と高い利益率を特徴に、仮想通貨レンディングだけでなく、仮想通貨取引や、仮想通貨販売、仮想通貨クレジットカード、仮想通貨決済などの統合的な金融サービスを提供しています。

USDコイン(USDC)やバイナンスドル(BUSD)などのステーブルコインに加え、イーサリアムやビットコインなど多数の仮想通貨に対応しており、最大年利17%の報酬を付与していることで人気のレンディングサービスです。

出金停止の発表とその影響

Celsius Network(セルシウス・ネットワーク)は、出金などのサービスを一時的に停止すると発表しました。いつサービスが再開されるのかなどは、発表されていません。

流動性が枯渇する可能性

Celsius Networkが出金を一時的に停止したことに関して、流動性に問題があるのではないかとの見方が出ています。以前から、仮想通貨コミュニティでは、Celsius Network所有のウォレットからイーサリアムが流出していることが懸念されていました。

2022年6月初旬には、Celsius Networkが保有するイーサリアムの中でたった27%しか流動性を確保しておらず、あと5週間程度で枯渇する可能性があるとの予想も出ていました。ここでの流動性とは、特定の仮想通貨を自由に移動できるかどうかを指します。つまり、イーサリアムがロックされていて移動できない可能性があるということです。

流動性の枯渇

あくまでも公開情報であるトランザクションの分析に基づく推測ですが、Celsius Networkは、イーサリアムをステーキングサービス「LIDO」で運用していると考えられています。

イーサリアムのステーキングは、預入資産がロックされるという特徴があります。すなわち、ETH2.0と呼ばれるアップグレードが完了して本格的に稼働するまで、ステーキングに拠出したイーサリアムを移動できません。

knowledge ETH2.0の開発計画

イーサリアムは、PoS(プルーフ・オブ・ステーク)を採用するためにETH2.0の開発を進めています。しかし、「マージ」と呼ばれる計画に遅れが生じています。2022年8月までに完了する見込みですが、現実的には2023年以降に持ち越される可能性もあるといわれています。

LIDOでのイーサリアム運用が本当だとしても、ステーキング済みのイーサリアムを何らかの方法で現金化することで、流動性を確保できる可能性もあります。しかし、Celsius Networkのポジションは大規模であると予想されていることから、現金化は難しいと予想されます。

このような背景で、出金を停止したと噂されています。しかし、まだ正式な情報は公開されていません。

ネイティブトークンCELは暴落

相場全体の下落に加えて、この発表があったことから、Celsius Network発行のトークン「CEL」が暴落しています。

上場以来、仮想通貨市場全体の好調もあってCEL価格は順調に上昇し、2021年6月に史上最高値の約8ドルを記録しました。その後、徐々に下落し、0.4ドル前後で推移していましたが、Celsius Networkによる発表を受けて一気に0.15ドル付近にまで急落しています。CEL価格は当記事執筆時点(2022年6月)で0.6ドル程度にまで回復している状況です

CELと米ドルの価格チャート
point CELとは

Celsius Networkが発行するCELは、同プラットフォームにおける報酬として利用される仮想通貨です。CELを保有することで毎週の特典を獲得することができたり、普通よりも最大30%多い金利収入、最大25%の借り入れ金利の割引などの恩恵を受けることが可能です。加えて、CELはレンディングにも利用可能となっており、他の仮想通貨と並んで6.68%の金利で貸し出すこともできます。CELはCelsius Networkの運用と直接的な関係があるわけではありませんが、同プラットフォームの利用状況などに需要が左右されやすい存在だといえるでしょう。

透明性の問題が浮き彫りに

Celsius Network(セルシウス・ネットワーク)は、DeFi(分散型金融)関連サービスと異なり、特定の企業によって運営される中央集権型のプラットフォームです。ユーザーから集められた資金は、Celsius Networkが運用する仕組みとなっていますが、その詳細は明らかではありません。

以前からCelsius Networkは、イールドファーミングに仮想通貨を貸し出して、高い利益を得ているのではないかと噂されています。Celsius Networkは、最高17%の高い金利収入を提供しているので、リスクのある運用方法が採用されていても合点がいく所です。

point イールドファーミングとは

イールドファーミングは、英語で利回りを意味するイールドと、農業や収穫を意味するファーミングを組み合わせた言葉です。通常、イールドファーミングでは、DEX(分散型取引所)などに仮想通貨を預け入れることで、報酬を得ることが可能となります。年率数十%~数千%の金利収入を受け取ることができるケースもあり、単純なレンディングよりもハイリスク・ハイリターンな投資方法だといえるでしょう。

その他、Celsius Networkは、2021年にステーキングプールであるStakeHoundで約7,000万ドル相当の仮想通貨を紛失したのに加え、DeFi関連サービスのBadgerDAOで5,000万ドルのハッキング被害を受けた経緯があります。最近では、テラ(LUNA)の大暴落に巻き込まれ、保有する資金の一部を失った可能性があると指摘されています。Celsius Networkは、仮想通貨レンディングの貸し出しが150%の割合で担保されていると説明していますが、実態は明らかではありません。

今回、Celsius Networkが出金を停止したことは、日本の仮想通貨コミュニティでも波紋を呼んでおり、中央集権型の構造に対する信頼が揺らいでいます。中には、Celsius Networkに預け入れた資金をサービス再開後に引き上げる意思を示すユーザーも出てきています。

波乱の展開の仮想通貨市場

2022年6月中旬、仮想通貨市場では、主要な仮想通貨の価格が大暴落しています。ビットコインやイーサリアムは、それぞれ30%程度の下落を記録しており、仮想通貨市場はパニックに陥っているといえるでしょう。

特に多くのDeFi関連サービスで基盤となっているイーサリアムの仮想通貨価格が暴落したことは、Celsius Networkだけでなく、同分野全体に負の影響を与えると考えられます。実際にDeFi関連サービスの規模を示すTVL(ブロックチェーンに預け入れられた仮想通貨の合計値)が減少しており、レバレッジポジションの精算などによる更なる被害に警戒感が高まっています。仮想通貨市場は波乱の展開となっていますが、Celsius Networkはどのような対応を見せるのでしょうか。


Date

作成日

2022.06.16

Update

最終更新

2023.03.16

Zero(ゼロ)

米大学で出会った金融学に夢中になり、最終的にMBAを取得。
大手総合電機メーカーで金融ソリューションの海外展開を担当し、業界に深く携わる。
金融ライターとして独立後は、暗号資産およびブロックチェーン、フィンテック、株式市場などに関する記事を中心に毎年500本以上執筆。
投資のヒントになり得る国内外の最新動向をお届けします。

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