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UST(TerraUST)の時価総額が100億ドルの大台に到達!その特徴と保有するメリットを解説

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update 2022.04.20 12:08
UST(TerraUST)の時価総額が100億ドルの大台に到達!その特徴と保有するメリットを解説

update 2022.04.20 12:08

分散型のステーブルコインであるUST(TerraUST)の時価総額が100億ドルの大台に到達しました。仮想通貨(暗号資産)市場におけるUSTの規模は、2021年初旬の約2億ドルから飛躍的な成長を遂げています。

ステーブルコインとして最も知名度のあるテザー(USDT)の時価総額である780億ドル(2021年12月現在)にはまだ及ばないものの、分散型ステーブルコインとしての競合にあたる、MakerDaoのブロックチェーン上で発行されるDAIの時価総額を超えました。

USTの時価総額の上昇は、USTを預け入れると年利20%が付与されるAnchorプロトコルなどのDeFi(分散型金融)プロジェクトでの利用が増加したことと対応しており、注目を集めています。

一般的にステーブルコインは米ドルやユーロ、日本円などの法定通貨に価値を裏付けられた安定的な価値を持つ仮想通貨ですが、USTは無担保型のステーブルコインです。このUSTはどのような特徴を持っているのでしょうか。

Terraプラットフォーム上で発行されるUST

USTは韓国のソウルに拠点を置くTerraform Labsが開発するブロックチェーン、Terra上で発行されるステーブルコインです。

Terraは「インターネット向けのプログラム可能なお金(Programable Money for the Internet)」をコンセプトに、各国の法定通貨に連動するステーブルコインを発行しています。USTの他には、韓国ウォンに連動するKRT(TerraKRW)やモンゴルトゥグルグに連動するMNT(TerraMNT)などのステーブルコインも存在します。

ちなみにUSTは、海外取引所で購入することが可能となっており、大手としてはBinance(バイナンス)などが同仮想通貨を取り扱っています。USTは他のステーブルコインと同様に、仮想通貨の取引に必要な基軸通貨として利用したり、後半で紹介するDeFi(分散型金融)関連サービスに利用することができるので、これを機会に保有を検討してみるのも良いでしょう。

無担保型ステーブルコインの仕組み

ステーブルコインの中には、法定通貨を価値の裏付けとする担保型と無担保型のものが存在します。通常、担保型のステーブルコインであれば、対象となる法定通貨の入金と引き換えに、1:1の割合で仮想通貨が発行されます。ビットコイン(BTC)を始めとする仮想通貨は、値動きが激しいことが問題として表面化していますが、このようなステーブルコインは担保を準備金として管理することで安定的な価値の保存を可能にしているのです。

例えば、世界最大のステーブルコインとして有名なテザー(USDT)は、発行会社であるテザー社が中心となって同仮想通貨を成立させることを可能にしています。具体的には、発行会社であるテザー社がユーザーに固定の交換レートでテザーと米ドルの発行・償還を保証しており、1テザー=1ドルの関係性を維持しているのです。稀にテザーなどのステーブルコインは、信用不安から価格が乱高下することもありますが、その価値はあらかじめ決められたレートで概ね安定しています。

担保型ステーブルコイン、テザーの例

一方、無担保型のステーブルコインは、担保型のものとは異なり、ある特定のアルゴリズム(プログラムによって実行されるルール)に従って需要と供給を調整することで安定性を保つことができます。今回、話題となっているUSTは、裁定取引によって米ドルとの価値が1:1になるような仕組みを作り出しています。

point 裁定取引とは

裁定取引は同じような価値を持つ商品の一時的な価格差を利益に変える低リスクの取引手法です。一般的に裁定取引に参加する者は、理論値よりも高くなっている方を売り、理論値よりも低くなっている方を買うので、価格差の歪みを解消する役割を果たしているといえるでしょう。USTはこの原理を利用して、価格の安定を図っているのです。

具体的には、USTは、Terraの独自仮想通貨であるルナ(LUNA)を焼却処理(バーン)することで発行することができ、またその逆にUSTをバーンしてルナを発行することもできる仕組みになっており、これが価値の安定に重要な役割を果たしています。

USTの価値が1ドルを超えた場合と、逆にUSTの価値が1ドルを下回った場合で、どのように価値の安定が行われるかを説明します。

USTの価値が1ドルを超えた場合

USTは市場でも取引されますが、Terraのプラットフォームを通じて時価1ドル分のルナを焼却処理することでも1USTを獲得することができます。そのため、USTの市場価格が1ドルよりも高くなれば、Terraのプラットフォームを通じてルナを焼却することで相場よりも安くUSTを入手することができます。そして、その安く入手したUSTを市場で売却すれば、リスクなく利益を獲得することができる状態になります。

USTの市場価格が1.1ドルのとき、1ドル分のルナで1.1ドル分のUSTを購入し、それを市場価格で1.1ドル分の米ドルに交換すれば、0.1ドル分の利益になるということですね。

これが裁定取引の機会となり、このような状況になったときには裁定取引を行うトレーダーが参入してUSTを入手して市場に供給するため、需給のバランスにより価格は下落します。

USTの価値が1ドルを下回った場合

逆に、USTの市場が1ドルを下回った場合は、裁量取引を行うトレーダーがまず市場でUSTを調達し、Terraのプラットフォームを通じてUSTをバーンすることで、ルナを獲得します。USTの市場価格が0.9ドルのとき、0.9ドルで調達したUSTで1ドル分のルナを購入できますので、購入したルナをすぐに換金すれば、0.1ドル分の利益を得ることができます。

市場に出回るUSTが減少しますので、需給のバランスにより価格は上昇します。

このように、無担保型のステーブルコインは、担保を確保するのではなく、仕組みによって価値の安定を図っています。

USTを保有するメリット

USTはTerraプラットフォーム上で様々な用途に利用することができます。現在、Terraはイーサリアム(ETH)やその他競合のブロックチェーンほど開発が進んでおらず、発展途上の存在ですが、対応するDApps(分散型アプリケーション)がいくつか出始めています

TerraはDeFi(分散型金融)関連サービスの大規模な普及させることを目標として掲げていることから、今後はUSTが利用できるサービスが拡大していくと予想されているのです。現時点でTerraでは、Anchorプロトコルと呼ばれるDeFi関連サービスが利用可能です。

point DeFi関連サービスとは

DeFi関連サービスはブロックチェーンを用いて金融分野のサービスを提供することを可能にします。具体的には分散型取引所(DEX)、仮想通貨レンディング(仮想通貨を利用した貸付)、仮想通貨ローン(仮想通貨を担保としたローン)などが代表的です。

Anchorプロトコルは、仮想通貨を用いた預金やレンディングなどのサービスを提供するプラットフォームです。2021年末時点で、Anchorプロトコル上では、約50億ドル相当のUSTが預け入れられており、預金者には年利20%前後の金利が付与されています。

Anchorプロトコルのプラットフォーム画像

ステーブルコインは通常の仮想通貨よりも価格変動リスクが低いため、あまりリスクを取らずに定期的な収入を得ることができます。また、Anchorプロトコルにおける金利は、他のサービスよりも高めに設定されているので、余裕がある方は現金をUSTに換えて運用するのも良いかもしれませんね。

USTの将来性は?

USTの大きなデメリットは、まだ普及が進んでおらず、対応するサービスが限られるという点です。例えば、ステーブルコインとして有名なテザー(USDT)やUSDコイン(USDC)は、Binance(バイナンス)などの仮想通貨取引所で仮想通貨を購入したりデリバティブ取引を行う際の資金として利用できますが、USTはまだ幅広く利用できるとは言い難い状況です。

今回の時価総額上昇は、AnchorプロトコルなどのDeFiプロジェクトでの利用増加と関係しており、USTの将来性はこの分野でさらなる伸びが期待できるか次第ともいえるでしょう。

また、無担保型ステーブルコインであることによるリスクも指摘されています。

投資家の動揺で安定性を欠く危険性も

従来のステーブルコインと比較してメリットの多いUSTですが、過去には無担保型であるがゆえに、脆さを見せる局面もありました。2021年5月に仮想通貨市場が大暴落を記録した際には、裁定取引の肝となるルナが80%を超える下落を記録したことを受け、チャート上でUST価格は一時的に0.94ドル付近まで急落しました。

ルナが暴落した際のUSTチャート

あるアナリストは、これをきっかけに投資家がパニックに陥ると、ルナに支えられるUSTのシステムが崩壊に向かう可能性があったと警告しています。準備金に裏付けられた担保型のステーブルコインであれば、このような仮想通貨市場の暴落に影響されることは少ないですが、無担保型のUSTにとっては思わぬ落とし穴になり得るといえるでしょう。

幸いなことに、UST価格は理論値の1ドル前後に回復していますが、今後も仮想通貨市場の暴落で安定性を欠く場面が訪れるかもしれません。

異なるブロックチェーンに展開される可能性

Terraはインターオペラビリティを高めて、イーサリアムやソラナ(SOL)、ポルカドット(DOT)を始めとする主要なブロックチェーンにUSTを流通させる計画があることを発表しました。インターオペラビリティとは、日本語で「相互運用性」と訳すことができますが、ブロックチェーン技術においては、異なるブロックチェーンを繋ぎ相互通信することを意味します。

Terraは「ドロップシップ」と呼ばれる技術の開発を進めており、これを現実のものとしようとしています。Terraがインターオペラビリティを高めていけば、USTを主要なDeFi関連サービスでUSTが利用できるようになると考えられます。

このような期待からか、Terraのネイティブトークンであるルナ価格が上昇しており、その時価総額は仮想通貨市場全体で10位以内の所まで拡大しています。(2021年12月末時点CoinMarketCapより)もちろん、これでUSTの価値が高まる訳ではありませんが、ルナの需要が拡大していけば、無担保型のステーブルコインとして同仮想通貨は、より安定的な存在になるといえるでしょう。

ルナのチャート

Terraブロックチェーンの成長に期待

仮想通貨市場では、DeFi関連サービスや仮想通貨取引の流行で、今後もステーブルコインの需要は増していくと考えられます。このような状況下、Terraブロックチェーンは、他のブロックチェーンと同様に、USTの利用環境を拡大していくでしょう。

実際にTerraブロックチェーンは、DeFi関連サービスの活発さを示すTVL(ブロックチェーンに預け入れられた仮想通貨の合計値)を増加させており、Binance Smart Chainを抜いてイーサリアムに次ぐ第2位の規模にまで成長しています。将来的にTerraは、Anchorプロトコルに続いて様々なDeFi関連サービスをリリースすると予想されますが、これが更なる成長をもたらす起爆剤となるのでしょうか。

仮想通貨市場には数多くのステーブルコインが流通していますが、Terraブロックチェーン上のDeFi関連サービスに触れてみたいというのであれば、他のステーブルコインよりも、USTを保有してみるのも良いかもしれません。


Date

作成日

2021.12.31

Update

最終更新

2022.04.20

Zero(ゼロ)

米大学で出会った金融学に夢中になり、最終的にMBAを取得。
大手総合電機メーカーで金融ソリューションの海外展開を担当し、業界に深く携わる。
金融ライターとして独立後は、暗号資産およびブロックチェーン、フィンテック、株式市場などに関する記事を中心に毎年500本以上執筆。
投資のヒントになり得る国内外の最新動向をお届けします。

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