作成日
:2021.06.28
2022.04.20 12:28
今月23日、ロンドン警視庁(London's Metropolitan Police Service)の経済犯罪司令部(Economic Crime Command)が、マネーロンダリングに関与した1億1,400万ポンド(約1億5,880万ドル)相当の仮想通貨(暗号資産)を押収したことが明らかになった。
今回、具体的な捜査の内容は明らかにされなかったが、経済犯罪司令部は犯罪利用された資金の取引情報を掴んだことで、巨額の仮想通貨の押収に成功したという。これに関してジョー・ライアン巡査は、犯罪者が違法行為で得た資金を正当化するためにマネーロンダリングを行う必要があると述べ、その流れを妨害することができれば、犯罪が減少すると言及している。
一方、ロンドン警視庁のグラハム・マクナルティ副総監は、同組織の取り組みについて次のようにコメントしている。
警視庁はデジタル送金される資金を押収するだけでなく、犯罪者から現金を取り上げることに成功しています。2020-21の会計年度には、犯罪者の手から4,700万ポンド以上の資金を押収しました。この資金は犯罪に再投資することはできず、麻薬や武器の購入や、若くて脆弱な人々を犯罪に導いて搾取するために使われることもありません。
Graham McNulty, Deputy Assistant Commissioner of London's Metropolitan Police Service's Economic Crime Command - Metropolitan Policeより引用
ロンドン警視庁は引き続き捜査を継続する意向であることを示しているが、これが仮想通貨市場にどのような影響を与えるのか、今後も当局の取り組みを見守っていきたい。
release date 2021.06.28
出典元:
ニュースコメント
仮想通貨関連犯罪の抑止に向けてソリューション導入が進む
仮想通貨市場の拡大により、仮想通貨の犯罪利用が増加することが懸念されていたが、各国の規制当局は犯罪を抑止するソリューションの導入を進めており、同市場での安全性が向上し始めているようだ。例えば、米国の麻薬取締局(Drug Enforcement Administration, DEA)および内国歳入庁(Internal Revenue Service, IRS)などは、コインベースのブロックチェーン分析サービスの利用を検討しているという。その他、州レベルではワイオミング州の金融当局がChainalysisと協業し、マネーロンダリングや仮想通貨関連犯罪への対応を強化している。セキュリティ企業のCoinfirmがバイナンスから盗難された資金の流れを特定するなど、これらのソリューションは成果を上げ始めているが、仮想通貨を取り巻く環境はどのように変化していくのか、今後もその展開に注目していきたい。
作成日
:2021.06.28
最終更新
:2022.04.20
米大学で出会った金融学に夢中になり、最終的にMBAを取得。
大手総合電機メーカーで金融ソリューションの海外展開を担当し、業界に深く携わる。
金融ライターとして独立後は、暗号資産およびブロックチェーン、フィンテック、株式市場などに関する記事を中心に毎年500本以上執筆。
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