作成日
:2021.03.15
2022.04.20 12:27
ロシア連邦中央銀行(Central Bank of Russia)の副総裁を務めるAlexey Zabotkin氏が、2021年末もしくは2022年までに、中央銀行発行の独自デジタル通貨(Central Bank Digital Currency)【以下、CBDCと称す】、デジタルルーブルのプロトタイプの開発を終え、試験運用を開始する計画であることを明らかにした。
2020年10月、ロシア中銀はCBDC発行計画を公表し、デジタルルーブルが現金や電子決済を代替するのではなく、第3のお金となるとの認識を示している。尚、ロシア中銀が開発を進めるプロトタイプは、公共の場でデジタルルーブルの有用性を検証できるものの、リアルタイムの取引には対応していない模様だ。
デジタルルーブルの発行を巡っては、国内金融機関及びフィンテック企業が、中央集権型のCBDCモデルの課題や、詐欺師の利用に対する懸念を指摘していた。一方、デジタルルーブルに関連した諮問書において、83%の回答者がロシア中銀主導のCBDC発行を支持しているという。また、同行の第一副総裁を務めるOlga Skorobogatova氏も、デジタルルーブルの開発を推進すると言及している。
中国を筆頭に世界各国がCBDCの開発を進める中、今後もロシア中銀によるデジタルルーブルの開発動向を見守りたい。
release date 2021.03.15
出典元:
ニュースコメント
市場への支配力を強めるロシア中銀
ロシア中銀が再び市場への支配力を強めている。2018年12月、複数ブローカーに対してロシア中銀はライセンス剥奪を決定し、独裁主義的手法を用いて同国のFX市場へ介入している。今回、仮想通貨分野においても、同行はデジタルルーブルが国内で決済に利用できる唯一の仮想通貨になるとの認識を示し、FX市場の規制強化に向けて動き始めている。例えば、ロシア中銀副総裁を務めるSergey Shvetsov氏が、民間企業発行のステーブルコインを禁止する方針を明らかにした。また同行は、一般投資家による仮想通貨の購入を制限する法案についても導入を検討している状況だ。当局による締め付けが厳しくなる一方で、ロシア最大の商業銀行であるSberbankがブロックチェーンプラットフォーム立ち上げの承認をロシア中銀に求めており、民間金融機関による独自ステーブルコインの発行を目指す動きも出てきている。中央集権型のCBDCモデルの構築を望むロシア中銀が、仮想通貨市場の統制に向けて如何なるソリューションを講じるか今後も注目したい。
作成日
:2021.03.15
最終更新
:2022.04.20
国内及び外資系金融機関に15年弱勤務し、現在は独立。
執筆と翻訳は、海外FXを始めとする金融分野を専門とする。
慶應義塾大学卒。
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