作成日
:2021.03.17
2022.04.20 12:27
米国のバイデン政権が新型コロナウイルス(COVID-19)経済対策として実施する3,800億ドル(約41兆円)の現金給付の内、10%ほどの資金がビットコイン(Bitcoin)と株式市場に流入する可能性があると、米国みずほ証券の調査結果を基に複数の海外メディアが報じた。
米国みずほ証券の調査は、世帯収入が15万ドル(約1,630万円)以下の235人を対象に実施されたという。その内の約200人が、3月11日にバイデン大統領が署名して成立した新型コロナウイルス経済対策法案に基づき、1人当たり最大1,400ドル(約15万円)の現金給付を今後数日のうちに受け取る見込みであると回答している。同調査によると、給付金を受け取る人の内35~40%はビットコインや株式に投資したいと回答しており、3,800億ドルに上る現金給付の約10%に当たる400億ドル(約4.3兆円)が、これら金融商品の購入に充てられる可能性があるという。
更に、調査回答者の内61%は株式よりもビットコインを選好しているようだ。このデータを基にすると、250億ドル(約2.7兆円)ほどが同仮想通貨に投資される見込みだ。また、給付金をビットコインや株式に振り向ける割合に関しては、1~20%とする回答者が最も多く、全体の21%を占めたという。
米国みずほ証券のマネージングディレクターを務めるDan Dolev氏は、今回の給付金を活用した投資により、現在1.1兆ドル(約120兆円)規模に及ぶビットコイン市場が2~3%上昇する可能性があると指摘している。また、同氏はVISA(ビザ)やmastercard(マスターカード)、Paypal(ペイパル)、Square(スクエア)といった仮想通貨に関連した銘柄も、個人投資家による買いの恩恵を受けるという。
給付金を活用した投資拡大が見込まれる中、既に一部の米国人が現金給付の振り込みを受けている模様であり、引き続き同国の個人投資家動向に注目したい。
release date 2021.03.17
出典元:
ニュースコメント
仮想通貨利活用の裾野が拡大
給付金を活用した投資の調査に関しては、2021年2月、ドイツ銀行(Deutsche Bank)も米国人430人を対象に実施しており、回答者の内37%が給付金を株式投資に充てる計画であると回答したという。また、35歳未満の回答者の内61%が過去1年以内に投資を始めていたことに鑑みると、給付金が投資を試みるきっかけになっていると推察できる。一方で、ビットコインを始めとする仮想通貨を巡っては、機関投資家による市場参入も活発化している。例えば、Tesla(テスラ)によるビットコイン投資が大きな話題となった他、世界最大の資産運用会社であるBlackRockがビットコイン先物に投資する可能性を示唆している。加えて、既存金融機関による仮想通貨関連サービスも増加傾向にある。例えば、パーパスが世界初のビットコインETFの上場に漕ぎ着けた他、直近では、ゴールドマンサックスが仮想通貨デスクを再開する可能性があると報じられている。給付金を活用したビットコイン投資の拡大が見込まれる米国市場において、ビットコインETFなどの新たなソリューションの提供を通じて市場が更に活性化することに期待したい。
作成日
:2021.03.17
最終更新
:2022.04.20
国内及び外資系金融機関に15年弱勤務し、現在は独立。
執筆と翻訳は、海外FXを始めとする金融分野を専門とする。
慶應義塾大学卒。
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