作成日
:2021.10.27
2023.03.16 15:54
ブロックチェーンが普及するに伴って、仮想通貨市場ではDApp(分散型アプリ)プラットフォームが台頭してきています。イオス(EOS)もそのひとつですが、どのような存在なのでしょうか。
残念ながら、2021年10月時点でイオスは日本国内の仮想通貨取引所で取り扱われていません。取引するためには、Binance(バイナンス)やBybit(バイビット)などの海外取引所を利用する必要があります。
今回はイオスに興味があるという方に向けて、その概要を説明した上で、特徴と同仮想通貨を保有するメリット、将来性などについて解説していきます。
本来、イオスは仮想通貨関連プロジェクトのことを指します。イオスのネイティブトークンはEOSですが、プロジェクトと同じ名称で表記されることもあります。では、イオスとはどのようなプロジェクトなのでしょうか。
ここでは、イオスのプロジェクトとしての概要を紹介していきます。
イオスはダニエル・ラリマー氏とブレンダン・ブルメル氏によって発案され、両者が設立したBlock.one社によって開発が進められています。特に凄腕プログラマとして知られるラリマー氏は、多数の仮想通貨ベンチャーを立ち上げた実績を持っており、イオスの発展にも大きく貢献したといわれています。
2021年1月、ラリマー氏がBlock.one社のCTOを辞任したことが報じられました。今の所、イオスの開発活動に変更があるのかなどは明らかではありませんが、投資家は同プロジェクトの動向に注意を払う必要があります。
冒頭で触れた通り、イオスはDAppプラットフォームを開発することを目的としたプロジェクトです。
DAppは次世代のアプリケーションとして普及することが期待されており、仮想通貨市場でも注目の分野となっています。DAppはブロックチェーン上で動作するアプリケーションで、ゲームやSNS、金融分野のサービスであるDeFi(分散型金融)などの多岐にわたる領域で利用されています。
既に仮想通貨市場では、イーサリアム(ETH)やトロン(TRON)などのDAppプラットフォームが開発されていますが、イオスはこれらに肩を並べる存在だといえるでしょう。
イオスは、仮想通貨バブル絶頂の2017年から2018年にかけてICOを実施し、当時、史上最高額となる約43億ドルの資金調達に成功しました。このICOの歴史的成功は、イオスへの期待度の高さを示しているといえるでしょう。
なお、ICO(イニシャルコインオファリング)は、企業等の仮想通貨関連プロジェクトが発行した仮想通貨と引き換えに、投資家から出資を募って開発に必要な資金を調達する手段です。
ICOは、仮想通貨関連プロジェクトの資金調達手段として利用されていました。しかし、詐欺的な行いが横行したことから、現在は取引所を介するIEO(イニシャルエクスチェンジオファリング)や証券法で規制可能なSTO(セキュリティトークンオファリング)に移行しています。
では、イオスはブロックチェーンとしてどのような特徴を持っているでしょうか。以下、イオスの特徴を他のブロックチェーンと比較しながら解説していきます。
通常、ブロックチェーン上で仮想通貨を別アドレスに移動させる際には、トランザクションフィーと呼ばれる取引手数料がかかります。その額はブロックチェーンの混雑具合などにもよりますが、平常時のビットコイン(BTC)であれば、平均5ドル以下に収まる程度です。
イオスはDAppプラットフォームとしての使いやすさを高めるために、取引手数料を無料に設定しています。取引手数料はユーザーにとって負担になるものであり、その無料化がイオスのDAppプラットフォームとしての人気につながっているといえるでしょう。
イオスを頻繁に利用する人にとって、嬉しい特徴です。
仮想通貨の送金処理が完了するまでのスピードを、トランザクション速度と呼びます。トランザクション速度はブロックチェーンによってまちまちですが、比較する際には1秒間における処理回数を目安とします。
例えば、DAppプラットフォームの競合であるイーサリアム(ETH)は毎秒約15件、国際送金などに利用されるリップル(XRP)は毎秒約1,500件のトランザクションを処理することができます。対するイオスは数千以上のトランザクション処理が可能です。
このブロックチェーンの性能差は、仮想通貨を送金するユーザーにとっては体感として数秒から数十秒程度ですが、DAppプラットフォームなどの大規模なシステムを運用するには重要な要素となってきます。
コンセンサスアルゴリズムとは、ブロックを検証して承認するブロックチェーンのルールのことです。コンセンサスアルゴリズムごとに違いや特徴がありますが、イオスはPoS(プルーフ・オブ・ステーク)から派生したDPoS(デリゲーテッド・プルーフ・オブ・ステーク)を採用しています。
イオスのDPoSはPoSと異なり、仮想通貨保有者が投票システムを通じて、ブロック承認者のプロデューサを選定することができます。最も多くの票を獲得したプロデューサと投票した仮想通貨保有者は、ブロック生成に関与したことに対して報酬を受け取ることができます。
コンセンサスアルゴリズムはビットコインなどが採用するPoW(プルーフ・オブ・ワーク)とPoSに大別することができます。PoWと比較して、PoS系のコンセンスアルゴリズムは、少ない消費電力かつ高い処理能力でブロックチェーンを運用できると考えられています。このような強みがあることから、仮想通貨市場ではイーサリアムを含めて、多くのブロックチェーンがPoSを活用し始めています。
投資家は、イオスの値上がりによる利益以外に、保有することによる恩恵も得られます。ここからは、イオスを保有するメリットを紹介していきます。
ステーキングとはPoS系のコンセンサスアルゴリズムにおいて、報酬と引き換えにブロックを生成する行為を指します。対象の仮想通貨を保有している者であれば、誰でもステーキングに参加できますが、初心者にとってはウォレットやコンピュータの設定がハードルになるかもしれません。
取引所などが提供するステーキングサービスはこのような煩雑さを排除し、ユーザーが気軽にステーキングサービスに参加することを可能にします。ユーザーは、預け入れた仮想通貨に応じて報酬を受け取ることができます。
2020年3月、Binance(バイナンス)はステーキングサービスでイオスに対応することを発表しました。Binanceのステーキングサービスを利用すれば、年利4%程度の報酬を得られます。イオスの長期保有を検討している場合、ステーキングサービスの利用を検討できます。
これまで、イオス保有者へのエアドロップによる仮想通貨の無料配布が実施されてきました。これは、イオスのブロックチェーン上で開発しているプロジェクト等が自身の仮想通貨を世の中に広めるために行っているもので、イオスが公開された2018年と比較すると件数は減少しているものの、2021年に入っても実施例があります。
エアドロップされた仮想通貨が上場すれば、市場で現金化や他の仮想通貨と取引することができるので、イオス保有者にとってはうれしい特典だといえます。
エアドロップとは、仮想通貨関連プロジェクトが仮想通貨を無料配布するイベントです。仮想通貨市場でエアドロップは、効果的なプロモーションとして広く利用されています。
ここまで、イオスに関して解説してきましたが、同仮想通貨は投資先としてどのように捉えられるでしょうか。以下では、イオスの価格推移と価格変動の要因、その他将来性に関する情報を紹介していきます。
2021年10月時点で、イオスの価格は5ドルを下回る水準で推移しています。2018年に記録した20ドル台の史上最高値と比較すると、現在のイオス価格は低位にあるといえるでしょう。仮想通貨市場全体が上昇しているにもかかわらず、直近の高値を更新できていないチャートを見ると、イオス価格は低迷しているといわざるを得ません。
その背景には、イオスが複数の悪材料を抱えている事実があると考えられます。その例としていくつかの出来事を次で紹介していきます。
イオスは記録的なICOを成功させましたが、証券法に違反したとしてBlock.one社は米当局に罰金を支払うよう命じられました。最終的にBlock.one社は当局と和解しましたが、ICOを実施する際に市場操作を行なって仮想通貨価格を釣り上げたとの黒い噂も持ち上がっています。このようなことから、Block.one社はイオスのICO絡みで投資家から集団訴訟されました。
イオスは複数の専用ウォレットで出口詐欺(資金を持ち逃げする行為)の被害に見舞われています。これだけにとどまらず、イオスはブロックチェーンを用いた金融分野のサービスであるDeFi(分散型金融)プロジェクトで、億単位の出口詐欺を経験しました。
イオスは、DPoSの投票システムを通じてブロック承認者のプロデューサを選定しますが、このシステムを利用して一部のユーザーがブロック承認の権利を寡占しているとして、アメリカの評価会社 Weiss Crypto Ratings 社からC判定(低格付)の評価を受けています。
これらの出来事を通じてイオスは信頼を失っており、仮想通貨価格が低迷しています。しかし、これらの悪材料を解消することができれば、イオス価格も上向く可能性があるでしょう。
イオスは主要なDAppプラットフォームとして運用されており、有望なDAppが台頭してきています。特にゲーム分野のDAppが活発に利用されており、デジタル版モノポリーのような「Upland」やシミュレーションゲームの「Prospectors」などが、アプリランキングで上位に食い込んできています。
これらに続くDAppが出て来れば、イオス価格にも好影響となることが予想されます。
イオス(EOS)は、日本国内の取引所で取り扱いはありません。そのためBinance(バイナンス)やBybit(バイビット)などの海外取引所で取引することになります。
日本語対応の海外取引所でのEOSの取り扱い状況(USDT建て現物・デリバティブ)は下記の通りです。
取引所 | 現物 | デリバティブ |
Binance(バイナンス) | 〇 | 〇 |
Bybit(バイビット) | 〇 | 〇 |
Gate.io(ゲート) | 〇 | 〇 |
CoinEX(コインイーエックス) | 〇 | 〇 |
MEXC(メクシー) | 〇 | 〇 |
BingX(ビンエックス) | 〇 | 〇 |
Bitget(ビットゲット) | 〇 | 〇 |
Binance(バイナンス)
現物 | デリバティブ |
〇 | 〇 |
Bybit(バイビット)
現物 | デリバティブ |
〇 | 〇 |
Gate.io(ゲート)
現物 | デリバティブ |
〇 | 〇 |
CoinEX(コインイーエックス)
現物 | デリバティブ |
〇 | 〇 |
MEXC(メクシー)
現物 | デリバティブ |
〇 | 〇 |
BingX(ビンエックス)
現物 | デリバティブ |
〇 | 〇 |
Bitget(ビットゲット)
現物 | デリバティブ |
〇 | 〇 |
海外取引所は日本語対応が充実しているBybit(バイビット)がおすすめです。
現在、イオスの価格は5ドル未満で推移しています(2021年10月時点CoinMarketCapより)
。イオスはDAppプラットフォームとしては優秀で更なる成長が期待されていますが、悪材料を払拭できずに低迷しているのが現状です。展開次第ではイオス価格が復調に向かう可能性もありますが、どのような動きになるでしょうか。今後もDAppの利用は拡大していくと考えられるだけに、イオス関連の話題からは目が離せません。
出典元:
作成日
:2021.10.27
最終更新
:2023.03.16
米大学で出会った金融学に夢中になり、最終的にMBAを取得。
大手総合電機メーカーで金融ソリューションの海外展開を担当し、業界に深く携わる。
金融ライターとして独立後は、暗号資産およびブロックチェーン、フィンテック、株式市場などに関する記事を中心に毎年500本以上執筆。
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