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中国農業銀行、CBDCを利用するためのアプリを試験的に開発か

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update 2021.08.31 15:33
中国農業銀行、CBDCを利用するためのアプリを試験的に開発か

update 2021.08.31 15:33

WeChat上にアプリインターフェースの画像が流出

中国4大国営銀行のひとつである中国農業銀行(Agricultural Bank of China)【以下、ABCと称す】が、中央銀行発行の独自デジタル通貨(Central Bank Digital Currency)【以下、CBDCと称す】を利用するためのアプリを試験的に開発している可能性が示唆されている。[1]

今月14日、大手メッセージングアプリのWeChat上では、ABCが開発するアプリのインターフェースを写したスクリーンショット画像が出回っていたが、これが中国人民銀行(People's Bank of China)【以下、PBoCと称す】が手がけるCBDCのDCEP(Digital Currency/Electronic Payment)に対応するものであることが明らかになっている。報道によると、このABCの動きはPBoCによるDCEP開発が加速していることを示唆しており、中国内でのCBDC導入がいよいよ現実味を帯びてきている様子がうかがえる。

このテストアプリはABCのWebサイトを経由してiOSおよびAndroidデバイスにダウンロードすることができる。本来、このアプリはDCEPによるQRコード決済や送受金を実現するためのウォレット機能を有しているが、現在はユーザー登録のみを行うことが可能となっているようだ。また、テストモードでの運用期間のため、ホワイトリストに名を連ねる者以外は登録プロセスを完了できない。昨年末からPBoCはDCEPの運用テストを深センと蘇州の2都市で実施していることから、これら関係者は既にこのアプリの利用を開始している可能性がある。

これまで中国ではPBoCがABCを含む4大国営銀行および大手テクノロジー企業のAnt FinancialやTencentの協力を受けてDCEPの開発を進めていることが報じられている。また、今年初めに中国政府が暗号法を施行し、PBoCの取り組みを後押ししているようだが、これがどのような効果を発揮するのか、今後も中国内での動向に注目していきたい。

release date 2020.04.16

出典元:

ニュースコメント

現金決済中心の金融インフラに課題を抱える日本

中国政府は2014年に仮想通貨の調査を開始して以来、世界の仮想通貨市場をリードすべく、巨額の資金を投じて急ピッチでその研究開発活動を推進している。これを受けて世界各国も政府機関を中心に同様の動きを見せているが、日本では日本銀行副総裁がCBDC発行は不要だと主張するなど、十分な金融インフラを有する先進国が現金や電子マネーに代わる仮想通貨システムを構築することに否定的な見解を示しているようだ。しかしながら日本は先進国の中でも現金依存度が高く、中小企業による現金管理費用だけでも年間8,000億円を超える直接的なコストが生じており、現金決済を中心とした金融インフラの運用効率が課題として浮き彫りになっている。CBDCに関しても依然としてセキュリティやインフラ整備の観点から技術的な懸念が存在することは事実だが、世界的な仮想通貨普及の流れは止められないだけに、日本政府も様々な角度からの検証を進めるべきだと言えるだろう。


Date

作成日

2020.04.16

Update

最終更新

2021.08.31

Zero(ゼロ)

米大学で出会った金融学に夢中になり、最終的にMBAを取得。
大手総合電機メーカーで金融ソリューションの海外展開を担当し、業界に深く携わる。
金融ライターとして独立後は、暗号資産およびブロックチェーン、フィンテック、株式市場などに関する記事を中心に毎年500本以上執筆。
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