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ウラン、米国を中心に注目度が高まる

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update 2021.08.31 15:33
ウラン、米国を中心に注目度が高まる

update 2021.08.31 15:33

ビル・ゲイツ氏は気候変動対策として原子力の活用を推進

世界原子力協会(World Nuclear Association, WNA)【以下、WNAと称す】は2019年9月、ウラン需給のミスマッチが生じたことにより、2023年から需要が供給を上回ると予測したレポートを作成した。[1]また、マイクロソフト(Microsoft)の共同創業者であるビル・ゲイツ氏が、気候変動対策として原子力技術を用いることを推進しているほか、米国トランプ政権が原子力業界の再活性化を図る主導的役割を果たす方針を示していることなどを追い風に、原料となるウランへの注目が高まっている状況だ。

WNAのレポートにおいて、ウランの需要が供給を上回ると予想されたことは、脱炭素社会を目指すうえで重要な役割を担う可能性を持つ原子力業界にとってポジティブに捉えられている模様である。また、ゲイツ氏は次世代の原子炉開発を行うためのパイロットプロジェクトに対し、向こう10年以上にわたり数十億ドルの資金を投じることを求め、米国・ワシントンの連邦議員を説得して回ったという。同氏が2016年に設立したテクノロジー企業のTerraPower, LLC(本社:15800 Northup Way Bellevue, WA 98008[2])が開発を進める次世代型原子炉である進行波炉(Traveling Wave Reactor)【以下、TWRと称す】のプロジェクトに対し、連邦基金に加えてゲイツ氏が個人資産を10億ドル投じると共に、更に民間資金で10億ドルを調達する意向を示している。同氏は、原子力が脱炭素化に寄与し、TWRを用いた発電は24時間利用可能であることから、気候変動に取り組む上で理想的なエネルギー源であると主張している。また、原子炉の事故リスクは技術革新によって解決し得るとコメントしている。

米国のトランプ政権は、原子力業界の再活性化を図る主導的役割を果たす方針を示しており、2021会計年度予算においては、国内生産の八酸化三ウラン【以下、U3O8と称す】を年間1億5,000万ドル分を購入し、向こう10年分のU3O8の備蓄として15億ドルを投じる見通しだ。また、2019年に僅か174,000lbsであったU3O8の国内生産を、向こう10年間で17-19mlbsに引き上げる計画である。尚、米国エネルギー省(Department of Energy, DOE)は次世代型原子炉や小型モジュール炉の建設を行う企業をサポートすべく、2019会計年度において2億2,100万ドルの資金を投じることを承認していた。

トランプ政権による原子力発電の推進などをきっかけとして、原料となるウラン生産への注目が高まる中、米国・ユタ州を拠点とするGTi Resourcesは、同州のヘンリー山脈にある、ウランとバナジウムの生産をを過去に行っていた土地を取得したという。同地はウランとバナジウムを採掘してきた長い歴史があり、U3O8は92mlbs、五酸化バナジウム【以下、V2O5と称す】は482mlbsを生産していたとのことである。また、同社が行った蛍光X線分析装置(XRF)を用いた調査によって、モリソン層砂岩内に良質のウラン鉱及びバナジウム鉱の存在が確認された模様だ。GTi Resourcesが取得した土地は、Energy Fuel Inc,が所有するTony M鉱山に隣接しているという。尚、Tony MはNI 43-101準拠において濃度2,183ppmのU3O8の存在が確認されている。

環境問題に取り組む世界の規制当局や民間企業の動向に目を転じると、ESMAがESGディスクロージャー要件に関連のノーアクションレターを発行した。また、リフィニティブが気候変動対策への取り組みを強化するなど、官民の双方がサステナブル社会の実現に向けた取り組みを強化している状況だ。米国では、トランプ政権が原子力発電を始めとするクリーンエネルギー政策を推進させると共に、ゲイツ氏が原子力技術の活用を求める中、原料となるウランへの注目が高まっており、今後も原子力発電及びウランの生産動向に注目したい。

release date 2020.05.04

出典元:

ニュースコメント

新型コロナ禍によりコモディティ取引が活況

新型コロナウイルス(COVID-19)のパンデミックを受け、株式市場が混乱をきたす一方で、金や原油などのコモディティ取引が活況を呈している。グルーバル景気の先行き不透明感が漂う中、新型コロナウイルス危機を受け、安全資産とされる金は上昇余地があると見られ、ゴールドマンサックス証券は1トロイオンス=1,800ドルまで上昇すると予想している。また、原油先物価格が史上初めてマイナス圏に沈み、市場のボラティリティが大きく高まる中、取引手数料無料モバイルアプリを提供するロビンフッド(Robinhood)では、米最大の原油ETFに個人投資家が殺到している模様だ。他方で、コモディティ取引への注目が高まる市場環境下で、顧客ニーズに即した商品ラインナップの拡充を図る金融サービスプロバイダーが散見されている。例えば、CMEが金先物商品をリリースしたほか、RoboMarketsが貴金属及び原油CFDをリリースした。今後も、新型コロナウイルスや主要産油国による追加減産動向などを踏まえつつ、ボラティリティの高まるコモディティ取引の拡大が期待できそうだ。


Date

作成日

2020.05.04

Update

最終更新

2021.08.31

プラナカンカン | Peranakankan

執筆家&投資家&翻訳家&資産運用アドバイザー

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プラナカンカン

国内及び外資系金融機関に15年弱勤務し、現在は独立。
執筆と翻訳は、海外FXを始めとする金融分野を専門とする。
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