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日本発のブロックチェーンAstar Network(ASTR)の立ち上げが完了

日本発のブロックチェーンAstar Network(ASTR)の立ち上げが完了

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update 2023.03.16 15:54
日本発のブロックチェーンAstar Network(ASTR)の立ち上げが完了

update 2023.03.16 15:54

2022年1月17日、日本発のブロックチェーンプロジェクトであるAstar Network(ASTR)の立ち上げが完了し、同ブロックチェーンの独自仮想通貨(暗号資産)であるASTRが複数の海外取引所に上場されたことが明らかになりました。

日本発のブロックチェーンということもあり、国内の仮想通貨コミュニティもASTRの上場に盛り上がりを見せています。Twitter(ツイッター)上では、Astar Networkの開発に携わるStake TechnologiesのCEOである渡辺創太氏も、「長期でWeb3.0の基盤を作りにいきます」と意気込みを語っており、それが多くのユーザーに拡散されて注目されています。[1]

Astar Networkとは、どのようなブロックチェーンプロジェクトでしょうか。

ポルカドットのDeFiハブを目指す

Astar Networkは、ポルカドット(DOT)のブロックチェーン上に構築されるプロジェクトです。ポルカドットは比較的新しいブロックチェーンですが、大手取引所のBinance(バイナンス)がパラチェーンスロットオークションに対応するなど、何かと話題を呼んでいます。

パラチェーンスロットオークションとは、多数のプロジェクトが進行しているポルカドットにおいてブロックチェーンの利用枠を争う投票です。多くのプロジェクトが参加しましたが、Astar Networkは2021年12月にその権利を得て開発が進められています。

渡辺氏が言及するように、Astar NetworkはWeb3.0の実現を目標としており、具体的には「DeFiハブ」となることを目的としています。異なるブロックチェーンとのインターオペラビリティ(相互運用性)を高めることが重要だとの発想から、Astar Networkはポルカドット(DOT)のブロックチェーンと、イーサリアム(ETH)やコスモス(ATOM)などの別のブロックチェーンにまたがるDeFi関連サービスを展開しようとしています。

Astar Networkのインターオペラビリティ

なお、Astar Networkの開発環境は、イーサリアムのスマートコントラクト(ブロックチェーンを利用した契約の自動実行プログラム)に対応することも可能です。

point Web3.0とは

Web3.0とは、ブロックチェーンを初めとする分散型ネットワークを用いて分権化された次世代のインターネット環境を指します。大手IT企業が影響力を持つ現代の中央集権型インターネット環境(Web2.0)と異なり、Web3.0ではネットワークを構成する個々のユーザーが重要な役割を担うと考えられています。

また、Astar Networkは開発活動を加速させるために、33億円規模の開発者向けのファンドを立ち上げただけでなく、「マイクリプトヒーローズ」などのブロックチェーンゲームで知られるdoublejump.tokyoや日本マイクロソフトなどの組織とパートナーシップを締結しています。これに加え、Astar NetworkはDApp(ブロックチェーン上で動作するアプリケーション)開発者に仮想通貨で報酬を分配するシステムを採用しており、開発活動をバックアップする仕組みを構築しています。

開発が停滞するブロックチェーンが多く存在する中、Astar Networkは開発が活発に進められることが予想されており、ポルカドットのプロジェクトの中でも期待の存在となっています。

Astar Networkとポルカドットの関係

なお、Astar Networkには3つのネットワーク(Astar、Shiden、Shibuya)があり、そしてポルカドットには主に2のチェーン(Polkadot、Kusama)がありますが、それぞれの関係は以下の通りです。

AstarはポルカドットのメインネットワークであるPolkadotに接続し、ShidenはカナリアネットワークであるKusamaに接続、そしてShibuyaは、ShidenのテストネットワークとしてAstar開発チームが管理しているTokyoリレーチェーンに接続されています。

Astar Network 接続先
Astar Polkadot
Shiden Kusama
Shibuya Tokyo
knowledge テストネットワークとカナリアネットワーク

テストネットワークは、プログラムをメインネットワークで稼働させる前に試験的に使用され、一般的には非公開で誰でも接続できるという性質ではありません。一方、カナリアネットワークはテスト用ですが広く一般に解放されており、そこで使用されるトークンには価格もついていますので、メインネットに近い環境でテストすることができます。なお、カナリアネットワークを含めてテストネットワークと呼ぶことが少なくありません。

Astar NeworkのDeFi関連サービス

DeFi関連サービスは、ブロックチェーンを用いた金融分野のサービス提供を可能にします。具体的には分散型取引所(DEX)、仮想通貨レンディング(仮想通貨を利用した貸付)、仮想通貨ローン(仮想通貨を担保としたローン)などが代表的です。

Astar NeworkのDeFi関連サービス

DeFiハブであるAstar Networkは、これらのDeFi関連サービスをポータルを介して提供することを計画しています。当記事執筆時点で、Astar Networkでは「アースワップ(ArthSwap)」と呼ばれるDEXがリリースされることが決定しています。アースワップでは、仮想通貨取引であるスワップや、仮想通貨を預け入れて報酬を獲得するステーキング、仮想通貨ペアを預け入れることで収入を得る流動性マイニングなどの機能が利用可能となる見込みです。

Astar Networkは本番環境であるメインネットワークの立ち上げはまだの段階で、カナリアネットワークであるShiden Network(SDN)のみが公開されています。このShiden Networkでは、20種類以上のDeFi関連サービスが開放されており、ポータルを介してアクセスすることができます。

Astar NetworkのDeFiハブとしてのポータル Astar NetworkのDeFiハブとしてのポータル

Astar Networkとほぼ同じ環境を構築しているShiden Networkでは、ポータル上でこれらのDeFi関連サービスに対して独自仮想通貨のSDNを預け入れてステーキングすることが可能となっています。これは「DAppステーキング」と呼ばれており、現在、Shiden NetworkにおけるTVL(ブロックチェーンに預け入れられた仮想通貨の合計値)は、2,000万ドル近くにまで増加しています。

Stake TechnologiesのCEOである渡辺氏は、Astar NetworkにおけるDAppはDeFiやNFT(非代替性トークン)などが中心になっているものの、インフラ系のプロジェクトなども追加していきたいとコメントしています。加えて、渡辺氏は、今後もAstar Networkのポータル機能を拡充していくとの意気込みを語っています。

ASTRの将来性

ASTRはAstar Networkのネイティブトークンとして発行される仮想通貨で、ASTR価格は0.1ドル台で取引されています。2022年1月に大手取引所で上場したばかりで、米国の金融引き締め観測などの影響で仮想通貨市場全体が下落傾向にあることも背景にあり、価格は下落が続いています。今後の開発の進展により価格がどうなるか注目が集まります(2022年1月21日時点CoinMarketCapより)。

ASTRと米ドルの価格チャートと出来高

画像引用:CoinMarketCap

ASTRは、Astar Networkのガバナンストークンとしての役割を担っていますが、これに加えて、投資家はAstar Networkのステーキングだけでなく、ポータルからDAppステーキングに参加して報酬を獲得できるようになると予想されています。Astar Network上でDeFi関連サービスがリリースされれば、ASTRを保有するメリットがより明確になってくるかもしれません。

point ガバナンストークンとは

ガバナンストークンとは、プロジェクトの方針についての投票機能などを持つトークンであり、開発元だけではなくトークンホルダーもプロジェクトの運営に関わることができます。また、プロジェクトの進捗具合がトークン価格に影響を与えることもあります。

Astar Networkの利用が活発になると、ASTRの需要が高まると考えられます。渡辺氏はAstar Networkが、バイナンス・スマート・チェーン(BSC)やアバランチ(Avalanche)などのブロックチェーンと繋がる「L1 Bridges」や取引処理の高速化を目的とした「Layer2」などの機能開発に取り組んでいると言及しており、将来的に技術的なアップグレードにも期待できそうです。

ASTRの買い方

日本国内の取引所はASTRを取り扱っていません。そのためASTRを購入するなら、Binance(バイナンス)やBybit(バイビット)などの海外取引所を利用することになります。

日本語対応の海外取引所でのASTRの取り扱い状況(USDT建て現物・デリバティブ)は下記の通りです。

取引所 現物 デリバティブ
Binance(バイナンス) ×
Bybit(バイビット) ×
Gate.io(ゲート)
CoinEX(コインイーエックス) ×
MEXC(メクシー) ×
BingX(ビンエックス) ×
Bitget(ビットゲット) × ×

Binance(バイナンス)

現物 デリバティブ
×

Bybit(バイビット)

現物 デリバティブ
×

Gate.io(ゲート)

現物 デリバティブ

CoinEX(コインイーエックス)

現物 デリバティブ
×

MEXC(メクシー)

現物 デリバティブ
×

BingX(ビンエックス)

現物 デリバティブ
×

Bitget(ビットゲット)

現物 デリバティブ
× ×
binance bybit gate.io mexc

Gate.io(ゲート)では、現物取引とデリバティブ取引の両方を行えます。

ポルカドット元年の立役者となるか

渡辺氏は2022年がポルカドット元年になると説明した上で、Astar Networkが主要なプロトコルとして活躍できるよう尽力すると表明しています。仮想通貨市場ではDeFi関連サービスがブームとなっているだけに、その流れに乗ってDeFiハブを目指すAstar Networkは、ポルカドットにおける重要なプロジェクトになるかもしれません。

Astar Networkは、アースワップに続いてDeFi関連サービスをリリースする見通しですが、それに伴ってASTRの需要も高まってくると予想されているので、今後もStake Technologiesを中心とする同ブロックチェーンの開発活動は投資家の関心を集めることになるでしょう。


Date

作成日

2022.01.21

Update

最終更新

2023.03.16

Zero(ゼロ)

米大学で出会った金融学に夢中になり、最終的にMBAを取得。
大手総合電機メーカーで金融ソリューションの海外展開を担当し、業界に深く携わる。
金融ライターとして独立後は、暗号資産およびブロックチェーン、フィンテック、株式市場などに関する記事を中心に毎年500本以上執筆。
投資のヒントになり得る国内外の最新動向をお届けします。

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