Select Language

ESMA、市場のトレンド、リスク、脆弱性に関するレポートを公表

ESMA、市場のトレンド、リスク、脆弱性に関するレポートを公表

  • X
  • facebook
  • LINE
  • RSS

  • X
  • facebook
  • LINE
  • RSS
update 2022.04.20 12:27
ESMA、市場のトレンド、リスク、脆弱性に関するレポートを公表

update 2022.04.20 12:27

規制対象外の仮想通貨への投資は高いリスクを伴うと指摘

欧州証券市場監督局(The European Securities and Markets Authority)【以下、ESMAと称す】は3月17日、2021年版となる市場のトレンド、リスク、脆弱性(Trends, Risks and Vulnerabilities)【以下、TRVと称す】に関するレポートを公表した。[1]

ESMA規制下の欧州市場は、依然としてリスクが高い水準にあるとのことだ。株式及び債券市場が新型コロナウイルス(COVID-19)のパンデミック前の水準に回復する一方、経済のファンダメンタルズは弱いという。良好な金融市場と脆弱な経済環境というデカップリングが生じている環境下において、同局は突如として市場に調整が入る可能性があると指摘している。

ビットコイン(Bitcoin)を含む仮想通貨(暗号資産)に関しては、多くの投資家が関心を寄せている状況だ。しかしながら、2018年2月に仮想通貨への警告を共同で発表したESMAと欧州銀行監督機構(EBA)及び欧州保険年金監督機構(EIOPA)の3つの欧州監督当局(ESA)は、一部の仮想通貨に関して非常にリスクが高く投機的であり、全ての資金を失う可能性もあることから、これら金融商品の購入や保有に再度注意を呼び掛けている。また、欧州連合(European Union)【以下、EUと称す】においては多くの仮想通貨が規制対象外となっているため、これら金融商品を購入及び保有する個人投資家は、規制下にある金融サービスに関連した補償やセーフガード措置を受けられないという。尚、2020年9月、欧州委員会(EC)は欧州主要国がステーブルコインへの対策強化を要請したことを受け、仮想通貨市場を規制する法案を提出している。但し、同法案は未だEU法として適用されていないため、個人投資家は想定されている如何なるセーフガード措置に関連したベネフィットも享受できないとのことだ。

市場参加者がブレグジットへの周到な準備を進めてきたことにより、証券市場においては、英国のEU離脱に伴う大きな混乱は見られていないという。また、EUの株式取引義務(Share Trading Obligation, STO)の適用を受け、欧州の取引環境が変化し始めているとのことだ。2020年においては、欧州経済地域(EEA)を拠点とする企業が発行する株式の43%が、英国の取引施設を通じて取引されていたという。しかしながら、英国がEUを離脱した2021年1月には、EUのリット(Lit)市場での取引及びオークション方式を採用する取引所取引が、それぞれ96%、93%増加しており、多くの取引所取引がEUの取引施設にシフトしていることがうかがえる。

尚、TRVレポートにはマネー・マーケット・ファンドや気候変動関連の投資リスク評価、投資ファンドの流動性枯渇への対応評価、スプテック(SupTech)の活用、ESG(環境・社会・ガバナンス)評価など、サステナブルファイナンスや市場の脆弱性に対するリスク評価に関する項目も含まれている。

ESMAの規制対象外にある仮想通貨への投資が危惧される中、同局が金融市場の安定化と投資家保護の徹底に向けて如何なる対応を見せるか、その動向を見守りたい。

release date 2021.03.22

ニュースコメント

comment

ブレグジットを機にシェア拡大を図る大陸欧州の金融サービスプロバイダー


英国のEU離脱は、同国の金融市場に対して確実に影響を及ぼし始めている模様だ。ESMAが指摘したように、英国・ロンドンから大陸欧州各国の取引施設へ株式注文がシフトしている。中でも、グローバル投資家に対してフレンドリーな規制を敷くオランダ・アムステルダムが躍進を遂げており、2021年1月の株式取引シェアにおいては、英国を抜き欧州トップに立った。同国ではCBOEがEuroCCPを買収し、欧州株式事業の強化を図っている。また、三菱UFJ証券がアムステルダムに現地法人を開設し、ブレグジット後も継続的な証券サービスの提供を試みている状況だ。更に、ボルシアMGと提携したDEGIROもアムステルダムを拠点としており、圧倒的な価格競争力を武器に多くのトレーダー獲得に成功しているという。規制環境が変化する欧州市場において、アムステルダムに加え、欧州の金融ハブを目指すドイツ・フランクフルトやフランス・パリを拠点とする金融サービスプロバイダーが、更なる顧客基盤の拡大に向けて如何なるソリューションを講じるか今後も注目したい。


Date

作成日

2021.03.22

Update

最終更新

2022.04.20

プラナカンカン | Peranakankan

執筆家&投資家&翻訳家&資産運用アドバイザー

arrow
プラナカンカン

国内及び外資系金融機関に15年弱勤務し、現在は独立。
執筆と翻訳は、海外FXを始めとする金融分野を専門とする。
慶應義塾大学卒。

この記事は、お役に立ちましたか?

ご覧いただきありがとうございます。Myforexでは、記事に関するご意見・ご感想をお待ちしています。
また、海外FX・仮想通貨の経験が豊富なライター様も随時募集しております。

お問い合わせ先 [email protected]

貴重な意見をいただきありがとうございます。
貴重な意見をいただきありがとうございます。

関連記事

アクセスランキング

Vantage Tradingで出金遅延、担当者が語る原因と対応

Vantage Tradingで銀行出金に関する遅延が確認されています。出金申請後に着金まで時間を要するケースが報告されており、SNS上でも混乱が発生している状況です。原因としては入金額の急増や決済システム側の処理制限が影響しているものと見られます。
update2025.10.24 19:00

XMTradingの入出金で銀行口座凍結?海外FX禁止の銀行に注意

SNS上では「XMTradingの出金で銀行口座が凍結された」とする投稿が一部で見受けられます。銀行によっては海外FXとの取引を禁止しているため注意が必要です。本記事では凍結リスクが高い銀行や仮想通貨送金の注意点を説明します。
update2025.09.03 19:00

bitcastleは詐欺業者?口座開設ボーナスで出金拒否多数

SNS上ではbitcastleから「出金できない」「口座を凍結された」といった報告が相次いでいます。本記事では、bitcastleで報告されている出金トラブルを紹介するほか、bitcastleは詐欺業者なのかどうか説明します。
update2025.10.21 19:30

XMはゴールド(XAUUSD)のスプレッドも広い?ボーナス取引で実質お得

XMTradingのゴールド(XAUUSD)はスプレッドこそ狭くないものの、スワップフリー口座や豪華ボーナス、約定スピードの速さで十分に利用の検討余地があると言えます。当記事ではXMTradingでゴールド取引が向いている・向いていないトレーダーを他社と比較しながら解説していきます。
update2025.10.22 19:00

Peska(ペスカ)は本当に安全?評判は悪くないが入出金リスクに注意

PeskaはFX業者とのコラボキャンペーンなどをきっかけに、急速にユーザーを増やしているオンラインウォレットです。しかし、新興サービスのため利用すべきか迷うという人も少なくありません。この記事ではPeskaの安全性や評判、オンラインウォレット業界が抱えるリスクなどを説明します。
update2025.09.29 19:30

PayPayを使って海外FXとの入出金が可能に?Binance JapanとPayPayが提携を発表

Binance JapanとPayPayが業務提携を発表し、PayPayマネーを使った仮想通貨購入サービスの提供などが検討されています。本記事では、Binance JapanとPayPayの提携内容や、PayPayを使った海外FXとの入出金フローなどを解説します。
update2025.10.17 19:00

海外FXへの仮想通貨送金にはBybitがおすすめ!FXトレーダーに最適なBybitの使い方

海外FXの入出金によく使われる国内銀行送金が以前より使いにくくなっていることを受け、仮想通貨での入出金が注目を集めています。本記事では、仮想通貨送金をするならBybitがおすすめの理由や、海外FXユーザーに最適なBybitの使い方を紹介します。
update2025.08.29 20:00

SwiftTraderが資金難?SNSで出金トラブル報告が増加

2025年以降、SwiftTraderで出金拒否・遅延の報告がSNSで相次いでいます。本記事では報告されている出金トラブルのほか、GEMFOREXとの類似点やSwiftTraderをおすすめしない理由を説明します。
update2025.10.16 19:30

Exnessでシステムエラーによる入出金の不具合が発生?SNSでも報告が相次ぐ

2025年10月、海外FX業者Exnessで入出金エラーが発生し、SNSでも不具合報告が相次ぎました。銀行振込やbitwalletで送金できない事例が確認されており、復旧後も不安の声が続いています。
update2025.10.16 19:00

【本音で比較】海外FXのドル円スプレッドを3ヶ月徹底調査|数千円も業者によってお得に

Myforex編集部では、2024年11月20日〜2025年2月20日の3ヶ月間にわたり、海外FXのドル円スプレッドを1分ごとに独自調査。その結果、業者によって数千円以上のコスト差があることが分かりました。
update2025.08.01 19:00

免責事項:Disclaimerarw

当サイトの、各コンテンツに掲載の内容は、情報の提供のみを目的としており、投資に関する何らかの勧誘を意図するものではありません。
これらの情報は、当社が独自に収集し、可能な限り正確な情報を元に配信しておりますが、その内容および情報の正確性、完全性または適時性について、当社は保証を行うものでも責任を持つものでもありません。投資にあたっての最終判断は、お客様ご自身でなさるようお願いいたします。

本コンテンツは、当社が独自に制作し当サイトに掲載しているものであり、掲載内容の一部または、全部の無断転用は禁止しております。掲載記事を二次利用する場合は、必ず当社までご連絡ください。

  • Facebook
  • Twitter
  • LINE

Myforexでは、このウェブサイトの機能向上とお客様の利便性を高めるためにクッキー使用しています。本ウェブサイトでは、当社だけではなく、お客様のご利用状況を追跡する事を目的とした第三者(広告主・ログ解析業者等)によるクッキーも含まれる可能性があります。 クッキーポリシー

クッキー利用に同意する
share
シェアする
Line

Line

Facebook

Facebook

X

Twitter

キャンセル