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IOSCO、個人投資家保護関連レポートを公表

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update 2021.08.31 15:26
IOSCO、個人投資家保護関連レポートを公表

update 2021.08.31 15:26

金融機関による効果的な投資情報の公表方法を提示

投資家保護や不正行為に対する法執行などを目的に各国の証券監督当局や証券取引所等から構成される国際機関である証券監督者国際機構(International Organisation of Securities Commissions)【以下、IOSCOと称す】の代表理事会は4月2日、IOSCOに加盟する国々において効果的な規制策の導入をサポートすべく、個人投資家の投資行動を概説したレポートを公表した。[1] IOSCOでは、個人投資家が的確な投資意思決定を下せるよう、金融機関による工夫を凝らした情報開示の必要性を指摘している。

IOSCOが公表したレポート「個人投資家保護のための投資行動の応用(The Application of Behavioural Insights to Retail Investor Protection)」によれば、一般の人々にとって投資に関連したリスクや情報は非常に複雑で膨大な量となるため、それらを正確に理解することは難しいという。そしてIOSCOは、通常人々は、手っ取り早く安易な方法を用いて投資リスクや複雑な情報の理解を試みることから、投資の意思決定の際にバイアス(考えの偏り)の影響を受け、実際には想定と違った値動きとなってしまう可能性があると見ている。なお投資の世界でいうバイアスには、自信過剰や憶測に頼った投資行動、経験則に基づく大雑把な意思決定などが含まれるとのことである。

そしてIOSCOは、バイアスに基づく安易な投資意思決定を減らし、個人投資家を保護する手法として、金融機関が投資情報やリスクなどを全て公表するように提案している。しかしながら、金融機関が公表する情報は常に十分とは言えないことに加え、個人投資家も金融機関が提示する情報を確認する際に、これまでの経験則やバイアスの影響を受けるため、結果的に投資家の経済的利益や目標に繋がらない意思決定をしてしまう傾向にあるようだ。

そこでIOSCOは、金融機関による投資情報の効果的な公表方法として、多くの投資家が注意を払うであろう箇所に重要事項を掲載するよう提言している。また、規制当局の多くが投資家に分かりやすい表現を用いて指針などを示しているのに倣い、金融機関も簡潔な言葉を使用すべきであるという。更にIOSCOは、投資家がより的確に情報を理解するために、投資の手数料率などを掲載した図表を用いることも、効果的な情報伝達方法であると指摘している。

なおIOSCOには、英国金融行動監視機構(Financial Conduct Authority)【以下、FCAと称す】やオーストラリア証券投資委員会(Australian Securities and Investment Commission, ASIC)、米国証券取引委員会(Securities and Exchange Commission, SEC)など世界各国・地域の証券監督当局が加盟している。

FCAが永続的なバイナリーオプション取引禁止措置を導入するなど、世界的に規制当局による個人投資家保護の機運が高まっている。ブローカーにとっては、顧客である投資家から透明性の高い企業としての信認を得るべく、より網羅的で的確な情報開示を行う必要性がより一層高まるであろう。

release date 2019.04.03

出典元:

ニュースコメント

効果的な投資情報の公表に向けた試み

金融業界は時代の流れに伴い変化を遂げているが、その中でもFXや仮想通貨は技術革命がもたらした産物であり、その市場が拡大する中で、個人投資家による取引がかつて以上に一般的になってきた。機関投資家やプロトレーダーだけでなく、投資経験の浅い個人投資家でも、手軽にトレードできる環境になったことにより、監督当局は投資家保護及び、損失を最低限に抑えるべく、次々に規制策を導入しているのが現状だ。一方ブローカーにおいては、各種取引に内在するリスクを明確にした上で、一般人が分かりやすい形式で情報を開示する必要性が高まっている。このように規制当局による監督が強化し、情報の効率的な開示が求められる中、今後ブローカーは規制に対応した情報提供やコンプライアンスの徹底を図るべく、レグテック(規制とテクノロジーの融合)の活用が求められるであろう。レグテックを活用することで、膨大な時間や人的資源を割くことなく、様々な機能を自動化させたり、生産性を向上させることができる。革新的な技術を活用し、投資情報の公表プロセスがより正確、且つ効率的に行われることで、金融業界の透明性の向上に繋がることに期待したい。


Date

作成日

2019.04.03

Update

最終更新

2021.08.31

プラナカンカン | Peranakankan

執筆家&投資家&翻訳家&資産運用アドバイザー

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プラナカンカン

国内及び外資系金融機関に15年弱勤務し、現在は独立。
執筆と翻訳は、海外FXを始めとする金融分野を専門とする。
慶應義塾大学卒。

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