Select Language

フランス大手金融企業がイーサリアムでトークンを発行

フランス大手金融企業がイーサリアムでトークンを発行

  • X
  • facebook
  • LINE
  • RSS

  • X
  • facebook
  • LINE
  • RSS
update 2021.08.31 15:26
フランス大手金融企業がイーサリアムでトークンを発行

update 2021.08.31 15:26

債券と同等のセキュリティトークンが誕生

フランスの大手金融サービス企業のSociete Generale Group【以下、Societe Generaleと称す】は、子会社であるSociete Generale SFHを通じて、約1億1,200万ドル相当の債券をセキュリティトークンの形式で発行したことを伝えた。[1]

発表によると、Societe Generaleは、イーサリアム(Ethereum)のブロックチェーンを利用し、特定の資産に裏付けられた1億ユーロ分の債権を発行したという。OFHトークンとして発行されたこの債券は、5年の満期と12ヶ月の延長期間が設定されており、満期前に会社が破綻した場合でも、トークン保有者には、通常の債券と同等に資金の返還を行うことが約束されている。格付け会社のMoody's Investors Servicesは、このようなブロックチェーン技術の利用は発行する側にとって、透明性の向上や構造的な複雑性から生まれるミスの回避につながると評価しているようだ。

このOFHトークンは、Societe Generaleの社内起業プログラムから誕生したSociete Generale FORGEによって開発されており、技術的および法的な助言を得るために、プロジェクトには、世界4大コンサルティングファームのPwCやフランスの法律事務所であるGide Liyrette Nouelが関与しているとのことだ。Societe Generaleは、同社のセキュリティートークンが、効率的であり、スケーラビリティや発行までの時間、自動化された構造、透明性、譲渡、決済スピードなど、多方面において従来の債券に優っていることを言及した。加えて、Societe Generaleは、このような仲介コストを不要とする債券の発行方法が、今後のスタンダードになる可能性があると述べている。

これまで、Societe Generaleは、数多くの企業向けブロックチェーンプロジェクトに参加しており、2017年には、米国大手IT企業のIBMが主導する金融プラットフォームのwe.trade、続く2018年には、コモディティ取引プラットフォームであるKomgo SAを立ち上げている。また、今月初めには、Societe Generaleが所有するプライベートバンキングおよびウェルスマネージメント会社のKleinwort Hambrosが、ブロックチェーン企業への投資を目的とした上場投資証券(Exchange Traded Note, ETN)を発行すると発表した。

Societe Generaleのような例は非常に稀と言えるが、フランス政府がEUに仮想通貨規制の提案を行うなど、積極的な姿勢を示している状況の中、欧州の各国政府も活発に動き始めていることが報道されている。ブロックチェーンを実験的に活用する流れは、欧州全土で見られており、昨年9月には、オーストリア政府が、13億ドル相当の国債を競売するためにイーサリアムのブロックチェーンを利用している。また、スペインの銀行であるBBVAは、イーサリアムのブロックチェーン上で、1億5,000万ドルのシンジケート・ローンを実施し、国内の電力企業に融資を行うなど、ブロックチェーンが金融業界におけるイノベーションを加速しているといえよう。

release date 2019.04.24

出典元:

ニュースコメント

現実味を帯びてきたSTOの活用

証券の性質を持つトークンを発行するSTO(セキュリティトークンオファリング)は、以前から有用なブロックチェーンのユースケースとして注目されてきたが、仮想通貨市場の成熟に伴い、いよいよ本格的に開発が進められるようになった。通常、株や債券など、証券の発行には、銀行やコンサルティングファーム、証券会社、取引所など、多くの関連企業が関わってくるが、ブロックチェーン上でのSTOは、それらを仲介することなく、迅速でコストレスな証券化が可能になるため、より効率的な代替手段として普及が待ち望まれているという。格付け会社のMoody's Investors Servicesによると、今回、Societe Generaleが発行した債券は、単一の投資家に向けた極めて私的なものだということがわかっているが、これらブロックチェーンの特性は、むしろ一般に向けた証券の流通スキームに適していると考えられる。これまで、投資家は、割高な手数料や中央集権型の管理に伴うリスクに悩まされてきたが、今後は、ブロックチェーンの発展により、透明性の高い安価な証券への投資が可能となるだろう。


Date

作成日

2019.04.24

Update

最終更新

2021.08.31

Zero(ゼロ)

米大学で出会った金融学に夢中になり、最終的にMBAを取得。
大手総合電機メーカーで金融ソリューションの海外展開を担当し、業界に深く携わる。
金融ライターとして独立後は、暗号資産およびブロックチェーン、フィンテック、株式市場などに関する記事を中心に毎年500本以上執筆。
投資のヒントになり得る国内外の最新動向をお届けします。

この記事は、お役に立ちましたか?

ご覧いただきありがとうございます。Myforexでは、記事に関するご意見・ご感想をお待ちしています。
また、海外FX・仮想通貨の経験が豊富なライター様も随時募集しております。

お問い合わせ先 [email protected]

貴重な意見をいただきありがとうございます。
貴重な意見をいただきありがとうございます。

関連記事

アクセスランキング

オオカミコイン(OKM)は怪しい?オオカミプロジェクトの特徴やSNSでの評判

オオカミコイン(OKM)は、オオカミカードを発行するオオカミプロジェクトの仮想通貨です。海外取引所のMEXCに上場していますが、SNS上では怪しいという声も見られます。本記事では、オオカミコインの特徴、SNSでの評判、怪しいポイントなどを紹介します。
update2025.04.11 19:00

Exnessの海外入出金で​​銀行口座が凍結されるケースが発生

海外FX業者のExnessで海外送金による銀行口座の凍結が発生している事例を取り上げていきます。SNS上では銀行送金2によるものとの声が見受けられますが、凍結の原因は収納代行業者と想定されます。
update2025.05.09 19:00

またコピトレ詐欺か?WeekendFXにAmazingTick型の詐欺疑惑

WeekendFXのコピートレードに参加したユーザーが、「出金できなくなった」と次々に声を上げ始めています。AmazingTickの詐欺事例との類似点も多く、同じ手口のコピトレ詐欺なのではないかという疑惑が持ち上がっています。
update2025.06.23 19:00

ワールドコイン(WLD)の換金方法は?日本円に現金化する手順を解説

ワールドコイン(WLD)は、OpenAI社のCEOであるサム・アルトマン氏らが手掛ける仮想通貨プロジェクトです。登録したユーザーには、仮想通貨WLDが無料配布されます。当記事では、ワールドコインを日本円に換金する手順や、換金時の注意点などを解説します。
update2025.04.16 19:30

GMOコインからBybitに送金してみた!送金手数料や最低送金額なども解説

Myforex編集部では、GMOコインからBybit(バイビット)に仮想通貨を送金してみました。この記事では、実際に送金してみた経験などを交えながら、送金手順やおすすめの送金通貨、トラベルルールの対応状況などを紹介します。
update2025.06.10 20:00

初めてのバックテストでも安心!MT5ストラテジーテスターの使い方ガイド

MT5のストラテジーテスターでは、バックテストによりEAのパフォーマンスを確認できます。バックテストの開始手順や注意点を解説します。
update2025.06.17 19:00

Exnessの出金遅延はなぜ起きた?オンラインカジノ規制の影響とは

海外FX業者のExnessでは、国内送金の遅延が度々問題になっており、決済代行会社に関連したトラブルと言われています。なぜオンラインカジノ規制が海外FXに波及したのか説明するほか、今後考えられる影響も解説します。
update2025.05.28 19:00

【速報】イラン・イスラエル停戦報道でビットコイン反発、一時10万6,000ドル突破

2025年6月23日、トランプ大統領がイラン・イスラエル間の停戦を自身のSNSで発表しました。これにより中東での地政学リスクが後退し、ビットコイン(BTC)の価格は一時10万6,000ドルまで急反発しました。
update2025.06.24 19:00

SBI VCトレードからBybitに送金してみた!手数料や送金時間も解説

Myforex編集部では、国内取引所のSBI VCトレードからBybitに仮想通貨を送金してみました。本記事では、送金手順や手数料、送金時間などを紹介します。
update2025.06.11 19:30

【スリトレ堂安氏の約3倍】本田圭佑×Titan FX、SNSフォロワー数379万の影響力は?

海外FX業者のTitan FXがサッカー選手の本田圭佑氏をグローバルアンバサダーに起用したことを発表しました。なぜTitan FXは「本田圭佑」を選んだのか、SNSの反応や業界の過去事例からその影響力を読み解きます。
update2025.06.09 19:00
youtube youtube

免責事項:Disclaimerarw

当サイトの、各コンテンツに掲載の内容は、情報の提供のみを目的としており、投資に関する何らかの勧誘を意図するものではありません。
これらの情報は、当社が独自に収集し、可能な限り正確な情報を元に配信しておりますが、その内容および情報の正確性、完全性または適時性について、当社は保証を行うものでも責任を持つものでもありません。投資にあたっての最終判断は、お客様ご自身でなさるようお願いいたします。

本コンテンツは、当社が独自に制作し当サイトに掲載しているものであり、掲載内容の一部または、全部の無断転用は禁止しております。掲載記事を二次利用する場合は、必ず当社までご連絡ください。

  • Facebook
  • Twitter
  • LINE

Myforexでは、このウェブサイトの機能向上とお客様の利便性を高めるためにクッキー使用しています。本ウェブサイトでは、当社だけではなく、お客様のご利用状況を追跡する事を目的とした第三者(広告主・ログ解析業者等)によるクッキーも含まれる可能性があります。 クッキーポリシー

クッキー利用に同意する
share
シェアする
Line

Line

Facebook

Facebook

X

Twitter

キャンセル