作成日
:2020.08.21
2021.08.31 15:32
米国ハワイ州は規制のサンドボックス制度のパイロットプログラムを開始し、それに参加する12社は今後2年間、送金業社向けのライセンスを正式に取得しなくても同州内で事業を行うことが可能になると発表した。
このパイロットプログラムは、ハワイ州の金融当局であるDFI(Division of Financial Institutions)とHTDC(Hawaii Technology Development Corporation)のパートナーシップで形成されたDigital Currency Innovation Labが主導し、同州初となる仮想通貨関連企業を対象とした規制のサンドボックス制度の立ち上げになるという。今回参加企業として、ErisX、bitFlyer USA、BlockFi、CEX.io、Apex Crypto、Cloud Nalu、Coinme、Flexa、ジェミニ(Gemini)、Novi、River Financial、Robinhood Cryptoが名を連ねている。
これまでハワイ州は仮想通貨を禁止にさえしなかったものの、2017年にはDFIが「ダブルリザーブ要件(Double-Reserve Requirement)」と呼ばれるルールを課し、仮想通貨関連企業に対して顧客資産の仮想通貨と同額の法定通貨を準備金として保持するよう求めた。しかしながらコインベース(Coinbase)などの仮想通貨取引所は、これが事業の負担になると判断して同州から撤退している。この事態を受けて、ハワイ州は2020年1月に金融機関による仮想通貨の保有を合法化する法律を制定したことに加え、3月にDigital Currency Innovation Labを設立したという。Digital Currency Innovation Labは、仮想通貨の早期普及を通じて経済的機会を創出することを目的とし、仮想通貨関連企業の規制を緩和する可能性も視野に入れているようだ。
このパイロットプログラムに参加するbitFlyer USAは、将来的に正式なライセンスを取得することを目指すと述べている。最近、マネックスグループの米国子会社であるTradeStationが仮想通貨取引サービスを開始するなど、米国でも日系の仮想通貨関連企業が台頭してきているが、bitFlyer USAはこのパイロットプログラムを通じて競合他社に差をつけることができるのか、今後もこれら企業の取り組みに注目していきたい。
release date 2020.08.21
規制のサンドボックス制度は、未知のリスクを抱える仮想通貨やブロックチェーン関連のスタートアップ企業を対象に有効活用されており、革新的なサービスを生み出すきっかけになっている。実際にシンガポールでは、規制のサンドボックス制度を通じて、STO(セキュリティトークンオファリング)プラットフォームのiSTOXがMASの承認を受けて正式に事業を開始することに成功したという。また、韓国でも規制のサンドボックス制度が導入されており、Be My UnicornやDunamu、PSXなどのブロックチェーンベースの非上場株取引サービスが台頭してきている状況だ。このように各国政府は金融市場の安全性を担保しながら、新技術の利用を促進するために規制のサンドボックス制度を運用しているが、ハワイ州はこのパイロットプログラムを成功に導くことができるのか、今後も同州での展開を見守っていきたい。
作成日
:2020.08.21
最終更新
:2021.08.31
米大学で出会った金融学に夢中になり、最終的にMBAを取得。
大手総合電機メーカーで金融ソリューションの海外展開を担当し、業界に深く携わる。
金融ライターとして独立後は、暗号資産およびブロックチェーン、フィンテック、株式市場などに関する記事を中心に毎年500本以上執筆。
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