モスクワ証券取引所、FX取引手数料無料サービスを開始

2021.08.31 15:30

2021.08.31 15:30

大口投資家が新サービスを利用できる模様

ロシア最大の証券取引所であるモスクワ証券取引所（本社：125009 Moscow, Bolshoy Kislovsky per, 13[1]）【以下、MOEXと称す】が、9月2日よりFX取引の大口投資家を対象として、取引手数料を無料とする新手数料体系を導入する見通しであることが明らかになった。

MOEXでは、モスクワ証券取引所為替市場委員会（Moscow Exchange FX Market Committee）の勧告のもと、米ドル/ロシアルーブルの同日決済取引と米ドル/ルーブル建ての国庫短期証券（TDB）取引において、スピードバンプシステムを採用したメイカー・テイカー・プライシングモデルに移行する方針だ。新手数料体系においては、指値に応じる注文の出し手となるテイカーに対しては取引手数料を課さない一方で、新たな流動性を供給する指値提示者であるメイカーに対しては、最小取引単位である100万ドルあたり16ドルが片道手数料として課されるという。また、スピードバンプシステムに関しては、高性能なコンピューターを利用した高頻度取引（HFT）によって、取引所で成立する約定価格の価格差を狙ったアービトラージ取引を防止する目的がある模様だ。

なお、2019年4月にMOEXはオーダーブックの開示を開始し、FX取引の流動性向上とマッチングシステムの先進化を図ると共に、MOEXはAvelacomと提携し、低レイテンシーのコネクティビティサービスを提供するなど顧客サービスの強化を実践している。そして今回、MOEXはFX取引の新手数料体系を導入し、顧客にとって快適な取引環境を整備することで、更なる取引の活性化が期待できそうだ。

release date 2019.08.29

出典元：

Moscow Exchange

https://www.moex.com/s373

ニュースコメント

新たな付加価値機能を提供し取引増加を模索する各国の証券取引所

MOEXはFX取引の新手数料体系の導入に伴い、同日決済取引とスピードバンプを採用したサービス機能の強化を図っている。特にスピードバンプに関しては、市場への影響度を強めているHFTに対する他の投資家の不公平感を解消し、より幅広い市場参加者による取引の活性化に繋げる意向を持っているとみられる。世界の金融の中心である米国では、私設取引所のInvestors Exchange（IEX）がスピードバンプを採用し話題を集めているようだ。さらに、現在は各国の証券取引所が競ってサービス機能を充実化させ、証券取引ビジネスの拡大を模索している状況だ。SGXが新マルチ・マッチングエンジンをリリースし、各種オペレーションの標準化と商品サービスの拡充を図っていることに加え、英中当局が上海・ロンドンストックコネクト開始を承認したことにより、両国間のクロスボーダー投資及び証券市場へのアクセス向上を実現させている。更に、スイス証券取引所がリップルに連動したETPの上場を許可し、新たな金融ソリューションを提供する動きも見られ始めており、各国証券取引所が付加価値の高いサービスを提供することで、市場参加者の取引増加に繋がることを期待したい。