作成日
:2019.04.29
2021.08.31 15:26
匿名通貨として知られるゼットコイン(Zcoin)の開発チームは、同仮想通貨が採用するゼロコインプロトコル(Zerocoin Protocol)の暗号化アルゴリズムに脆弱性を発見したことを伝えた。
報告によると、今回発見された脆弱性が悪用されると、ゼロコインプロトコルにおけるゼロ知識証明のプロセスを偽装することが可能になり、自在に仮想通貨を発行できるようになるという。その危険性は、ゼロコインプロトコルを採用するVeilなど他の仮想通貨にも及ぶため、今月19日、ゼットコインチームは、一連の不規則な取引パターンを検出してから、仮想通貨取引所やマイニングプール、関連プロジェクトなどに警告を促すこととなった。調査を進める間、ゼットコインチームは、ゼロコインプロトコルを無効化するよう推奨していたが、今月24日には、緊急のアップデートをリリースすることで解決を図っている。
調査の結果、この脆弱性はコーディングエラーが原因ではなく、ゼロコインプロトコルの立ち上げ以来、核となるゼロ知識証明の技術が欠陥を抱えている事が明らかになった。ゼロコインプロトコルのゼロ知識証明では、ユーザーが、使用した仮想通貨を破棄(ミンティング)し、引き換えに取引履歴のない新しい通貨を獲得(スペンディング)することから、匿名性が維持される仕組みになっている。一度、ミンティングされた通貨には、スペンディングの段階でシリアルナンバーが付与され、同一のゼロ知識証明による仮想通貨の再発行を防いでいるが、今回、単一のミンティングに対して複数のスペンディングが可能だということが発覚した。
ゼットコインチームの発表によると、この方法を利用して不正に発行された仮想通貨は、現在、市場に流通するゼットコインの1%に相当するという。今のところ、ゼットコインチームは、修正作業に人員を割り当てておらず、代わりに別のプロトコルであるSigmaへ移行する方針を示しており、2ヶ月以内のメインネットへの実装計画を立てているとのことだ。ロードマップ上では、後工程として、次世代のプライバシープロトコルとなるLelantusの実装まで計画されており、これらが実現すればブロックサイズが25KBから1.5KBまで減少し、機能性やプライバシー性能の向上も見込めるとされている。
ゼットコインのCOOであるReuben Yap氏は、今後の計画について以下のように述べている。
ゼロコインプロトコルの終わりを宣言するには時期尚早です。修正を施す方法があると考えており、既に我々は、いくつかのアイディアを施行しています。我々が修正作業にリソースを割いていないのは、長期的なロードマップに従ったアップデート段階に移行しているからです。
Reuben Yap, COO of Zcoin - CryptoSlate - CryptoSlateより引用
他の仮想通貨に関しても、ゼットコインチームは、解決に向けて共同作業を続けているようだが、プロトコルの移行は簡単ではないため、どのような解決策が取られるかは明らかになっていない。プロトコルを無効化する機能をもつ仮想通貨に関しては、ゼロコインプロトコルの無効化で安全性を確保できるものの、その様な機能を実装していない仮想通貨に関しては、ハードフォークが必要になるようだ。ゼットコインチームは、他のプロジェクトが攻撃対象となる可能性を考慮して、現段階では脆弱性の詳細を明らかにしていないが、今後、解決の手立てが見つかることに期待したい。
release date 2019.04.29
ゼットコインのブロックチェーンでも採用されるゼロ知識証明は、暗号化手法を使用することで相手に内容を開示することなく、その情報の正否を検証することが可能なため、プライバシーを重視する匿名通貨では、核となる技術として広く利用されている。しかしながら、仮想通貨においては、脆弱性を招く要因となっており、匿名通貨のジーキャッシュ(Zcash)でも、ゼロ知識証明に関連するバグが、昨年3月に発見されたばかりだ。ジーキャッシュの開発元はバグを秘密裏に修正する作業を実施し、同社のプロトコルを利用するプロジェクトを含め、システムのアップグレードに成功している。しかしながら、この対応には、賛否両論あり、パニックやハッキング被害を避けたことは評価されているものの、不誠実な対応だとの見方もある。今回のゼットコインチームも、すべての情報を公開しているわけではないが、現状をいち早く伝えており、コミュニティに警告を促すことを優先した。今の所、目立った被害は報告されていないため、ゼットコインチームの対応は、ひとまず成功していると言えるだろう。
作成日
:2019.04.29
最終更新
:2021.08.31
米大学で出会った金融学に夢中になり、最終的にMBAを取得。
大手総合電機メーカーで金融ソリューションの海外展開を担当し、業界に深く携わる。
金融ライターとして独立後は、暗号資産およびブロックチェーン、フィンテック、株式市場などに関する記事を中心に毎年500本以上執筆。
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