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アクシーインフィニティ(AXS)運営会社、ハッキング被害の補填に向けて資金調達実施

アクシーインフィニティ(AXS)運営会社、ハッキング被害の補填に向けて資金調達実施

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update 2023.03.16 15:54
アクシーインフィニティ(AXS)運営会社、ハッキング被害の補填に向けて資金調達実施

update 2023.03.16 15:54

ブロックチェーンゲームのアクシーインフィニティ(AXS)は、Ronin Networkと呼ばれるブロックチェーン上で稼働します。2022年3月、そのRonin Networkがハッキングされて多額の仮想通貨を盗まれてしまったため、この2つを運営するスカイメイビスは、ユーザーの損失補填のために資金調達しました。

アクシーインフィニティは、アクティブユーザー数が1日あたり300万人近くで世界最大級であり、日本でも人気です。このため、Ronin Networkがハッキング被害を受けた事実は、国内の仮想通貨(暗号資産)コミュニティにも大きな衝撃となりました。

今回、スカイメイビスはユーザーに損失補填する予定です。では、具体的にどのような対応になるでしょうか。

アクシーインフィニティとは

アクシーインフィニティはPlay-to-Earn分野のブロックチェーンゲームであり、プレイヤーはモンスター「アクシー」を使って仮想通貨を稼ぎます。一般的にPlay-to-Earnのブロックチェーンゲームは、独自の仮想通貨を発行したり、NFTでゲーム内アイテムを発行したりします。アクシーインフィニティも、同様のシステムを採用しています。

knowledge Play-to-Earn

Play-to-Earnとは「遊びながら稼ぐ」という意味であり、この要素を取り入れたゲームが人気です。Play-to-EarnのゲームはNFTと親密な関係にあることが多く、ゲームアイテムはNFTで作られ、そのアイテムをマーケットプレイスで売却して現金化することもできます。

アクシーインフィニティ

画像引用:アクシーインフィニティ

アクシーを手に入れる方法は2種類あり、購入するか、アクシーを持っている人から借りるかです。そして、特定のゲームをクリアしたり他のプレイヤーとの戦いに勝利したりすることで、AXSやSLPと呼ばれるトークンを獲得します。これらのトークンは、取引所で売却して現金化することもできます。

ちなみに、アクシーインフィニティは、パソコンだけでなくスマホでも気軽に遊べるので人気です。また、アクシーを買うには資金が必要ですが、他人から借りれば無料で始められますので、初心者でも始めやすいです。

約6億ドルのハッキング被害発生

2022年3月23日、Ronin Networkがハッカーの攻撃を受け、約6億2,000万ドル相当の仮想通貨を盗まれました。3月29日、スカイメイビスは、イーサリアム(ETH)とUSDコイン(USDC)が盗まれたと正式に報告しています。

Ronin Networkは、イーサリアムを基盤とするブロックチェーンネットワークであり、主な機能は、専用ウォレットのRonin Wallet、DEX(分散型取引所)のKatana、クロスチェーンブリッジのRonin Bridgeです。これらの機能を使って、アクシーインフィニティの報酬受け取り・売却・入金などを、より安価かつ高速に実行できます。

Ronin Networkの機能説明

今回、犯人はRonin Bridgeをハッキングして仮想通貨を盗み出しました。調査の結果、犯人は2回にわけて17万3,600ETHと2,550万USDCを外部に送金したことが明らかになっています。なお、RON(Ronin Networkのネイティブトークン)、AXS、SLPなどの仮想通貨に被害はなく、アクシーインフィニティ自体にも影響はありません。

補填用に1.5億ドルの資金調達

この被害を受けて、スカイメイビスは、被害を受けたユーザーへの資金返却を約束しています。2022年4月初旬、スカイメイビスは補填に向けた資金調達を実施しており、アニモカ・ブランドなどの投資ファンドから合計1億5,000万ドルを得ました。また、不足があれば同社の資産を使用する方針です。

一方、スカイメイビスは流出資金の奪還も目指しており、複数の政府機関やブロックチェーン分析会社「Chainanalysis」などと協力して犯人を追っています。しかし、資金を取り戻すには困難が予想されます。

セキュリティ強化を実施

当記事執筆時点で、アクシーインフィニティは通常通りサービスを継続しています。しかし、被害拡大を防ぐためにRonin Bridgeは停止中です。これに伴い、Binanceなどの取引所も、Ronin Networkとのクロスチェーンブリッジを無効にしています。安全性が確保できれば再稼働するでしょうが、まずはRonin Networkのセキュリティ強化が求められています。

point クロスチェーンブリッジ

クロスチェーンブリッジとは、複数のブロックチェーンをつないで、規格の異なる仮想通貨を利用可能にする技術です。この技術が普及すれば、ブロックチェーンをまたいで仮想通貨をやり取りできます。現在、多数のブロックチェーンが稼働しておりクロスチェーンブリッジは重要ですが、その脆弱性を狙ったハッキングが起きているのも事実です。

Ronin Bridgeにおけるサービス停止の通知

画像引用:Ronin Bridge

既にスカイメイビスは、セキュリティ強化に向けてバリデータノードの承認を厳格化しました。これまで、Ronin Networkで入出金するには、9つのバリデータノードのうち5つの承認が必要でした。この必要な承認数を、8つに引き上げました。加えて、バリデータノードの総数を増やす予定です。

point バリデータノード

バリデータノードは、報酬と引き換えに取引を検証してブロックを生成します。このシステムは主にPoS(プルーフ・オブ・ステーク)のブロックチェーンで採用されており、従来のブロック生成方法よりも効率的だと考えられています。

Ronin Networkのバリデータノードの基準値変更

今回、犯人はシステムの穴を突いて送金に必要な情報を入手し、5つのバリデータノードを乗っ取って仮想通貨を盗みました。よって、この穴が修正されれば正常化すると予想できます。その上で、バリデータノードの承認プロセスを厳格化しますので、セキュリティは以前よりも向上するでしょう。

セキュリティ以外の懸念点

Play-to-Earnのゲームはその発展が期待されている一方、セキュリティ以外にも解決すべき問題を抱えています。その問題とは、稼ぐ機会の継続性です。過去の例を見ると、主要なブロックチェーンゲームでさえ、時間の経過とともに報酬システムを維持できなくなり、「稼げないゲーム」になってしまう例が多数あります。

アクシーインフィニティも、例外ではありません。フィリピンでは報酬で家を建てたプレイヤーが現れるなど好調でしたが、ユーザーの収益性は低下し続けています。これは、SLPトークンの価格を見ると明白です。SLP価格は2021年5月に0.35ドルを上回って史上最高値を更新しましたが、2021年7月頃から右肩下がりとなっています。

SLPと米ドルの価格チャート

画像引用:CoinMarketCap

Play-to-Earnのゲームにおいて、新規参入するプレイヤーはトークンを買いますが、ゲームでトークンを稼いだ人は売って現金化しようとします。すなわち、ゲーム参加者が多くなればなるほど、売り圧力が強くなってしまいます。

アクシーインフィニティの場合、ゲーム開始時に買うNFTは高額であり、資金を回収できない可能性があります。無料でNFTを借りることもできますが、NFTの持ち主に使用料を支払う必要があります。ハッキング被害の影響もあって、アクシーインフィニティは日間アクティブユーザー数を大幅に減らしています。持続可能な環境を構築するためには、適切な収益性の維持が重要です。

AXSの買い方

日本国内の取引所はAXS(アクシーインフィニティ)を取り扱っていません。そのため、AXSを購入するならBinance(バイナンス)やBybit(バイビット)などの海外取引所を利用することになります。

日本語対応の海外取引所でのAXSの取り扱い状況(USDT建て現物・デリバティブ)は下記の通りです。

取引所 現物 デリバティブ
Binance(バイナンス)
Bybit(バイビット)
Gate.io(ゲート)
CoinEX(コインイーエックス)
MEXC(メクシー)
BingX(ビンエックス)
Bitget(ビットゲット)

Binance(バイナンス)

現物 デリバティブ

Bybit(バイビット)

現物 デリバティブ

Gate.io(ゲート)

現物 デリバティブ

CoinEX(コインイーエックス)

現物 デリバティブ

MEXC(メクシー)

現物 デリバティブ

BingX(ビンエックス)

現物 デリバティブ

Bitget(ビットゲット)

現物 デリバティブ
binance bybit gate.io mexc

海外取引所は日本語対応が充実しているBybit(バイビット)がおすすめです。

苦難を乗り越えられるか

Ronin Networkが大規模なハッキング被害を受けたことは、アクシーインフィニティにとって大きな痛手です。しかし、この苦難を乗り越えれば、アクシーインフィニティはより洗練されたゲームになるかもしれません。Play-to-Earnの流行を牽引する存在だけに、スカイメイビスには迅速な対応が求められています。


Date

作成日

2022.04.14

Update

最終更新

2023.03.16

Zero(ゼロ)

米大学で出会った金融学に夢中になり、最終的にMBAを取得。
大手総合電機メーカーで金融ソリューションの海外展開を担当し、業界に深く携わる。
金融ライターとして独立後は、暗号資産およびブロックチェーン、フィンテック、株式市場などに関する記事を中心に毎年500本以上執筆。
投資のヒントになり得る国内外の最新動向をお届けします。

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