作成日
:2021.03.23
2022.04.20 12:27
米大手仮想通貨(暗号資産)取引所のCoinbase, Inc.【以下、コインベースと称す】が、出来高を水増ししていた件に関して、米商品先物取引委員会(Commodities and Futures Trading Commission)【以下、CFTCと称す】から罰金として650万ドルの支払いを命じられていることが明らかになった。
CFTCの報告によると、2015年1月から2018年9月までの間、コインベースは自動取引プログラムのHedgerおよびReplicatorを運用し、GDAXプラットフォーム(現Coinbase Pro)で架空の取引を行なっていたという。また、コインベースの従業員の中には同プラットフォームの口座を利用してライトコイン(Litecoin)とビットコイン(Bitcoin)の通貨ペアを売買し、人為的に出来高を増加させるウォッシュトレードを行なっていた者も存在するようだ。結果的にコインベースは流動性に関して投資家に誤った印象を与え、不当に利益を得ていたと考えられている。
取引所にとって流動性は重要な指標となるため、ウォッシュトレードは有効な市場操作の手段として認識されている。コインベースはAPIを通じてCrypto FacilitiesやCoinMarketCapなどの情報サイトに水増しされたトランザクションデータを配信しており、印象付けを行なっていたようだ。
米国では2021年中のビットコインETF誕生への期待が高まっているだけに、仮想通貨市場での取り締まり強化が求められていると言えるだろう。
release date 2021.03.23
出典元:
ニュースコメント
市場操作問題を抱える仮想通貨市場
2019年にBitwiseがビットコイン取引量の95%が偽装と報告するなど、以前から仮想通貨市場では取引所による市場操作が問題視されてきた。CoinMarketCapを始めとする情報サイトもこの問題を認識して対策を講じているものの、それがどの程度の効果を発揮しているかは明らかではないようだ。このような状況を受け、リップル社はXRP販売額を把握するためにより保守的なアプローチを採用しており、CoinMarketCapの代わりにCCTT(CryptoCompare Top Tier)の掲載データを参照することを決定したという。結果的に2019年第4四半期のXRP販売額は前期比で80%以上減少し、これらの統計に隔たりがある事実が明白になった。今回、CFTCがコインベースを罰したことは仮想通貨市場の透明性を高める可能性があるが、仮想通貨を取り巻く環境はどのように変化していくのか、今後もその動向を見守っていきたい。
作成日
:2021.03.23
最終更新
:2022.04.20
米大学で出会った金融学に夢中になり、最終的にMBAを取得。
大手総合電機メーカーで金融ソリューションの海外展開を担当し、業界に深く携わる。
金融ライターとして独立後は、暗号資産およびブロックチェーン、フィンテック、株式市場などに関する記事を中心に毎年500本以上執筆。
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