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オーストラリア準備銀行、CBDC開発で複数の企業と協業

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update 2021.08.31 15:31
オーストラリア準備銀行、CBDC開発で複数の企業と協業

update 2021.08.31 15:31

DeFi関連サービスの概念実証も実施する計画

オーストラリア準備銀行(Reserve Bank of Australia)【以下、RBAと称す】は、中央銀行発行の独自デジタル通貨(Central Bank Digital Currency)【以下、CBDCと称す】を開発するために、民間の商業銀行やテクノロジー企業と協業することを発表した。[1]

発表によると、RBAは商業銀行のCommonwealth BankおよびNational Australia Bank、金融サービス企業のPerpetual、コンプライアンスソリューション企業のConsenSysなどとパートナーシップを締結したという。今回、RBAはCBDC開発に加え、イーサリアム(Ethereum)ベースのブロックチェーンプラットフォームを活用した資金調達および決済、シンジケートローン返済を含むDeFi(分散型金融)関連サービスの概念実証(Proof of Concept, PoC)も実施する計画のようだ。この概念実証はブロックチェーンプラットフォームにおけるアトミックDVP決済(証券と資金の取引を分割せずに執行する手段)の影響や、CBDCとトークン化された金融資産の取引自動化を模索することを目的としている。

中国政府がデジタル人民元の発行を推進していることを受け、世界各国で中央銀行によるCBDC開発が加速している状況だ。欧州ではECB総裁がデジタルユーロに関するパブリックコメントを募集すると同時に、同行が2021年半ばまでにCBDC発行を検証するプロジェクトを立ち上げる可能性があると発表している。また、米国でもデジタルドル発行の可能性が議論されており、具体的なプロジェクトの立案が待ち望まれているようだ。一方、バハマ中央銀行がCBDCを導入するなど、既にその実利用を開始する国家も現れ始めている。

RBAはこのプロジェクトを今年末に完了し、2021年前半までに調査結果を公開すると伝えているが、これがどのような成果につながるのか、今後も同国での動きに注目していきたい。

release date 2020.11.04

出典元:

ニュースコメント

CBDC発行に慎重な姿勢を示すRBA

これまでRBAは既存の金融システムへの影響を懸念し、CBDC発行に対して慎重な姿勢を示してきた。今年9月に発行されたレポートの中でRBAは、CBDCの普及が商業銀行の資金調達コストを増加させる可能性があると指摘しており、代案として法定通貨ベースの決済プラットフォーム構築を提案している。実際にオーストラリア国内の商業銀行は資金の約60%を預金から確保しているため、CBDCへの依存が高まることで預金口座が利用されなくなれば、割高なコストを払って別の手段で資金調達を行う必要が出てくるという。このような問題はCBDC発行を検討する上で避けて通れないが、カンボジアでブロックチェーン決済プラットフォームをローンチしたNBCなど、現実に即した形で新しいテクノロジーの統合に成功した例も存在するようだ。オーストラリアでは仮想通貨市場が盛り上がりを見せているが、最終的にRBAはどのような判断を下すのか、今後も同行の取り組みを見守っていきたい。


Date

作成日

2020.11.04

Update

最終更新

2021.08.31

Zero(ゼロ)

米大学で出会った金融学に夢中になり、最終的にMBAを取得。
大手総合電機メーカーで金融ソリューションの海外展開を担当し、業界に深く携わる。
金融ライターとして独立後は、暗号資産およびブロックチェーン、フィンテック、株式市場などに関する記事を中心に毎年500本以上執筆。
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