作成日
:2021.08.23
2021.08.25 16:32
米商品先物取引委員会(CFTC)は8月20日、17日火曜日時点の建玉報告を公表した。
シカゴ・マーカンタイル取引所(CME)通貨先物市場における投機筋の通貨別ポジションは下記の通り。円、ネットポジションが減少
円は対ドルで6万3,208枚の売り越し(ネットショート)であった。ネットポジションは先週比で2,551枚の減少となる。尚、3月16日時点で約1年ぶりに円ショートに転じて以降、円の売り越しは23週間続いている。
画像引用:MQL5経済指標カレンダーのCFTC JPY投機筋ポジション
建玉別の増減率を見ると、買い建玉(円ロング)が前週比マイナス24.9%、売り建玉(円ショート)はマイナス6.8%となった。
【円ポジション】
建玉 | 先週 | 今週 | 増加率 |
ロング | 36,684 | 27,532 | -24.9% |
---|---|---|---|
ショート | 97,341 | 90,740 | -6.8% |
ネット | -60,657 | -63,208 | - |
【円ポジション】
ロング | ||
---|---|---|
先週 | 今週 | 増加率 |
36,684 | 27,532 | -24.9% |
ショート | ||
先週 | 今週 | 増加率 |
97,341 | 90,740 | -6.8% |
ネット | ||
先週 | 今週 | 増加率 |
-60,657 | -63,208 | - |
16日の週初は、アフガニスタンの地政学リスクや米中の軟調な経済指標、米10年債利回りの急低下などを受け、リスクオフの動きが強まった。また、新型コロナウイルス(COVID-19)の変異株であるデルタ株感染が世界的に広がっていることもリスク回避の円買いに繋がり、16日にドル円は週間安値となる109円11銭まで下落した。しかしながら、その後はセントルイス地区連銀のブラード総裁のタカ派的発言に加え、米連邦公開市場委員会(FOMC)議事録で年内のテーパリング(量的緩和の縮小)開始が示唆されたことなどを受け、一転してドルが買われる展開となった。19日にドル円は週間高値となる110円23銭まで上昇した。もっとも、来週にジャクソンホール会合を控えていることからポジション調整の動きも出て、週末20日は109円80銭近辺まで下落して取引を終えている。
ユーロ、ネットポジションが70%増
ユーロは対ドルで5万7,640枚の買い越し(ネットロング)となった。ネットポジションは先週比で23,783枚の大幅増加となる。これまで8週連続でネットポジションが減少していたが、IMM集計後の18日にFOMC議事録の発表を控え、ポジション調整の動きが出た模様だ。
画像引用:MQL5経済指標カレンダーのCFTC EUR投機筋ポジション
建玉別の増減率を見ると、買い建玉(ロング)が前週比プラス9.7%、売り建玉(ショート)はマイナス1.7%となった。ロングポジションが増加する一方、ショートポジションが減少したことにより、ネットポジションの大幅増に繋がった。
【ユーロポジション】
建玉 | 先週 | 今週 | 増加率 |
ロング | 212,809 | 233,529 | 9.7% |
---|---|---|---|
ショート | 178,952 | 175,889 | -1.7% |
ネット | 33,857 | 57,640 | - |
【ユーロポジション】
ロング | ||
---|---|---|
先週 | 今週 | 増加率 |
212,809 | 233,529 | 9.7% |
ショート | ||
先週 | 今週 | 増加率 |
178,952 | 175,889 | -1.7% |
ネット | ||
先週 | 今週 | 増加率 |
33,857 | 57,640 | - |
ユーロドルは、16日の週初早々に週間高値となる1.1802ドルまで上昇した。しかしながら、その後はデルタ株の感染拡大懸念やアフガニスタンの地政学リスクなどを受けた世界的な株安により、リスク回避ムードが広がったことがユーロ売り・ドル買いに繋がった。また、ユーロ圏4-6月期域内総生産(GDP、改定値)が市場予想を下回った他、米国の早期テーパリング観測が再燃したことなどにより、ユーロは大きく売り込まれる展開となった。週末20日にかけて、ユーロドルは2020年11月4日以来の安値水準となる1.1664ドルまで下落して取引を終えた。
ポンド、ネットポジションが34%減
ポンドは対ドルで4,651枚の買い越し(ネットロング)となった。ネットポジションは先週比で2,419枚の大幅減少となる。
画像引用:MQL5経済指標カレンダーのCFTC GBP投機筋ポジション
建玉別の増減率を見ると、買い建玉(ロング)がマイナス6.4%、売り建玉(ショート)はマイナス1.1%となった。
【ポンドポジション】
建玉 | 先週 | 今週 | 増加率 |
ロング | 44,750 | 41,898 | -6.4% |
---|---|---|---|
ショート | 37,680 | 37,247 | -1.1% |
ネット | 7,070 | 4,651 | - |
【ポンドポジション】
ロング | ||
---|---|---|
先週 | 今週 | 増加率 |
44,750 | 41,898 | -6.4% |
ショート | ||
先週 | 今週 | 増加率 |
37,680 | 37,247 | -1.1% |
ネット | ||
先週 | 今週 | 増加率 |
7,070 | 4,651 | - |
16日の週のポンドドルは、ほぼ週間を通じて売りに押される展開となった。世界的な新型コロナウイルスの感染再拡大やアフガニスタンの政情不安に加え、米中の経済指標が冴えない結果であった。これらを受け、投資家は運用リスクが取れず、より安全なドルが買われる一方でポンドが売られる展開となった。また、18日に発表された英7月消費者物価指数(CPI)が、前年同月比2.0%の上昇と、上昇率は前月の2.5%から縮小した他、20日に公表された英7月小売売上高も市場予想を下回った。これらの結果を受け、英イングランド銀行(中央銀行)は大規模金融緩和策の早期縮小を急がないとの見方が浮上したことも、ポンド売りを誘ったようである。週末20日にかけて、ポンドドルは約1ヶ月ぶりの安値水準となる1.3602ドルまで売られて取引を終えた。
ユーロとNZドル以外でネットポジションが減少
円(JPY)、ユーロ(EUR)、ポンド(GBP)、豪ドル(AUD)、スイスフラン(CHF)、カナダドル(CAD)、NZドル(NZD)の7通貨では、ユーロとNZドルを除き、ネットポジションが減少した。その他の通貨のポジションは下記の通り。
【その他通貨ポジション】
通貨 | 建玉 | 先週 | 今週 | 増加率 |
AUD | ロング | 57,323 | 64,169 | 11.9% |
---|---|---|---|---|
ショート | 106,636 | 114,536 | 7.4% | |
ネット | -49,313 | -50,367 | - | |
CHF | ロング | 18,537 | 14,354 | -22.6% |
ショート | 8,859 | 8,807 | -0.6% | |
ネット | 9,678 | 5,547 | - | |
CAD | ロング | 45,445 | 46,499 | 2.3% |
ショート | 38,980 | 43,839 | 12.5% | |
ネット | 6,465 | 2,660 | - | |
NZD | ロング | 17,295 | 16,674 | -3.6% |
ショート | 18,327 | 16,909 | -7.7% | |
ネット | -1,032 | -235 | - |
【AUDポジション】
ロング | ||
---|---|---|
先週 | 今週 | 増加率 |
57,323 | 64,169 | 11.9% |
ショート | ||
先週 | 今週 | 増加率 |
106,636 | 114,536 | 7.4% |
ネット | ||
先週 | 今週 | 増加率 |
-49,313 | -50,367 | - |
【CHFポジション】
ロング | ||
---|---|---|
先週 | 今週 | 増加率 |
18,537 | 14,354 | -22.6% |
ショート | ||
先週 | 今週 | 増加率 |
8,859 | 8,807 | -0.6% |
ネット | ||
先週 | 今週 | 増加率 |
9,678 | 5,547 | - |
【CADポジション】
ロング | ||
---|---|---|
先週 | 今週 | 増加率 |
45,445 | 46,499 | 2.3% |
ショート | ||
先週 | 今週 | 増加率 |
38,980 | 43,839 | 12.5% |
ネット | ||
先週 | 今週 | 増加率 |
6,465 | 2,660 | - |
【NZDポジション】
ロング | ||
---|---|---|
先週 | 今週 | 増加率 |
17,295 | 16,674 | -3.6% |
ショート | ||
先週 | 今週 | 増加率 |
18,327 | 16,909 | -7.7% |
ネット | ||
先週 | 今週 | 増加率 |
-1,032 | -235 | - |
release date 2021.08.23
ユーロは対ドルで冴えない展開が続いている。19日には節目の1.1700ドルを大きく割り込み、年初来安値となる1.1664ドルまで売り込まれた。米国では、18日に公表されたFOMC議事要旨で年内のテーパリング開始が示唆された他、FOMCメンバーによるタカ派的な発言が相次いでいる。一方、欧州では欧州中央銀行(ECB)がインフレの一時的な上振れを容認し、現行の大規模金融緩和策を堅持しており、米欧の金融政策スタンスの格差は鮮明なものとなっている。また、新型コロナウイルスの感染再拡大を受け、市場ではECBが2022年3月までとしているパンデミック緊急購入プログラム(PEPP)を延長する可能性もあると指摘する声も上がっている。加えて、メルケル首相が退任を表明しているドイツの連邦議会選挙が9月に予定される中、同国の政局を巡る不透明感が高まっていることもユーロの不安定化に繋がっているようである。欧米の金融政策スタンスの格差が意識される他、これら複数のリスク要因が浮上する中、ユーロは引き続き弱含む展開が続きそうだ。
作成日
:2021.08.23
最終更新
:2021.08.25
国内及び外資系金融機関に15年弱勤務し、現在は独立。
執筆と翻訳は、海外FXを始めとする金融分野を専門とする。
慶應義塾大学卒。
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