作成日
:2021.12.30
2022.04.20 12:18
仮想通貨(暗号資産)情報サービスを手がけるBlockchain.comによると、2021年12月13日、ビットコイン(BTC)の発行量が発行上限の9割を超えました。
ビットコインの総発行枚数2,100万枚のうち、9割にあたる1,890万枚が既にマイニングされて市場に出回っており、新規発行される枚数は残りわずかとなっています。なお、発行量は段階的に減少するため、すべてのビットコインが発行されるのは100年以上先の2140年とみられています。
本記事ではこのニュースを皮切りに、ビットコインのマイニングとは何か、なぜ上限が設定されているのか、今後どうなっていくのかなど、あわせて解説します。
仮想通貨のマイニング(Mining)は金や銀を掘るイメージから付けられた名前であり、日本語で「採掘」を意味します。また、ビットコイン(BTC)におけるマイニングとは、ビットコインの取引データをブロックチェーンに追記して報酬をもらうことを指します。
このブロックチェーンは、分散型台帳技術と呼ばれるコンピュータネットワーク上のデータ管理技術であり、取引データのまとまりである「ブロック」がチェーン(鎖)のように連なり、次々と情報が更新されていきます。
すなわち、マイニングとは仮想通貨の送金情報に誤りがないか確認して承認し、新たなブロックをチェーンにつないでいく作業です。このマイニングを行う人はマイナーと呼ばれ、マイニングに成功すると報酬としてビットコインを受け取ることができます。
この仕組みはPoW(Proof of Work、プルーフ・オブ・ワーク)と呼ばれ、取引記録の改ざんが難しいことが特徴であり、データ改ざんに挑戦するよりもマイニングに取り組んで報酬を受け取る方が有利な仕組みになっています。
ビットコインはマイニングによって報酬を受け取ることができますが、この報酬は、誰かが持っているビットコインではなく、新規発行されたビットコインで支払われます。この新規発行できる量には上限があり、2,100万枚までと決められています。
この理由として、ビットコインは日本円やアメリカドルなどの法定通貨と異なり、国家がその価値を保証しているわけではないため、上限なしで発行し続けてしまうとインフレを起こして価値が下がってしまう可能性があるためです。
仮想通貨は、需要に対して発行枚数が少ないと希少価値が高くなります。そのため、仮想通貨の開発者が、その仮想通貨の目的やどのくらい希少価値を持たせたいかを考えて、発行枚数の上限を設定するかどうか、設定するのならば何枚にするのかを決めていきます。
下のグラフはビットコインの総発行量の推移を示しており、2,000万枚近く発行されている様子が分かります。
画像引用:Brockchain.com
仮想通貨はビットコインのほかにもさまざまな種類が存在します。代表的なアルトコイン(ビットコイン以外の仮想通貨)としてイーサリアム(ETH)がありますが、こちらは発行上限を設けず、別の方法を使って総供給量を調整しています。
いずれビットコインの発行枚数が上限に達すると、どうなるでしょうか。上限に達するとビットコインは新規発行されなくなりますが、取引できなくなるわけではありません。市場に出回っているビットコインを売買することはできるため、取引の承認作業であるマイニングも行われます。しかし、マイニングすることで受け取れる報酬の水準は低下します。
ビットコインのマイニングによって得られる報酬は、下記の2つの要素で構成されています。
このうち、「ブロック承認に対する報酬」が新規発行したビットコインで支払われ、「ユーザーが支払うトランザクション手数料」は、ユーザーが保有する既存のビットコインで支払われます。
発行量が上限に達すると、このうちブロック承認に対する報酬がゼロになるため、報酬総額の低下が発生します。
なお、ビットコインが上限に達するのは100年以上先の2140年と見込まれるため、その頃のビットコインの価格動向を予測することは困難ですが、新規発行されないことでビットコインの希少性が高くなり、ビットコインの価格が上昇する可能性が考えられます。
画像引用:Trading View
ビットコインのマイニング報酬は、総発行量が増えるに連れて徐々に減少していき、最終的にゼロになるという仕組み(半減期)を採用しています。そのため、これまでも新規発行量の低下は進んでおり、それに伴って価格が高騰しているという見方もあります。
今回、ビットコインの発行枚数が全体の9割に達しました。それでは今後、残り1割のマイニングが完了し、発行枚数が上限に達するのはいつになるでしょうか。
先ほど説明したように、マイニング報酬として新規発行されるビットコインは、総発行量が増えるに連れて徐々に減少します。そのため、2009年にビットコインが登場した当初には新規発行量が多かったものの、次第に新規発行のペースが緩やかになっており、上限に達するのは2140年あたりとされています。
ビットコイン保有者が秘密鍵を紛失してしまったり、適切に相続できなかったりする場合があるため、全てのビットコインが市場で利用されるわけではありません。暗号資産分析を手がけるチェイナリシスによれば、370万BTCはすでに失われたとされています。また、暗号資産取引の追跡を行うホエール・アラートによれば、ビットコイン開発者のサトシ・ナカモト氏は、ビットコインが誕生して間もないころに100万BTC以上をマイニングした可能性があるとしています。しかしこれらのビットコインは、使用されないままの状態になっていると見られています。
総発行量が増えるに連れて新規発行量が徐々に減少していき、最終的にゼロになるという仕組みのことは、「半減期」と呼びます。
ビットコインの発行上限枚数が決まっていると、上限に達する前に欲しいと思う人も多いでしょう。発行上限に達するまでマイニングがハイペースで進み、発行量が急激に増えすぎると、ビットコイン価格が急落してインフレが発生してしまう恐れがあります。
そこで、インフレを防ぐため、新規発行のペースが徐々に緩やかになるよう考え出されたのが「半減期」です。具体的には、マイニング報酬が半分になるタイミングのことで、21万ブロックが生成されるごとに発生するよう設定されています。1ブロックが生成されるのには約10分かかるため、計算すると半減期は約4年に1回発生することになります。
当初、ビットコインのマイニング報酬は1ブロック生成するごとに50BTCでしたが、2012年の1回目の半減期で25BTCに、2016年の2回目の半減期で12.5BTCとなり、2020年の3回目の半減期に6.25BTCとなりました。
次回、4回目の半減期にはさらに半分となり、これを繰り返して33回目の半減期に報酬はゼロとなります。
半減期の仕組みにより、ビットコインの総発行量が増えるに従ってマイニング報酬は低下します。では、これはマイニングを行っている人たちの行動にどのような影響を与えるのでしょうか?
マイニングで新たなブロックを生成するためには、「ハッシュ関数」という難解な問題を解く必要があります。そして、他のマイナーより早く問題を解いたマイナーだけがブロックを生成して報酬を得られるため、マイニングで報酬を稼ぐには高性能なマシンが欠かせません。
ビットコインが誕生して間もないころには、まだマイナーの数が少なく、個人が自宅のパソコンを使ってマイニングを行う「ソロマイニング」と呼ばれるケースも少なくありませんでした。しかし、ビットコインが普及し価格が高騰するにつれて、マイニングに参入する個人や企業が増えていき、現在ではマイニング競争が激化しています。
このため、マイニング企業にお金を払ってマイニングを代行してもらい報酬を得る「クラウドマイニング」や、複数のマイナーと協力してマイニングを行う「プールマイニング」など、より大規模で組織的なマイニングの形態も生み出されています。
マイニングの主体が個人から企業に移ったことで、収益性の面がより重視されるようになりました。マイニング報酬の低下は、こうした企業の収益性の低下にもつながります。
マイニングに利用する機器の性能や電気代によっては、半減期を迎えたことで採算が合わなくなる可能性もあります。
一方、収益性にはビットコイン価格も影響を与えるため、半減期による報酬の減少を補うほどの価格上昇があれば、半減期を経ても十分な収益を上げることができます。
なおマイニングは大量の電力を消費するため、電気代が安い国や地域でマイニングが行われる傾向があるほか、大量の電力消費により発熱したマシンを冷却しやすいよう、北欧などの寒冷地で行われるケースも多いです。
これらの理由により、従来、マイニングは電気代の安い中国の奥地などでさかんに行われ、特に多くの水力発電所を擁する中国の四川には、多くのマイニング工場が集まっていました。しかし2021年9月、中国当局は仮想通貨のマイニングを全面的に禁止し、中国のマイナーは続々と海外に移転していきました。
ビットコインは、通貨としての希少性を高めるため2,100万BTCという発行枚数の上限を設定しています。2009年に初めてビットコインがマイニングされてから12年が経過し、ビットコインの9割以上が採掘されました。
そして、4年に1度の半減期を経て、ビットコインのマイニングのペースは緩やかとなっており、2033年に99%のマイニングが完了すると見られ、すべて採掘されるのは2140年までかかると予想されています。
大量の電力を消費するマイニングのエネルギー源をめぐっては、従来の化石燃料依存から再生可能エネルギーへシフトする動きも広がっており、今後の動向が注目されます。
作成日
:2021.12.30
最終更新
:2022.04.20
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