作成日
:2022.04.14
2024.06.30 01:16
2022年4月5日、ブロックチェーン「Japan Open Chain」のベータ版が公開されました。Japan Open Chainはスタートアップ企業のG.U.Technologiesが運営しており、電通など有名企業等と提携しているため、仮想通貨(暗号資産)関連のメディアに大きく取り上げられています。
その一方、Twitter(ツイッター)ではJapan Open Chainへの批判が多く投稿されています。どのような点が批判されているのか調査しました。
まずはJapan Open Chainの概要について紹介します。Japan Open Chainは「法的・技術的に安心して利用できるブロックチェーン・ネットワーク」の構築を目指しており、日本の法制度に沿うことに注力しています。
また、イーサリアム(ETH)と互換性を持つブロックチェーンであり、高速取引と安価な手数料を目指しています。長期的には、国外からも個人・法人が利用できるパブリックチェーンとなる予定です。
ブロックチェーンには、大きく分けてプライベートチェーンとパブリックチェーンがあります。プライベートチェーンは参加者が限定されているのに対し、ビットコイン(BTC)を始めとするパブリックチェーンは、不特定多数の人々がネットワークに参加できます。
仮想通貨市場には無数のブロックチェーンが存在しており、それぞれに特徴があります。そこで、Japan Open Chainの技術的特徴を1つ紹介します。
ブロックチェーンはルールに基づいてブロックを生成しており、このルールをコンセンサスアルゴリズムと呼びます。Japan Open ChainのコンセンサスアルゴリズムはPoA(プルーフ・オブ・オーソリティ)であり、これは日本語で「権威の証明」を意味します。その名の通り、ブロックを実際に作る人(=バリデータ)の権威に依存する仕組みです。
PoAの仕組みを理解するために、PoS(プルーフ・オブ・ステーク)と比較します。PoSでは、仮想通貨をブロックチェーンに預け入れれば誰でもバリデータになれます。そして、仮にバリデータが不正を働く場合には、預け入れた仮想通貨の没収など何らかのペナルティが課されます。
一方、PoAでは、信頼できる特定の企業や個人がバリデータとなります。仮に、バリデータとなった企業が不正を働くと、その企業の評判は大きく落ちて売上等に影響することでしょう。すなわち、信頼できる企業等をバリデータにすれば、彼らは不正を働かないと期待できます。
なお、PoAのメリットとして、電力コストが低いことなどが挙げられるものの、バリデータの悪意ある結託を防止しづらく、決して透明性が高いとはいえません。バリデータが本当に信頼できる場合に限り、PoAは優秀なコンセンサスアルゴリズムだといえます。
このJapan Open Chainに対し、Twitter(ツイッター)上では応援する声よりも批判の方が多いようです。そこで、その内容をいくつか紹介します。
開発会社は、Japan Open Chainをパブリックチェーンと表現しています。しかし、ツイッター上では「コンソーシアム型だ」と指摘されています。
コンソーシアム型とは、特定の企業群がコンソーシアム(共同事業体)を作ってブロックチェーンを運営する形態です。パブリックチェーンでなく、プライベートチェーンに分類されます。
開発会社もコンソーシアム型であることは認めていて、Japan Open Chainのことを「パブリック・エンドポイント型のコンソーシアム・ブロックチェーン・ネットワーク」と表現しています。これは、ブロックチェーンの運営はコンソーシアム型だが、「ユーザーとしてならば誰でも利用できる」という意味でパブリックという意味になります。
一般的にパブリックチェーンとは、ブロックチェーンの運営に誰でも参加できる形態を指すため、「パブリックチェーン」を自称することが正確ではないと批判を受けています。
仮想通貨のブロックチェーンは元々、中央集権的ではない仕組みを目指して誕生したものであるため、中央集権的な性質を残したコンソーシアム型は、仮想通貨の本流からは外れているという認識を持たれることも批判の背景にあります。
ブロックチェーンの運営を行うバリデータの数は、β版の現時点では5に制限されており、最終的な数も最大で21になる見通しです。この形態であれば、複数の大企業が提携して運営しているだけで、従来の企業による管理とあまり差がない状態になることが予想されます。
Japan Open Chainは日本の法制度に沿うことを重視しています。しかし、ブロックチェーンを日本の法制度に適合させると、ガラパゴス化してしまうのでは?と懸念する向きもあります。この点について、将来的には海外からJapan Open Chainにアクセス可能になるため、日本市場に魅力があれば生き残れる可能性があります。
ガラパゴス化とは、日本に特化して開発を進めた結果、海外の製品やサービスとの互換性がなくなることを指します。日本の人口が減少すると消費者数も同様に減りますので、日本に特化した製品やサービスは生き残りが難しくなる可能性があります。
世の中には、ブロックチェーンプロジェクトが無数に存在しますので、他と同じサービスではユーザーの心に響きません。競争を勝ち抜くために、あえてガラパゴス化を選んだ可能性もあります。独自性を出す方法の一つとも考えられます。
Japan Open Chainのプロジェクトは、日本国内に特化し、日本の法律との整合性を重視し、バリデータを国内の巨大企業等に限定しています。すなわち、新規にブロックチェーンを立ち上げる必然性が見出しづらく、世界的なブロックチェーン開発の方向性と逆であり、従来型の中央集権的な管理で十分に見えます。批判の中には、お金稼ぎや利権目的だろうと書いているものもあります。
確かに、仮想通貨コミュニティから見ると、Japan Open Chainプロジェクトの存在理由は分かりづらいです。しかし、一般の人々、すなわちブロックチェーンや仮想通貨に触れようとしない人々を引き込む第一歩として考えると、様相はやや異なります。
従来、Googleなど巨大企業が個人の情報を独占し、それを使って稼いできました。ブロックチェーンや仮想通貨の思想の背景には、この状況への反発があります。また、「自分達のことは自分達で決めたい」という欲求もあります。こういった欲求が、分散化・DAO(分散型自律組織)・仮想通貨経済圏などにつながります。
その一方で、ブロックチェーンや仮想通貨を理解するのは大変ですし、「管理者がいないシステムなんて、不安で使えない」「仮想通貨は単なる投機の対象だ」と考えている人も、依然として多いでしょう。実際、仮想通貨の価格は10倍になったり10分の1になったりしますし、ハッキングによる盗難金額は桁違いの大きさです。敬遠したくなるのは仕方がありません。
Japan Open Chainは、このような層に向けて事業を展開するのかもしれません。このような層の人々に使ってもらうには、「電通が積極的に関与しているから安心」「国内法に沿っているから安心」といった中央集権型の考え方が、効果的かもしれません。
まずは第一歩を踏み出してもらって、そこから本格的にブロックチェーンの世界に入ってもらうということです。
Japan Open Chainについて、Astar Netowrk設立者の渡辺創太氏は、Twitter(ツイッター)で以下の通り書いています。
「僕はグローバルでデフォルトスタンダードを取りにいきたいので、Japan Open ChainとAstarは思想、技術、考え方全てが540度くらい違います。違いは良いと思ってて勝者は自ずと数年後に見えてきます。」
全く違うことを示す表現に、「180度違う」があります。上のツイートでは540度と書いてあり、すなわち180度の3倍ですから何もかもが全く違うと強調しています。
Astar Networkは、自らが世界標準になろうとしています。一方、Japan Open Chainは国内に特化しています。これは、どちらが良い・悪いというものではなく、勝者はユーザーが決めます。Japan Open ChainやAstar Netowrkに限らず、世界には数多くのプロジェクトが存在しており、その中で、どのプロジェクトがユーザーの支持を得て生き残れるでしょうか。とても興味深いです。
作成日
:2022.04.14
最終更新
:2024.06.30
FXと仮想通貨をメインとし、投資歴は20年を超える。トレードで独立後に別のペンネームで書籍を出版したり投資雑誌に寄稿したりするなど活躍中で、主に英語メディアで日々最新情報をチェックしている。
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