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米国に集中する仮想通貨トレーダー

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update 2021.08.31 15:26
米国に集中する仮想通貨トレーダー

update 2021.08.31 15:26

日本の約3倍のトレーダーが米国に在住

エストニアの仮想通貨調査会社であるDataLightの報告によると、世界の仮想通貨トレーダーのほとんどが、米国を拠点に活動を行っていることが明らかになった。[1]

DataLightが、最も人気のあるトップ100の仮想通貨取引所から得た情報を基に分析を行った結果、米国からの月間訪問者数が、2,200万人を記録しており、続く日本の614万人、韓国の573万人を大きく突き放すこととなった。また、DataLightによると、これらの仮想通貨先進国に続き、389万人のトレーダーを抱える英国、法定通貨の不安定さに悩まされるメキシコ、ウクライナ、トルコからのアクセスが多かったという。2018年にトルコリラの価値が10%下落した際、同国の取引所で、ビットコイン価格が高騰した件は、この統計を象徴する出来事だと言えるだろう。

加えて、DataLightの報告によると、どの国でも少なからず仮想通貨取引が行われているものの、グリーンランド、中央アフリカ共和国の一部、アジアのいくつかの国からは、取引所へのアクセスが観測されなかったことがわかっている。このことは、取引サービスの普及が遅れていることが要因として考えられるが、グローバル市場への進出に熱心な仮想通貨取引所のバイナンスは、この状況をチャンスだと捉えており、2018年10月にバイナンスがウガンダで仮想通貨取引所の立ち上げを発表すると同時に、中央アフリカおよび沿岸部に進出する可能性があることに言及した。

仮想通貨取引が人気を集める一方で、米国や世界各国での仮想通貨に関する規制は、未だに不明確な状況だ。しかしながら、中央政府が対応を強化していることもあり、先日、米国では、FinCEN(金融犯罪捜査網)が、当局の許可なくビットコイン(Bitcoin)のP2P(ピア・ツー・ピア)取引を行ったとして、仮想通貨トレーダーに3万5,000ドルの罰金を科している。また、オーストラリアでは、16万ドル相当のビットコインを利用してマネーロンダリングを試みた仮想通貨トレーダーが、41か月の懲役を言い渡されるなど、業界を取り巻く環境は改善の兆しを見せていることも事実だと言えよう。

release date 2019.05.06

出典元:

ニュースコメント

仮想通貨の取引環境で優位な米国

従来の証券トレーダーや為替トレーダーは、本国での高いキャピタル・ゲイン課税を避けるために、シンガポールや香港といった国の居住者となることがトレンドとなっている。また、税制だけではなく、トレーダーは、優位な取引環境を求めており、欧州では、過去に欧州証券市場監督局(The European Securities and Markets Authority)が、レバレッジ規制に動いたことから、多くのトレーダーが、規制の効力が及ばないスイスに取引口座を開設した例もある。このような経緯を見ると、米国を拠点に活動することは、税制面で一見不利に思えるが、コインベースやKrakenをはじめとした信頼性の高い大手取引所が存在し、関連サービスも充実しており、仮想通貨トレーダーが留まる理由も理解できよう。他国でも、取引環境の整備が進んでいるため、従来のトレーダーが選んだように租税回避を模索する道をたどる可能性もあるが、今後、どのような動きがあるのか、仮想通貨トレーダーの動向には注目していきたい。


Date

作成日

2019.05.06

Update

最終更新

2021.08.31

Zero(ゼロ)

米大学で出会った金融学に夢中になり、最終的にMBAを取得。
大手総合電機メーカーで金融ソリューションの海外展開を担当し、業界に深く携わる。
金融ライターとして独立後は、暗号資産およびブロックチェーン、フィンテック、株式市場などに関する記事を中心に毎年500本以上執筆。
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