作成日
:2020.08.31
2021.08.31 15:32
最近、機関投資家の仮想通貨デリバティブに対する需要が高まっており、インターコンチネンタル取引所(Intercontinental Exchange, ICE)が手がけるBakktにおけるビットコイン(Bitcoin)先物の取引量が増加していることが明らかになった。
Bakktの代表であるAdam White氏によると、リスクヘッジや投機などの目的で同取引所における現物決済のビットコイン先物の取引が活性化し、その取引量が先月28日の1億3,200万ドルを超えて1億3,400万ドルに到達しているという。これはビットコイン価格が1万1,000ドルを突破した仮想通貨市場の好調が要因となっており、今月24日にはCMEにおけるビットコイン先物の取引量も15億ドルを記録している。
White氏はオフショア地域の仮想通貨デリバティブ取引所と比較し、米当局の認可を受けたBakktなどの取引所が恩恵を受ける結果になったと言及した。実際に一部の機関投資家は、BakktやCMEなどの完全に規制された環境でのみ取引を許可されており、コインベースを始めとする仮想通貨取引所は選択肢から除外されている可能性があるという。特にBakktは現物決済のビットコイン先物を提供する唯一の取引所なだけに、これらの機関投資家にとって重要な存在になっているようだ。
しかしながら、ある専門家は現物決済のビットコイン先物を提供することがBakktの成長を妨げる可能性があると指摘している。現物決済のビットコイン先物は、現金決済の契約と比較してより多くの証拠金を必要とすることから、満期日前にポジションが手仕舞われる傾向がある。ノルウェーの仮想通貨分析企業であるArcane Researchによると、Bakktで満期日を迎えたビットコイン先物は、6月の221BTCから7月に58BTCまで大幅に減少しているという。
Bakktはビットコインオプションも提供しているが、6月15日以降、その未決済建玉がゼロを記録している状況にあるようだ。これに関してWhite氏は同商品がローンチされて間もないことに触れ、仮想通貨デリバティブ市場が成熟するに伴ってビットコインオプションの需要も拡大していくとの見解を示した。米国では仮想通貨デリバティブ市場におけるCFTCの監督権限強化が審議されているが、政府当局はこの流れをサポートできるのか、今後も仮想通貨市場の動向を見守っていきたい。
release date 2020.08.31
昨年9月に立ち上げられたBakktは、仮想通貨デリバティブ市場に革新をもたらす存在として期待されていたが、ビットコインオプションの不調を含め、業績が予想を下回る苦しい状況に追い込まれている。この現状を打開するため、BakktはGalaxy Digital Tradingと仮想通貨取引サービスを開始したものの、新型コロナウイルス(COVID-19)による影響などで望ましい結果が出せていないようだ。その他にも、Bakktは大手コーヒーチェーンのスターバックス(Starbucks)での支払いで利用可能なBakkt Cashの導入に向け、ベータ版のテスト運用を行うなど、新しい試みにも着手しているという。ここ数週間、ビットコイン先物の取引量が増加している事実はBakktにとって強烈な追い風になると考えられるが、これが浮上へのきっかけとなるのか、今後も同社の取り組みに注目していきたい。
作成日
:2020.08.31
最終更新
:2021.08.31
米大学で出会った金融学に夢中になり、最終的にMBAを取得。
大手総合電機メーカーで金融ソリューションの海外展開を担当し、業界に深く携わる。
金融ライターとして独立後は、暗号資産およびブロックチェーン、フィンテック、株式市場などに関する記事を中心に毎年500本以上執筆。
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