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Googleの量子コンピュータが仮想通貨に与える影響

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update 2021.08.31 15:29
Googleの量子コンピュータが仮想通貨に与える影響

update 2021.08.31 15:29

マイニングアルゴリズムが機能しなくなる可能性

Google LLC(本社:1600 Amphitheatre Parkway Mountain View, CA 94043 USA[1])【以下、Googleと称す】は、Sycamoreと呼ばれる量子プロセッサのテストを実施し、スーパーコンピュータを凌駕する量子的超越性を実証したが、それが仮想通貨を危機的な状況に追い込む可能性があることが明らかになった。[2]

Googleの発表によると、Sycamoreは世界最速のスーパーコンピュータが1万年かかるとされている計算を200秒で処理することが可能であり、統計的に最も正しい答えを瞬時に導き出せるという。これが仮想通貨マイニングに利用された場合、SHA-256を含むPoW(プルーフ・オブ・ワーク)型のマイニングアルゴリズムを採用するビットコイン(Bitcoin)などの仮想通貨が正常に機能しなくなる可能性があるという。この問題に関してQtumのCEOであるPatrick Dai氏は、量子コンピュータの量子的超越性は互換性のないハードウェアに縛られているため、SHA-256のアルゴリズムが機能しなくなったとしても、システムをアップデートすれば仮想通貨は進歩し続けると言及している。このような変化は1日で起こるわけではないが、難易度の低いアルゴリズムのブロックチェーンがはじめに影響を受ける可能性があり、実際には警告とも取れる現象が発生すると考えられる。

一方、ある研究者は量子コンピュータが最終的に、仮想通貨やブロックチェーンの基礎となるハッシュアルゴリズムや暗号鍵を無効化する方向に進むと予想している。現在の暗号化アルゴリズムは偽装署名に対する脆弱性が証明されていることから、それに伴い全ての仮想通貨が新しい署名システムへと強制的に移行する必要があるという。しかしながら、中にはGoogleの量子コンピュータが仮想通貨に影響を及ぼすとの議論に懐疑的な者も存在し、PraxxisのDavid Chaum氏はPoW型のブロックチェーンシステム自体には量子コンピュータによる攻撃への耐性が備わっていると主張した。Chaum氏によると、危険なのはPoWまたはPoS(プルーフ・オブ・ステーク)を採用した仮想通貨ウォレットであり、量子コンピュータはShor(ショア)のアルゴリズムファクターと呼ばれる理論を用いてこれらのシステムを突破することができると説明している。

また、Chaum氏は将来的に既存の仮想通貨システムを打ち負かす量子コンピュータの生産が進むと予想しているが、仮想通貨コミュニティがその日までに対策を考えることが重要だと述べている。これに対してFreedom StackのAdrian Scott氏は、仮想通貨のアドレスを1回のみの使用に限定すれば、公開鍵を狙ったハッキングは無効になるため、最善の防護策になるとの具体例を示した。今までもASICによるマイニングリソースの寡占化が仮想通貨の課題となっていたが、今年5月にイーサリアムがハードフォークに向けEIPを提案した際には、同仮想通貨の仕組みを守る施策が盛り込まれた経緯があることから、このような機能実装を促すのも不可能ではないと言えよう。

結局のところ、量子コンピュータの登場は2000年問題のようなものであり、仮想通貨にどのような変化が起こるかは、誰も言い当てることはできないだろう。仮想通貨業界はGoogleの発表にどう反応するのか、今後もその動向に注目していきたい。

release date 2019.10.25

出典元:

ニュースコメント

Googleの発表を受けてビットコイン価格が下落

今年9月には既にGoogleがNASA(米航空宇宙局)との共同研究で量子コンピュータの開発を進めていると伝えられていたものの、今回、同社の正式発表があったことで投資家は市場環境の変化に警戒感を露わにしている。先日、ビットコインが4カ月ぶりの安値を更新したばかりだが、Googleの発表を受けて同仮想通貨はその価格帯を下向きにブレイクアウトし、下降トレンドを形成しはじめているようだ。これまでも米CFTC元会長がビットコインバブルの終焉を示唆するなど、中長期トレンドを弱気に誘導する悪い材料が出ていただけにGoogleの発表で仮想通貨市場のセンチメントがどう動くのかに注目が集まっていると言えるだろう。まだGoogleが発表した内容の信憑性が検証されたわけではないため、現時点では致命的なイベントだとは認識されていないが、今後も仮想通貨市場の展開を見守っていきたい。


Date

作成日

2019.10.25

Update

最終更新

2021.08.31

Zero(ゼロ)

米大学で出会った金融学に夢中になり、最終的にMBAを取得。
大手総合電機メーカーで金融ソリューションの海外展開を担当し、業界に深く携わる。
金融ライターとして独立後は、暗号資産およびブロックチェーン、フィンテック、株式市場などに関する記事を中心に毎年500本以上執筆。
投資のヒントになり得る国内外の最新動向をお届けします。

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