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匿名通貨のモネロが5周年を迎える

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update 2021.08.31 15:26
匿名通貨のモネロが5周年を迎える

update 2021.08.31 15:26

開発が進み時価総額は10億ドルを突破

匿名通貨として人気の仮想通貨であるモネロ(Monero)は、2014年4月にプロジェクトが発足して以来、今月中旬に5周年を迎えた。プライバシーや検閲耐性のある取引の重要性を伝えるためにモネロは、5周年を記念して、2018年末に出版された書籍、Mastering MoneroのPDF版の無料配布を決定するなど、コミュニティは、イベントの開催やパズルゲームのリリースなどを実施し、プロジェクトの節目を盛り上げているようだ。[1]

モネロの開発者であるDiego Salazar氏によると、モネロの分散型ネットワークの開発は、草の根的に広まっており、100名から200名のボランティアによって開発が進められてきたという。この5年間でモネロは、通貨とシステムとしての代用性と取引の匿名性を高めることに注力し、幾度となくアップグレードを実施してきた結果、およそ10億ドルの時価総額を誇る最大の匿名通貨となった。モネロにおけるプロジェクトの目的に関して、Salazar氏は、ブロックチェーンのプロトコル開発や国際標準の金融システムの構築だけではなく、デジタルプライバシーを中心とした世界的な動きを再定義し、強化していくことが根底にあると話している。

匿名性の高いモネロの取引は、リング署名などの技術を通じて実現されており、誰が送金を実施したかを特定できないようになっている。これに関して、モネロの開発者であるJustin Ehrenhofer氏は、以下のようにコメントした。

モネロの代用性を高めるためには、資金の送金元を知られないことが重要です。その場合、ユーザーが受け取った資金が、以前、どのような目的で利用されたかはわからなくなります。モネロのシステムでは、ある送金依頼に対して、ブロックチェーン上にある送金プールから無作為に資金が割り当てられ、あたかも、全ての送金が直接的に紐づいているよう処理されるのです。このような送金では、グループ化された送金依頼主の誰かが、トランザクションの署名者となっています。

Justin Ehrenhofer, Contributor of Monero - Coindeskより引用

モネロがリリースされた当初、このようなリング署名を利用した送金は、オプションとなっており、仮想通貨取引所やマイニングプール、その他、プライバシーを重要視しない個人ユーザーなどは、リングサイズをゼロに設定することで通常送金も可能となっていた。しかしながら、匿名性の高い送金オプションを利用するユーザーが一定数に及ばない場合、ユーザーのプライバシーが、危険にさらされる可能性があったことから、2016年3月22日のハードフォークにより、モネロは、リングサイズの最低値を3に定め、少なくとも3つの送金依頼から資金が割り当てられるよう設定することで、ブロックチェーン全体のプライバシーレベル強化を図った。

Ehrenhofer氏によると、モネロの最初の課題となったのは、既存インフラストラクチャの整備であり、ユーザーにリング署名の機能を実際に利用させることだったと語る。2017年1月5日のハードフォークで、モネロは、リング・コンフィデンシャル・トランザクション(Ring Confidential Transaction)【以下、Ring CTと称す】を実装し、取引金額を追跡することが事実上不可能になった。しかしこのアップデートによって、Ring CT実装前のトランザクションサイズがおよそ3キロバイトであったことに対し、実装後は13キロバイトにまで膨れ上がったとEhrenhofer氏は指摘している。これに対して、モネロは、Bulletproofsと呼ばれるネットワークの改善を施し、トランザクションサイズを13キロバイトから1.5キロバイトまで、およそ80%縮小することに成功している。しかしながら、モネロにとって、ネットワーク上での検証時間は、最大の課題となっており、更なる改善が必要とされているようだ。

今後の課題について、Ehrenhofer氏は、以下のように述べている。

モネロのアップデートで最も難しい点は、トランザクションサイズの改善ではなく、検証時間の短縮です。我々は、モネロのリング署名を強化することができますが、検証時間は、ほとんど改善できていない状況にあると言えます。コンピュータリソースをそれほど占有しないにしても、永遠の課題となるかもしれません。

Justin Ehrenhofer, Contributor of Monero - Coindeskより引用

Ehrenhofer氏は、今後のプロトコルの改善により、リング署名のサイズを1,000以上に拡大することに期待しているという。一方のSalazar氏は、ユーザーインターフェース(UI)とユーザーエクスペリエンス(UX)が必要だとの考えを示しており、ユーザーページや取引履歴、送受金ページなど、ゼロからの再設計を進めていることを明かしている。5周年の節目を迎えたモネロの更なる発展に期待したいところだ。

release date 2019.04.22

出典元:

ニュースコメント

各国における匿名通貨への対応

透明性の高いパブリックブロックチェーンを利用した一般的な仮想通貨のシステムにおいて、匿名通貨は、特異な存在となっており、各国政府は、それぞれ違った取り扱いや対応を見せている。最近では、仮想通貨に対して友好的だったフランス政府が、マネーロンダリングやテロ組織への資金供与などの犯罪利用につながるとして、国内での匿名通貨の取引を禁止する案を唱え、仮想通貨市場でも大きな話題となった。これに対照的な対応を見せている米国は、ブロックチェーン関連のテクノロジー開発の促進に期待し、特に匿名通貨の利用を制限するような動きには出ていない。米国内の取引所では、コインベースが、ジーキャッシュ(Zcash)を上場するなど、投資家の間でも市民権を獲得しつつあるようだ。今回、めでたく5周年を迎えたモネロは、取引量の70%以上を占める韓国での需要が主で、今後、欧米市場へ展開を拡大する余地は、まだ十分にあると言えるだろう。


Date

作成日

2019.04.22

Update

最終更新

2021.08.31

Zero(ゼロ)

米大学で出会った金融学に夢中になり、最終的にMBAを取得。
大手総合電機メーカーで金融ソリューションの海外展開を担当し、業界に深く携わる。
金融ライターとして独立後は、暗号資産およびブロックチェーン、フィンテック、株式市場などに関する記事を中心に毎年500本以上執筆。
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