作成日
:2021.12.10
2023.03.16 15:54
2021年12月10日、Bybit(バイビット)がローンチパッドで流動性提供サービス「izumi Finance」で使われるトークン「IZI」の取扱いを開始すると発表しました。ローンチパッドとは、Bybitに上場予定の仮想通貨を先行して配布する、Bybit独自のプラットフォームです。
IZIは2021年12月20日にBybitに上場予定で、この上場を記念してキャンペーンが行われます。
IZIは、分散型取引所(DEX)であるUniswap(ユニスワップ)V3に流動性を提供するサービス、「izumi Finance」のユーティリティトークン(何かの資産と交換することを前提とした仮想通貨)として発行される仮想通貨です。
流動性の提供とは、分散型取引所に特有の仕組みです。分散型取引所では、多数のトレーダーが「流動性プール」に事前に2つの仮想通貨(例えばイーサリアムとテザー)をペアで預け入れておき、その後その2つの仮想通貨の交換を希望するトレーダーが現れた際には、流動性プールにある仮想通貨を入れ、引き換えに別の仮想通貨を引き出します。この、流動性プールに仮想通貨を預け入れることが「流動性の提供」にあたります。
流動性の提供を行った報酬として、2つの仮想通貨の交換を行ったトレーダーが支払った手数料の一部が、流動性提供者に支払われます。izumi Financeは、この支払われる報酬を増加させる独自の仕組みを採用していることが特徴です。現在、公式ページ上では、最大で年利300%を上回る報酬を提供すると宣伝されています。
Uniswapに直接仮想通貨を預け入れることもできますが、izumi Financeを通すことで独自の仕組みが適用され、さらに利回りを上げることができるということです。
また、分散型取引所には、流動性を供給する際に使用した2つの仮想通貨の価格バランスが崩れることにより、価格変動幅以上に大きな損失を出してしまう「変動損失」というリスクがありますが、izumi Financeはこの変動損失を抑制する仕組みも採用しています。
ローンチパッドでは、BITトークンの保有量に応じて、BITトークンと交換でIZIが配布されます。なお、ローンチパッドの開催期間は12月15日午後9時から12月20日午後8時59分まで(いずれも日本時間)で3つの期間に分かれており、それぞれで必要な手続きが異なります。
計測期間は、どれだけのIZIを購入する資格があるかを決定するためのものです。一方コミット期間では、得られた資格の範囲内で実際にIZIの購入に使用したいBITトークンの金額を入力します。
以下、各期間で必要な手続きを解説します。
5日間にわたって、Bybitの現物アカウント・デリバティブアカウント・ByFiアカウントに保有しているBITトークンの数量を計測します。具体的には、以下の計算式で1時間ごとにBIT残高をスナップショットとして記録します。
(日次平均BIT残高) =
(毎時間記録された合計のBIT残高)/ 24
計測対象となるBITは上記の3種類であり、ByFiアカウントでも二重資産マイニングなどローンチプール以外の他のプロダクトに預け入れているBITは計測されませんので、注意が必要です。
BITトークンは、Bybitが2021年9月から行った大規模なキャンペーンで無料配布されたため、持っているBybitユーザーも多いでしょう。キャンペーンで受け取っていない人やもっと保有量を増やしたい人は、Bybitの現物取引で購入して今回のキャンペーンに参加できます。
コミットできるBIT数量の上限は、計測期間中の日次平均BIT残高に応じて異なります。つまり、コミット期間が始まる12月15日だけBITを保有していても、コミットはできないということです。
コミット期間になるとローンチパッドのページに「今すぐコミット」ボタンが現れますので、このボタンを押してから交換するBITトークンの量を入力します。コミット期間に関する注意点は、以下の2つです。
コミットしたBITの量に応じて、IZIが配布されます。なお、獲得できる最大数量は1人あたり10,000IZIであり、以下の計算式に基づいて算出されます。
(獲得できるIZIの数量) =
(自分がコミットしたBIT / 参加者全員がコミットしたBIT)×(本イベントに割り当てられたIZI数量)
獲得できるIZIの数量が決定すると、コミットしたBITトークンから対応する金額が差し引かれます。1IZI=0.04米ドルとして計算され、コミット期間前のIZIとBITトークンの交換レートが使用されます。
純粋にコミットした数量ではなく、他の参加者がコミットしたBITトークンに対する割合に応じて獲得できるIZIの数量が決まる点に注意が必要です。ただし、より多くのBITトークンをコミットした方が、もらえるIZIの量も増えることは間違いないので、IZIを多く獲得したい人は積極的にBIT保有量を増やすと良いでしょう。
Bybit(バイビット)などの一般的な仮想通貨取引所と、Uniswap(ユニスワップ)などの分散型取引所(DEX)は、仮想通貨を交換できるという点は同じですが、運営形態には大きな違いがあります。
一般的な仮想通貨取引所では、ユーザー同士が出した売り注文と買い注文のマッチングによって仮想通貨の交換が行われますが、分散型取引所では主に「流動性プール」という仕組みが採用されています。また、一般的な取引所では、ユーザーサポートが提供されていますが、分散型取引所は全自動の取引を特徴としており、ユーザーサポートなどは基本的にありません。
このため、分散型取引所は仮想通貨に慣れた人が利用する場合が多く、特に非英語圏では利用が普及しているとはいいがたい状況です。
このような状況に鑑みると、Bybitでローンチパッドやローンチプールに登場するゲーム系仮想通貨などと比較すると、IZIが有望なのか、そうではないのかが理解しづらい人も多いでしょう。
Bybitでは非常に頻繁にキャンペーンが開催されていますので、理解しやすい銘柄を選んで投資するという方法もあります。
作成日
:2021.12.10
最終更新
:2023.03.16
米大学で出会った金融学に夢中になり、最終的にMBAを取得。
大手総合電機メーカーで金融ソリューションの海外展開を担当し、業界に深く携わる。
金融ライターとして独立後は、暗号資産およびブロックチェーン、フィンテック、株式市場などに関する記事を中心に毎年500本以上執筆。
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