作成日
:2021.04.02
2022.04.20 12:27
米国の大手海外FXブローカーであるOANDA Corporation【以下、OANDAと称す】は3月30日、ポーランド拠点のFX・CFDブローカーであるTMS Brokers【以下、TMSと称す】の買収が完了したことを発表した。
2020年9月、OANDAはTMSを買収することを発表していたが、2021年3月23日にポーランド金融監督局(Polish Financial Supervision Authority, KNF)より買収の承認を得たとのことだ。同国で最古のブローカレッジファームであるTMSは、FXや株式、仮想通貨(暗号資産)といった数千種類に及ぶ金融商品に加え、画期的な取引ツールや教育コンテンツを提供している。OANDAは同社の買収を通じてポーランド市場でプレゼンスの拡大を図る方針だ。尚、今回の買収はOANDAにとってクラクフ(Krakow)でのシェアードサービスセンター(Shared Service Center, SSC)の設立に続き、2020年における同国での投資として2番目の案件になるという。
買収手続きの完了に際し、OANDAのCEOを務めるGavin Bambury氏とTMSのCEOを務めるMarcin Niewiadomski氏は、それぞれ以下のようにコメントしている。
TMSを買収したことは、バルト諸国及び東欧市場の開拓を通じ、我が社の成長拡大に向けた新たな時代の幕開けと言えるでしょう。また、同社を買収したことで、我々はエンドツーエンドのサービスを強化し、世界中のお客様にベネフィットをもたらすことができると考えております。我々はTMSを迎え入れることを大変楽しみにしております。
Gavin Bambury, Chief Executive Officer at OANDA - OANDAより引用
世界クラスのブランド力と高い規範を兼ね備えたOANDAは、世界中のお客様に優れたオンライントレーディングエクスペリエンスを提供すべく、先進的なテクノロジーを含むイノベーションの発揮に注力しております。創業25年の節目に際し、我々はOANDAファミリーに加わることを喜ばしく思っております。
Marcin Niewiadomski, CEO of TMS - OANDAより引用
足元の数ヶ月において、OANDAは積極的にサービスを拡充している。直近では、OANDAはQinox Techと提携し、グローバルFXデータ関連サービスの拡充を試みている。そして今回、OANDAはポーランドで高いプレゼンスを誇るTMSを買収したことで、更なる顧客基盤の拡大が期待できそうだ。
release date 2021.04.02
出典元:
ニュースコメント
持続的な成長や収益性の改善を図るM&Aが活発化
昨今、グローバル金融市場では持続的な成長や収益性の改善を図るべく、M&A(企業の合併・買収)が活発化している模様だ。直近では、CBOEがチャイエックス・アジアを買収し、日本とオーストラリア市場への進出を果たした。また、IGグループがtastytradeに買収提案を行っており、市場が拡大する米国リテール金融市場の開拓を進める方針を示している。加えて、新型コロナウイルス(COVID-19)のパンデミックをきっかけに、ESG(環境・社会・ガバナンス)投資が急拡大している状況だ。このような市場環境下において、各国証券取引所やインデックス組成会社などが、ESG関連企業へのM&Aを積極的に仕掛けているという。例えば、ドイツ取引所がESG関連データを取り込むべく、インスティテューショナル・シェアホルダー・サービシーズ(ISS)を買収することを発表している。新型コロナやブレグジットなどをきっかけとして市場環境が一変する中、金融サービスプロバイダー各社がM&Aを通じて如何なるソリューションを講じるか今後も注目したい。
作成日
:2021.04.02
最終更新
:2022.04.20
国内及び外資系金融機関に15年弱勤務し、現在は独立。
執筆と翻訳は、海外FXを始めとする金融分野を専門とする。
慶應義塾大学卒。
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