作成日
:2025.09.08
2025.09.08 16:46
「国内銀行送金が使えなくなるかもしれない」との懸念から、Wiseを使用した送金方法が一部で注目されています。
国内銀行送金規制後の代替手段として、USDTなどを用いた仮想通貨(暗号資産)送金が注目されていますが、仮想通貨になじみがないFXトレーダーも少なくありません。SNSでは実際にWiseで出金できたとする投稿も見られますが、海外FXの送金に使うのはリスクが高いためおすすめできません。この記事ではその理由を説明します。
2025年の資金決済法の一部改正の影響で、多くの海外FX業者で利用されているクロスボーダー収納代行を使った国内銀行送金が、今後使えなくなると見られています。
海外FXユーザーの中には、仮想通貨送金などの代替手段への乗り換えを検討する人も増えており、一部でWiseを使った送金も注目されています。Wiseは日本の金融庁から資金移動業の認可を受けているサービスで、通常の海外銀行送金よりも手数料を抑えられることから多くのユーザーに利用されています。
Wiseでは、Wise口座間の送金のほか、国内銀行口座や海外銀行口座への送金にも対応しています。通貨ごとに口座を開設でき、通貨によっては現地の銀行口座情報もユーザーに提供されます。
SNS上では、Wiseを使った海外FXへの送金方法を紹介する投稿を見受けられます。SEPAで送金すればユーザー専用のIBANが発行され、ユーザー名義で送金できるとされています。
仮に上記のルートで送金できれば、規制後も国内銀行送金の代替手段として利用できる可能性があります。
Wiseと類似するサービスとして、Revolutが挙げられます。Revolutでは海外送金の際に中継銀行手数料が発生する場合がありますが、Wiseでは中継銀行手数料がかからないため、低コストでの海外送金が可能です。
そのため、「海外FX業者が保有する海外の銀行口座に低コストで送金できるのでは」とWiseが注目されています。
SEPA(単一ユーロ決済圏)送金は、EU加盟国など欧州圏で利用できるユーロ建ての統一送金システムです。一部非EU加盟国でも利用できます。国内送金と同じ手数料水準で利用でき、SEPA加盟国であれば通常1~2営業日程で着金します。
海外FX業者では取引口座の名義人と入出金する口座の名義人が一致していなければ送金することはできません。
Wiseの規約にはユーザーに提供される口座情報は、あくまでもWiseや関連会社が保有する口座の情報であり、ユーザーの銀行口座が開設されるわけではないことが明記されています。
Wiseから銀行口座に送金する場合、通貨によって送金人名義の扱いが異なり、必ずしもユーザー本人の名義で送金できるわけではありません。本人名義で送金できなければ、海外FX業者へ送金しても、取引口座には入金できないと考えられます。
当サイトでは、実際にユーザー名義で海外送金できるのか疑似的に検証してみました。
Wiseからユーザー名義の口座へ実際に送金して確認したところ、Wiseのユーロ口座開設時にユーザー専用のIBANが発行され、ユーロをSEPAで送金することができました。
加えて、送金先の銀行にはユーザー名義で着金することを確認しています。逆に銀行からWiseへ送金する際は、Wise側の名義がユーザー名になることも確認できました。なお、ユーロのSEPA送金では手数料もかかりませんでした。
また、円を使った送金も検証してみましたが、Wiseから銀行に送金する際の振込人の名義はユーザー名になったものの、銀行からWiseへ送金する際の受取人の名義は「ワイズペイメンツジャパン」になっていました。
一般的に海外FX業者のルールでは、入金時と出金時の名義が異なる場合は送金はできません。
今回検証を行ったWiseユーザーは、マレーシア居住者としてWiseを利用しているため、日本居住者が利用するケースと仕様が異なる可能性がありますが、Wiseを使って円を海外FX業者へ入出金する場合、名義の問題でFX業者側で拒否されるおそれがあります。
円をWiseからユーザー名義で、海外FX業者に送金するのは難しいかもしれませんが、ユーロでは本人名義で国外の銀行に送金できることが分かりました。送金を受け付けるかどうかはFX業者次第ではあるものの、業者の銀行口座がSEPA圏にあれば仕組み上は送金できると考えられます。
一見するとWiseは、海外FXへの送金方法として利便性が高い手段に思われます。しかし、Wiseを海外FX業者への送金に利用するのはおすすめできません。
仕組み上は、Wiseと海外FX業者間の送金は可能と考えられますが、利用規約には対応していない取引としてFXや仮想通貨購入などを目的とする送金が明記されています。
画像引用:Wise
ユーザーによる海外FX業者や海外の仮想通貨取引所への送金が明らかになった場合、アカウント停止・閉鎖のリスクがあり、Wiseを利用できなくなるおそれがあります。
そのため、直接Wiseから海外FX業者や仮想通貨取引所などへ入出金するのは危険といえるでしょう。
主要海外FX業者のサポートに「Wiseで業者の保有する海外銀行口座に送金して入金できるか」確認したところ、多くの業者は対応していないことが分かりました。ブローカーによっては、そもそも海外銀行送金に対応していないこともあります。
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今回確認した主要ブローカーの中で、Wiseでの送金が可能と回答したFX業者は1社だけでした。各ブローカーの対応状況を踏まえると、Wiseを送金手段として利用するのは難しいといえます。
ネットでは多くの海外FX業者が導入しているbitwalletと、Wiseを組み合わせて送金する方法も紹介されています。bitwalletを使ってブローカーに入金する場合は、以下のルートで送金できるとされています。
Wiseから直接海外FX業者に送金するわけではないため、規約には抵触しないと考えられます。実際にWiseからbitwalletに入金したユーザーのSNS上での投稿によると、bitwallet側から「Wise経由の入金はその都度資料提出を求める可能性があるため、銀行口座から送金してほしい」と連絡があったようです。
そのため、この方法も実用的ではないかもしれません。
直接海外FX業者に送金せずにオンラインウォレットを経由する場合や、送金先が海外FX業者の口座であることをWiseが把握していない場合は送金できると考えられます。しかし、いずれの方法もいつまで利用できるかは不透明といえるでしょう。
Wiseを使った海外FXへの送金は、仕組み上は可能と考えられますが、アカウント閉鎖のリスクが高いため避けるべきです。
Wiseは低コストで手軽に海外に送金できることから、同種のサービスの中でも人気を集めており、多くのユーザーに利用されています。Wiseアカウントが停止されると、他のサービスを利用するしかなくなるため、Wiseアカウントを使い捨て感覚で利用するのはやめたほうが良いでしょう。
海外FXユーザーの間では、国内銀行送金の代替手段を探す動きが広がりを見せていますが、現状では仮想通貨(暗号資産)で送金するのが無難といえそうです。
作成日
:2025.09.08
最終更新
:2025.09.08
短期が中心のトレーダーや中長期が中心のトレーダー、元プロップトレーダー、インジケーターやEAの自作を行うエンジニアなどが在籍。資金を溶かした失敗や専業トレーダーに転身した経験など、実体験も踏まえてコンテンツを制作している。
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