作成日
:2021.05.10
2022.04.20 12:27
大手資産運用会社のVanEckが、欧州初となる仮想通貨およびブロックチェーン分野の企業を対象にしたETF(上場投資信託)をリリースした。
このETFはVanEck Vectors Digital Assets Equity UCITS ETF【以下、DAPPと称す】と呼ばれ、ロンドン証券取引所(London Stock Exchange, LSE)やドイツ取引所(Deutsche Boerse)を通じて取引可能になったという。DAPPはMVIS Global Digital Assets Equity Index【以下、MVDAPPと称す】を原資産としており、経費率0.65%で仮想通貨関連企業に投資することが可能だ。MVDAPPは収益の50%以上を仮想通貨市場からあげる、または、資産の50%以上を仮想通貨で保有する企業に焦点を当て、仮想通貨取引所やマイナー、ハードウェアメーカー、ヘッジファンド、決済ゲートウェイオペレーター、銀行などの合計26社の株価に連動するよう設計されている。
VanEckの欧州地域責任者であるMartijn Rozemuller氏は、同社がDAPPをリリースしたことに関して次のようにコメントした。
ブロックチェーンアプリは仮想通貨よりも遥かに広い領域で利用され始めています。これは短期的な熱狂ではなく、長期的な構造的発展だと言えるでしょう。結果的に投資家は仮想通貨への投資機会を模索しています。
Martijn Rozemuller, Head of Europe at VanEck - VanEck - より引用
VanEckによると、MVDAPPに含まれる企業はここ数年で加速度的に業績を伸ばしており、2020年時点でその売上高は合計100億ドルを超えているという。VanEckのデジタル資産戦略ディレクターであるGabor Gurbacs氏は、DAPPが個別の仮想通貨に直接投資できない、または投資したくない投資家に対して良い機会を提供するとの考えを示しているが、これがどのような成果につながるのか、今後も同社の取り組みを見守っていきたい。
release date 2021.05.10
出典元:
ニュースコメント
ビットコインETFの承認を待ち望む米企業
米国では2021年中のビットコインETF誕生への期待が高まっており、VanEckは米証券取引委員会(US Securities and Exchange Commission)【以下、SECと称す】にVanEck Bitcoin Trustの承認を迫っているという。加えて、米大手資産運用会社であるフィデリティ投信もビットコインETFの立ち上げを計画するなど、競合他社がこの動きを追従する構えを見せている。しかしながら、SECは未だ正式な判断を下しておらず、各社とも足踏み状態が続いているようだ。このような状況下、VanEckがDAPPと同様のスキームでVanEck Vectors Digital Transformation ETFをナスダック(Nasdaq)に上場するなど、間接的に仮想通貨市場に投資するための商品がローンチされている。既にカナダでは資産運用会社のパーパスが世界初のビットコインETFを提供することに成功しているが、米国ではどのような動きが見られるのか、今後も同国での展開に注目していきたい。
作成日
:2021.05.10
最終更新
:2022.04.20
米大学で出会った金融学に夢中になり、最終的にMBAを取得。
大手総合電機メーカーで金融ソリューションの海外展開を担当し、業界に深く携わる。
金融ライターとして独立後は、暗号資産およびブロックチェーン、フィンテック、株式市場などに関する記事を中心に毎年500本以上執筆。
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