作成日
:2021.08.16
2022.04.20 12:28
運用資産残高(AUM)で上位100社の銀行の内、55行が直接または子会社を通じて、仮想通貨(暗号資産)やブロックチェーン関連企業に投資していることが明らかになった。
ブロックチェーン関連情報を提供するBlockdataによると、2021年7月時点でバークレイズやシティグループ、ゴールドマンサックス、JPモルガンチェース、BNPパリバを始めとする大手銀行が活発に投資を行なっているという。これらの銀行がどれ位の資金を投じたかは明示されていないが、資金調達ラウンドではスタンダードチャータード銀行が合計3億8,000万ドル、BNYメロンが合計3億2,059万ドル、シティグループが合計2億7,949万ドル、UBSグループが合計2億6,620万ドル、BNPパリバが合計2億3,605万ドルを出資している。最も多かった投資先は仮想通貨カストディ分野であり、上位100社中23社が独自ソリューションを構築するか、関連する企業に投資しているようだ。
クライアントからの需要が拡大していることや、仮想通貨関連の規制が整備されたこと、仮想通貨取引所が莫大な利益を上げていることを背景に、大手銀行は仮想通貨市場への参入を推し進めている。特に銀行と取引所の収益性の差は決定的な要因となっており、例えばバイナンスの従業員数は200人であるが、20万人の従業員を抱えるドイツ銀行よりも5,400万ドル以上の利益を上げている。加えて、コインベースはゴールドマンサックスにおける従業員数の約4%で同行より高い企業価値を維持している状況だ。
ビットコインを中心に仮想通貨は金融業界でも受け入れられ始めているが、これがどのような変化をもたらすのか、今後もこれら銀行の動向を見守っていきたい。
release date 2021.08.16
出典元:
ニュースコメント
仮想通貨市場の発展に貢献する米大手銀行
大手銀行による投資は仮想通貨市場で重要な役割を担っており、主要な仮想通貨関連企業の事業創出に貢献してきた。NYSEへ上場予定のCircleに投資したゴールドマンサックスや、仮想通貨コンプライアンス企業のEllipticに出資したウェルズ・ファーゴなど、特に米大手銀行が積極的な投資戦略の下、金融業界から仮想通貨市場への資金流入を先導しているようだ。結果的に、米国市場では人気仮想通貨リップル(Ripple)を開発するリップル社や、デジタル資産管理会社のNYDIG、仮想通貨データソリューション企業のLukka、ステーブルコインを発行するPaxosなどの仮想通貨関連企業が台頭してきている。今年4月に仮想通貨市場は時価総額が2兆ドルに再び迫る動きを見せているが、この金融業界でのトレンドが追い風となるのか、今後も仮想通貨市場での展開に注目していきたい。
作成日
:2021.08.16
最終更新
:2022.04.20
米大学で出会った金融学に夢中になり、最終的にMBAを取得。
大手総合電機メーカーで金融ソリューションの海外展開を担当し、業界に深く携わる。
金融ライターとして独立後は、暗号資産およびブロックチェーン、フィンテック、株式市場などに関する記事を中心に毎年500本以上執筆。
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